施政方針(令和8年第1回由利本荘市議会定例会)
令和8年第1回市議会定例会(令和8年2月16日開催)より

本日、開会いたしました第1回市議会定例会におきましては、令和8年度の当初予算及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、その基本的な考え方と施策の概要について述べさせていただきます。
世界は今、かつてないほどの激動と変化の渦中にあり、5年目を迎えるロシアによるウクライナ侵攻、昨年末のアメリカのベネズエラ攻撃のほか、世界各地で武力衝突や紛争が勃発するなど、地政学リスクの高まりなどにより国際社会の先行きは、不確実性を増しており、トランプアメリカ大統領による政策の予見可能性の低下と相まって、世界情勢は、深刻な状況に置かれております。
こうした不安定な国際情勢の煽りを受け、我が国の経済においては、円安などを背景としたエネルギー価格の高騰や、原材料費の上昇に端を発する物価高騰は、もはやインフレとも言える状況で、私たちの日常生活に暗い影を落としており、家計を直撃する物価の上昇に、賃金の上昇が追いついていない現状と相まって、国民生活は厳しい状況に直面しております。
加えて、世界的な気候変動は、異常気象を頻発させ、自然災害のリスクを一層高めており、頻発化・激甚化する災害への備えを、いっときたりとも怠ることはできません。
こうした激動する世の中の動きを時代の潮流として、しっかりと受け止め、市民生活を守っていくことが極めて重要であり、そうした想いを胸に深く刻みながら、今後の市政運営にあたってまいります。
さて、本市を取り巻く状況に目を向けますと、地方創生が叫ばれて久しい今日、国立社会保障・人口問題研究所が公表した令和32年の本市の人口推計は42,387人となっており、令和7年と比較して39%減少するという厳しい見通しが示されております。
少子高齢化とそれに伴う人口減少の進行は、地域経済の規模縮小や、物流、交通、医療、福祉などの生活基盤を支えるエッセンシャルワーカーの人手不足、地域コミュニティの活力低下など、さまざまな分野に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
また、頻発する地震、風水害などの自然災害は、市民の生命と財産を直に脅かすものであり、日頃からの備えと発災時の迅速な対応は、市民の安全安心を守る上で重要なミッションとなっており、さらに、昨年は市内各地にクマが出没し、人的被害が発生するなど、市民の皆様の安全な日常生活を脅かす新たな課題として浮上し、実効性のある対策が急務となっております。
クマ対策について、国においては、クマを指定管理鳥獣に追加し、対策を強化していることを踏まえながら、本市においても、県が提唱する「ゾーニング」の考え方に基づきメリハリの効いた対策を講じていくこととしております。
さて、令和8年度の地方財政を巡る状況につきましては、国が示した令和8年度地方財政計画によると、前年度を約5兆3,700億円上回る約102兆4,400億円の規模としており、また、地方交付税の総額を、自治体に交付する「出口ベース」で、前年度比で1兆2,274億円増、率では6.5%増となる20兆1,848億円としているほか、臨時財政対策債については、2年連続で発行額をゼロとしております。
また、地方税や地方交付税などの一般財源総額については、交付団体ベースで前年度を3兆7,364億円上回る67兆5,078億円とされており、物価高のなか、経済・物価動向等を適切に反映しながら、社会保障関係費や人件費のほか、いわゆる教育無償化に係る地方負担の増加分などが計上され、地方団体が、さまざまな行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、必要な一般財源総額が確保されております。
次に、本市の令和8年度の当初予算につきましては、一般会計総額で511億9,800万円としたところであり、歳入の大宗を占める市税については、民間給与のベースアップや農業収入拡大などによる個人所得の増加などを考慮し、前年度比約2億4,000万円増の約89億9,000万円、地方交付税については、前年度比約1億4,000万円増の約180億円、このほか、譲与税等を含めた主要一般財源の総額を、前年度比約4億円増となる約299億7,000万円と見込んだところであります。
歳出では、本荘東小学校の建設事業の完了により、普通建設事業費が大きく減少した一方で、激甚災害の指定を受けた「令和6年豪雨災害」により被災した施設の災害復旧を最優先として、これらに要する所要額を計上するとともに、人件費や扶助費、借入利子の上昇を反映した公債費の増加に加え、物価高騰への対応等による経費の増嵩などにより、歳出総額の抑制も限定的となったことから、令和7年度と同様、多額の財政調整基金繰入を見込まざるを得ない非常に厳しい予算編成となりました。
今後とも、地方債残高減少に向け、新規の地方債発行を極力抑制するほか、政策的な経費についても、より一層、スクラップ・アンド・ビルドによる選択と集中を進め、身の丈にあった予算を編成していくことが必要不可欠となっておりますが、本市財政の健全性を維持し、持続可能性の確保を図りつつ、厳しい財政状況にあっても、将来の成長が期待できる分野や、市民生活に真に必要な新たな行政ニーズに対しては、しっかりと投資していくことが重要であると考えております。
そうした中、本市が抱える課題解決に向けて、歩みを進めるため、市政の運営方針として令和8年度から始まる次期由利本荘市総合計画「ゆりほん未来プラン」を取りまとめたところであり、その目指す10年後のまちの姿を「市民一人ひとりが希望を叶え自分らしく暮らすまち」とし、市民一人ひとりが希望を持ち、自分らしく暮らし続けられるまちを目指し、これまで「身近で当たり前」と感じていた本市ならではの豊かさや価値を再評価しながら、次世代にしっかりと持続可能性の高いまちを引き継いでいけるよう取り組むことにしております。
さらに、今後、4年間で重点的に取り組む最重要課題として、「人口減少下にあっても市民が豊かに暮らせるまちづくり」、「地域資源を活かした関係人口の拡大と外貨獲得の好循環の実現」の2つを掲げるとともに、本市が有する時代のニーズを先取りし優位性を誇る「ものづくりに関連する先端産業」や、「広大な農地から産み出される多種多様な農産物」、「持続可能な未来を切り拓く再生可能エネルギーの可能性」を最大限に活かしながら、本市の持続的な発展に向け、次の三つの取り組みを施策の柱として位置づけております。
一つ目として、「少子高齢化とそれに伴う人口減少に向けた取り組み」
二つ目として、「地域資源を活かした関係人口の拡大と外貨獲得の実現への取り組み」
三つ目として、「頻発化・激甚化する災害から市民の生命や財産を守る取り組み」
であり、これら三つの柱を中心として、積極的に予算配分を行い、重点的に取り組んでまいります。
はじめに、「少子高齢化とそれに伴う人口減少に向けた取り組み」につきましては、総務省が発表した令和7年の住民基本台帳人口移動報告によると、東京都の転入超過は減少しているものの、若者を中心に全国から人を惹きつけている状況にあることは変わりなく、本市においても、市外に転出する若者の増加が婚姻数の低下を招き、さらにそれが出生数の減少に繋がるという負のスパイラルに陥っており、若者が卒業、転職、結婚などの人生の節目で本市を仕事や生活の場として選んで頂けるよう都市としての魅力の向上を図ることが、これまで以上に重要になるものであります。
本市では、これまで人口減少対策の一環として、移住・定住促進に取り組み、一定の実績を積み上げてきたところでありますが、来年度からは、特に、令和5年、6年の男性人口の社会動態が増加であったことを踏まえ、市外出身者で本市に転職などにより移り住んだ若者を対象に、将来の定住に繋がる住宅取得に対し支援を行い、本市を生涯にわたり生活の場としようとする若者の定住促進を図りたいと考えております。
また、これまで実施してきた「ゆりほん保育・教育遊学」につきましては、「ゆりほん遊学」に刷新し、園児を受け入れる保育園の拡大を図るほか、新たに、高校生を対象にした「地域みらい遊学」を矢島高校で展開し、今年4月には、一人でも多くの県外出身の入学者をお迎えし、矢島で暮らし、勉学に励む姿が実現できるよう、地域と連携して受入れ準備を進めてまいります。
また、子どもたちの健やかな成長への支援につきましては、すべての子どもたちが健やかに成長できるよう、良質な育ちの環境を整備し、保護者等の就労要件に関わらず、柔軟に子どもを預けることができる「こども誰でも通園制度」を新たに開始するほか、子どもたちが安心して小学校生活を始められるよう、小学校の低学年における授業、学級経営上の課題や不登校などに対して、認定こども園、保育所と、小学校をつなぐ調整・伴走役のコーディネーターを配置することにより、子どもたちの円滑な学校生活への橋渡しをサポートしてまいります。
加えて、来年度から始まる国による小学校給食無償化に関連して、本市における給食費と国が定める基準額に生じる差額については、保護者が負担することなく、子育て世代の経済的負担軽減の観点から、市が全額負担することで、小学校給食の完全無償化を実現してまいります。
住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためには、移動、医療、買い物など日常生活を不自由なく過ごせることが重要であります。
そこで、地域公共交通として、市民の重要な移動手段である路線バスや、鳥海山ろく線の維持確保に努めるほか、地域内を結節するコミュニティバスについても、地域の実情に沿った運行形態に再編を図り利便性を高めてまいります。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)と融合した新たな取り組みとして、AI(人工知能)を駆使したオンデマンド交通「ゆりほんのれッタ」の冬季実証運行を昨年12月から1月末まで行ったところ、1日あたり57人と堅調な利用実績であったことから、来年度の夏季からの実証運行では、より一層、市民の皆様への浸透に努め、本格運行に向けた道筋をつけてまいります。
さらに、地域の医療を支える看護師不足や、看護師を志す学生が減少している現状を踏まえ、看護学校等を卒業後、市内の医療機関等に看護師として従事する意志のある学生を対象に、在学中の修学資金を貸与する制度を新たに創設し、将来にわたり地域の安定的な医療人材の確保に努めてまいります。
日常の買い物につきましては、それぞれの地域で買い物の場となっていた地域に根差した商店も、後継者不在、人口減少などもあって、その数は減少を続けておりますが、高齢者世帯や自家用車のない世帯に大きな影響を与えている状況にあることから、地元企業の製品やサービスを積極的に利用し、地元店舗での買い物や地域イベントなどを通して地域商店街の活性化を図るため、生活応援券等による地元商店と市民の結び付きを創出しながら、物価高騰対策として消費者と事業者双方への支援を図ってまいります。
また、本市の中小企業は、地域経済の根幹を成し、雇用の創出、地域の活性化のほか、生活を支える基盤となるなど、重要な役割を担っております。一方で、中小企業を取り巻く環境は、人口減少や後継者不足などと相まって、厳しさを増している状況にあります。
昨年12月、「由利本荘市中小企業振興基本条例」を制定したところでありますが、今後、その理念を具現化する実行計画の策定に着手するとともに、中小企業や関係機関、市民の皆様と連携を図りながら、まちなかの賑わいづくりや地域内消費の拡大、雇用の創出など、地域経済の活性化に取り組んでいくこととしております。
さらに、こうした取り組みをテコに、若者から本市を生活や仕事の場として選んでいただけるよう各種施策を、一層加速させてまいります。
次に、「地域資源を活かした関係人口の拡大と外貨獲得の実現への取り組み」につきましては、本市と多様な形で関わりを持つ方々、いわゆる関係人口の増加を図ることは、人口減少が進む現状にあっては、現実的かつ持続性を有するものであり、情報発信に努めながら、観光を目的とした来訪や二地域居住など、本市でのさまざまな交流体験を通してファンをつくりだし、関係人口を通した地域の元気や活力を創出していくことは大きな成果が期待されるものであります。
また、若者にとって都会での暮らしは、多種多様な職種に加え、高い賃金水準や、生活面での利便性の高さのほか、都市機能の充実など、仕事以外の分野でも若者を惹きつける要素が数多くあることも確かでありますが、生まれ育ったまちで働き、恵まれた自然環境のもと、豊かに暮らしたいと考える若者の意識に働きかけていくことも重要であります。
そこで、企業によるインターンシップ、自社PR動画の作成、合同企業説明会等への出展などの人材確保に向けた支援を拡充することに加え、女性や障がい者が働きやすい職場づくりに向けた取り組みを進めてまいります。
次に、外貨を獲得する取り組みにつきましては、地域資源を発掘し、高いブランド力を有するものに育て上げるとともに、PRとセールスを戦略的に進めていく必要がありますが、さまざまな農産物を育む本市の肥沃な農地を活用し、主力である米や花きなどはもとより、特に来年度は、県内有数の産地として市場から高く評価されているアスパラガスについても、県事業と連携した支援により、効率的な生産体制の構築と栽培力の向上を図り、「東北一のアスパラガス産地」の実現を目指してまいります。
秋田由利牛ブランドにつきましては、肥育素牛数が減少している現状を踏まえ、農家の皆様が意欲をもって営農を継続できるよう、支援を拡充し増頭を加速させながら、「由利本荘市生まれ、由利本荘市育ち」という付加価値を最大限に高め、秋田由利牛のブランド力向上を図ってまいります。
米につきましては、「米と米にあう食」にスポットをあてながら、都内で開催する「ゆりほんじょうフェア」や大規模イベントを通して、稲作のバックグラウンドを織りなす豊かな自然や、生産者の想いについても、あわせてPRしてまいります。
こうした取り組みなどを通して、本市を実際に訪れていただく契機とし、農産物を育む風土や食文化に触れていただきながら、生産者と市民の皆様、そして来訪者との交流に発展する仕組みづくりを目指してまいります。
このほか、本市の食や伝統工芸をモチーフにした親子体験イベントを開催し、多角的な魅力発信に努めてまいります。
昨年の海外からの訪日客が過去最多となる4,270万人となり、また、大手旅行会社の発表によると、中国人旅行客の動向が不透明ではあるものの、今年のインバウンド観光客は、約4,140万人と予測しており、引き続き高い水準となることが期待されております。
インバウンドの動きが主要な観光地から徐々に、地方にシフトしてきている中、秋田空港と台湾の桃園国際空港を結ぶチャーター便の搭乗率が堅調に推移し、今年10月までの運行継続が決定しておりますが、今後も台湾からの訪日需要が期待できることから、来年度は、市内観光事業者に呼び掛けながら、ともに台湾トップセールスを実施し、インバウンド誘客の促進に取り組んでまいります。
また、本市産品の日本酒などをはじめとする「発酵食品」に着目し、本市の特色ある食文化を体験できる質の高い観光コンテンツを造成し、「モノ消費」、「コト消費」に続く、その場でしか体験できない「トキ消費」に対応したインバウンド需要の獲得とあわせて、市産品の販路の拡大を図るなど、戦略的かつ積極的な観光誘客を推進してまいります。
このほか、インフラツーリズムへの関心の高さを見据え、本体工事に着手した「鳥海ダム」を活用した「鳥海ダム工事見学周遊ツアー」を継続して実施し、リピーターの増加を図ってまいります。
こうした一連の取り組みを通して、市の認知度を高めるとともに、来訪者の増加を図り、関係人口を拡大して外貨獲得を加速させてまいります。このほか、来年度には、本市を会場に、「文化部のインターハイ」とも称される第50回全国高等学校総合文化祭が7月に、「本県農業の祭典」である第149回秋田県種苗交換会が10月に開催されることから、多くの市外の皆様が訪れる機会を捉えて、市産品のPRと販売に積極的に取り組み、認知度の向上を図ってまいります。
次に、「頻発化・激甚化する災害から市民の生命や財産を守る取り組み」につきましては、令和6年豪雨災害により、各地域で甚大な被害が発生したところであります。その後、被害箇所の早期復旧に向けて、全力で取り組んできたところでありますが、1月末における契約ベースでの進捗状況は、道路や河川の公共土木施設災害で35.9%、水田や水路などの農地・農業用施設災害で63.4%、林道施設災害で50.0%となっており、被災箇所の数が多いことのほか、地元事業者の対応力を超える事業量となっていることなどを背景に、一部で入札不調が発生している状況にありますが、引き続き、関係機関と連絡を密にしながら、一日も早い復旧を目指してまいります。
昨年は、奥山のブナの実が大凶作で、食物を求めたクマが、これまでにない頻度で、市街地に出没しましたが、国では、自治体の判断でクマへ発砲を可能とする緊急銃猟を制度化したほか、県においても自衛隊への協力要請を行うなど、各機関で緊急的な対応がとられたところであります。
本市におきましても、獣害対策本部のもと、広報紙やホームページ等でクマ被害防止に向けた注意の喚起を行うほか、箱わなの増強や、放任果樹伐採への支援など、被害防止に全力を挙げて取り組んでまいりました。
来年度は、さらなる対策を講じることとし、クマの生態に関する講習会の開催に加え、箱わなの設置期間延長が可能となる「管理強化ゾーン」の選定を進めるなど、対応を強化してまいります。
また、国の指定鳥獣対策事業交付金を最大限に活用し、管理強化ゾーンや緩衝帯での刈り払いを推進するほか、出没の大きな誘引源となっている放任果樹伐採の協力を広く呼びかけ、人間の生活圏でのクマの出没を減らす取り組みを進めてまいります。
さらに、クマを捕獲するうえで、猟友会員などの現場の人手不足が極めて深刻であることから、猟友会員の確保や、解体施設の拡充に加え、感知センサーやトレイルカメラなどの先端機器の積極的な導入を図り、最前線で駆除に携わる関係者の負担軽減と安全確保に努めてまいります。
また、近年の自然災害の頻発化・激甚化を踏まえ、全国的にも想定される災害規模の見直しが進められていることから、本市では、令和6年度に内水氾濫図の作成を進めたところであり、こうした最新の情報を踏まえた防災マップの最新版を全世帯に配布し、防災に関する宅配講座などでの周知を図るほか、緊急時には速やかに情報を伝達できる機器の整備や体制作りに努めてまいります。
以上、申し上げました施策は、次期総合計画を軸とした新たなまちづくりを進め、市民が住み慣れた地域で豊かに、安全安心な生活を営むことを目指そうとするものでありますが、計画推進の実効性を確保する上では、事務事業の執行体制など行財政改革を並行して進めていく必要があることから、来年度からスタートする第5次行政改革大綱に基づき、行財政改革に向けた取り組みを徹底してまいります。
また、市民が安心安全に暮らす上で身近に相談ができる場所を確保することも大切であり、行財政改革の一環として取り組む総合支所と本庁の事務事業のあり方についても、そうしたニーズにしっかりと応えられるよう組織機構の再編を行った上で、スタートしたいと考えております。
行財政改革の推進にあたっては、人口減少下にあっても、将来に向かって明るい希望を持てるよう、市民の理解を得ながら、不断の見直しを行い、改革を推し進めてまいります。
このほか、広報戦略指針のもと、4月より広報紙の発行を月2回から月1回に変更いたしますが、発行回数に関わりなく、市民の皆様に見やすく、分かりやすい情報をタイムリーに発信するほか、さらに充実させるためウェブサイトやライン、各種SNSなどさまざまな媒体での発信を強化し、アナログ、デジタル両方の特色を生かし、本市の魅力が広く伝わる情報発信に努めてまいります。
以上、新たに策定する次期総合計画に基づく重点施策を述べたところでありますが、これまでの取り組みを継続する施策についても、その概要につきまして、六つの基本政策ごとにご説明いたします。
はじめに、「産業政策」につきましては、「秋田鳥海りんどう」をはじめ、アスパラガスやミニトマトなどの主要農産物の生産拡大を促進しながら、収益性の高い農業経営の確立を後押しするほか、省人・省力化に資する農業機械を導入しながら、スマート農業の普及を図るとともに、就農前の技術習得や、就農時の施設整備、経営開始資金の支援などによる総合的なサポートにより、担い手の確保・育成を積極的に進めてまいります。
加えて、県営ほ場整備事業を継続するほか、鳥海笹子地区の事業採択に向けた調査、計画策定に取り組んでまいります。
次に、林業につきましては、森林環境譲与税を活用し、民有林の「伐って、使って、植えて、育てる」循環型林業に取り組むほか、市有林の適切な管理による「J―クレジット制度」の取り組みを進め、林業経営の基盤強化と地球温暖化対策の両立を目指してまいります。
次に、水産業につきましては、漁船の安全な航行や操業を確保するため、航路や泊地などの浚渫を計画的に実施し、漁業活動への支障を未然に防ぎ、適切な漁港機能の維持管理を図ってまいります。
次に、商工業につきましては、急速に変化する社会経済情勢にあっても、地方の活力の維持向上を目指し、既存産業や企業の持続的な発展を支え、次世代を担う新たなビジネスを創出してまいります。
具体的には、起業、事業承継に取り組む経営者向けの専門的なサポートや、融資利子補助金等の経済的支援を通して、経営基盤の強化と負担軽減を図ってまいります。
特に、若者や女性の起業の促進については、商工会等と緊密に連携を図りながら、誰もが意欲を持ってチャレンジできる環境づくりを進めるとともに、「起業するなら由利本荘市で」のキャッチフレーズのもと、個々の起業ニーズに即した情報提供や伴走型支援を図り、起業・創業、事業承継がこの地で実現できるよう、起業者の皆様に寄り添った支援を進めてまいります。
このほか、本市沖の洋上風力発電事業につきましては、昨年、三菱商事をはじめとする企業体が事業撤退するとの発表があり、私自身、この現実を重く受け止めておりますが、本市沖が洋上風力発電事業の最適地であることに変わりがないことから、地域にもたらす経済波及効果を期待し、国に対して早期に再公募が行われるよう働きかけてまいります。
次に、「観光・交流政策」につきましては、次期総合計画との整合性を図りながら、観光施策のマスタープランとなる「観光振興計画」を取りまとめ、社会経済情勢の変化や多様化する観光ニーズを的確に捉え、観光産業と地域経済の発展を目指してまいります。
その中で、観光の重点施策の一つと位置づけている鳥海山観光については、環鳥海エリア全体の観光誘客力の向上を図りながら、本市が有する観光資源に一層磨きをかけるなど、新たな観光コンテンツの発掘に取り組んでまいります。
あわせて、市境・県境を越えた広域的な枠組みである4市町との連携を一層強化し、一体的な情報発信や新たな観光コンテンツの創出を視野に入れた「鳥海山を核とした広域観光振興」に取り組んでまいります。
さらに、「鳥海山・飛島ジオパーク」のユネスコ世界ジオパーク認定に向けた具体的な活動を推進するため、ジオパーク推進協議会を中心とした連携4市町の機運醸成を図りながら、教育や地域振興への活用を通して、自然と人間との共生及び持続可能な社会の発展に寄与する取り組みを推進してまいります。
また、「鳥海山 木のおもちゃ館」など、本市の特色ある施設の魅力と周辺観光情報等を結び付けた効果的な発信をすることにより、文化・スポーツを通した交流を拡大しながら、一層の誘客促進を図ってまいります。
次に、スポーツの振興につきましては、次期総合計画との整合性を図りながら、市スポーツ振興の指針となる「スポーツ振興計画」を取りまとめ、「する」、「みる」、「ささえる」を計画理念に据え、「健康で笑顔あふれる持続可能な地域づくり」を目指してまいります。
施設運営では、ナイスアリーナにおけるBリーグ公式戦や、各種大会、合宿などの誘致活動を通して交流人口の拡大を図るとともに、指定管理者や関係団体と連携しながら、「選ばれる施設」としての魅力向上に取り組んでまいります。
次に、「社会基盤・暮らし政策」につきましては、新ごみ処理施設の整備においては、昨年11月に、本市の秋田市・潟上市・八郎湖周辺清掃事務組合ブロック広域化協議会への参加が承認されたことから、今後は、本市を含む8自治体において、焼却ごみ処理の広域化に向けた協議を進めてまいります。
また、本市が整備を進める焼却ごみ中継施設及びリサイクル施設については、整備内容や事業者選定方法などの検討を進めるとともに、事業全体のさらなる最適化を図ってまいります。
さらに、ごみ減量化については、「ごみ減量化等推進委員会」からの提言をもとに、有料化導入から18年間適用してきた激変緩和措置を廃止するとともに、ごみ処理手数料を本来あるべき水準へ見直しを図り、将来世代にわたって持続可能なごみ減量に取り組んでまいります。
次に、道路整備につきましては、一番堰まちづくりエリアの幹線道路となる「市道 一番堰薬師堂線」や、児童、生徒の通学路となっている「市道 鶴沼薬師堂線」の道路拡幅と歩道設置整備のほか、羽後本荘駅東口へのアクセス道路である「停車場東口線」の整備を進めながら、利用者の安全・安心を確保するとともに、駅東西間の往来の活性化につながる自転車・歩行者ネットワーク環境を構築してまいります。
また、市道及び橋梁などの交通インフラの老朽化対策につきましては、長寿命化修繕計画に基づく点検などを通して、適切なメンテナンスにより持続性を確保してまいります。
なお、由利橋につきましては、ケーブルの揺れを抑えることが、橋の長寿命化にとっても大変重要であることから、有識者で構成した技術検討委員会からの意見を頂きながら、調査、設計、施工を進めてきたところであります。
しかしながら、新たな制振装置が設置して間もない、昨年12月4日の暴風雪により破損したところであります。現在、その原因の調査を進めているところでありますが、制振対策は利用者の安全安心の確保、由利橋の長寿命化のためにも急務であり、試験や解析等の結果を踏まえて、恒久的な対策を検討してまいります。
また、住宅施策につきましては、良質で安全な住環境の整備を図るため、木造住宅の耐震診断や耐震改修への支援を継続するほか、住宅リフォーム補助金の実施対象の選択と集中を図った上で継続してまいります。
水道事業につきましては、鳥海ダム建設に伴う百宅浄水場等水道施設の撤去及び代替施設の整備を継続するほか、配水管等の更新工事を継続し、今後も安全な水道水の安定供給に努めてまいります。
なお、物価高騰対策として、今年3月から8月請求分までの水道の基本料金を全額免除し、物価高騰の影響を受けている市民の皆様や事業者を支援してまいります。
下水道事業につきましては、処理施設における維持管理経費の軽減を図るとともに、西目処理区と本荘処理区の統合及び岩野目沢処理区と葛岡・新田処理区の統合を進めてまいります。
今後も、処理施設の統廃合や既存施設の長寿命化を進め、維持管理費の軽減を図りながら、持続可能な事業運営に努めてまいります。
ガス事業につきましては、ガス製造所の修繕や経年管の更新事業を計画的に進めながら、都市ガスの安全・安定供給に努めてまいります。
また、人口減少による収益の減少、維持費の増大などにより、上下水道事業、ガス事業の経営を取り巻く環境が厳しさを増していることから、「公営事業経営検討委員会」の提言をもとに、経営課題の解決に取り組んでまいります。
消防防災につきましては、常備消防では老朽化した消防車や救急車の計画的な更新、耐震性貯水槽の整備など、激甚化する自然災害などへの対応力を強化するほか、マイナ保険証を活用した救急業務の円滑化を図ってまいります。
非常備消防では地域の実情を熟知した消防団員の確保、老朽化した消防団車両や小型動力ポンプを更新するほか、メッセージアプリを活用した防災情報の共有体制を確立し、ハード、ソフト両面において消防力の充実・強化を図ってまいります。
次に、「医療・福祉政策」につきましては、日々の健康管理や食生活の改善、運動の習慣化などの健康づくりに関わる施策を総合的に推進し、健康寿命の延伸を図るほか、命を支える自殺対策の取り組みを強化してまいります。
次に、地域医療につきましては、引き続き救急告知病院への運営費支援のほか、医師や看護師の確保に努めながら、市民が安心して診療を受けられるよう充実した医療提供体制を維持してまいります。
次に、地域福祉につきましては、近年、増加傾向にある複雑化した生活上の困りごとを抱える家庭へ対応するため、多職種連携による包括的な支援を、より一層充実させるとともに、社会的孤立の予防や解消を図りながら、親身に寄り添った相談対応や適切な福祉サービスの提供に努めてまいります。
次に、高齢者福祉につきましては、高齢者が住み慣れた地域で生き生きと暮らせるよう、年齢や障がいの有無に関わらず、誰でも楽しむことができる「eスポーツ」を活用したフレイル予防に取り組むとともに、社会参加の機会を創出しながら、生きがいづくりに向けた取り組みを進めてまいります。
次に、介護保険事業につきましては、介護事業所などの関係機関との緊密な連携による安定運営を確保するとともに、被保険者の需要動向に見合った介護サービスの供給体制の維持に努めてまいります。
「教育・人づくり政策」につきましては、令和6年度、市が子育て世代を対象に実施した「結婚出産子育てアンケート」によると、「結婚の希望を実現するために重要なこと」として自由な時間の確保や、共働きができる職場環境、出会いの場の提供、経済的支援などの回答割合が高く、これらの意見を参考にしながら、出会い、結婚、子育ての各ライフステージに応じた効果ある施策を進めてまいります。
若者の出会いの場を創出する「アベイバプラスプロジェクト」につきましては、さらに事業のブラッシュアップを図ってまいります。
また、結婚に伴う新生活を応援するため、新居の家賃や引越費用等の助成を継続し、経済的負担軽減を図り、結婚を望む若者の背中を後押ししてまいります。
さらに、妊産婦や子育て世帯への支援につきましては、令和7年10月に設置した「こども家庭センター」を拠点にして、保健・福祉両面から、こどもと家庭を一体的に支援する体制としており、妊娠期から家庭の状況や支援ニーズを早期に把握するほか、保育・医療・福祉・教育などの関係機関との連携や地域全体で子育てを支える環境整備に努めてまいります。
このほか、国の「妊婦支援給付金」や県の「あきた出産・子育て応援給付金」に加え、本市独自の第2子以降の出生に対する「子育て支援金」の給付を継続するほか、児童手当や児童扶養手当の拡充にも適切に対応するとともに、高校生世代までの医療費無償化を継続することにより、妊娠から子育てまで経済的に切れ目なく支えてまいります。
次に、青少年の文化・スポーツ活動の支援につきましては、市内の児童生徒を対象にした全国大会等出場補助金や、スポーツ少年団の活動支援や指導者育成等により、活動の充実と競技水準の向上を図ってまいります。
また、喫緊の課題であります中学校部活動の地域展開を進めるため、国・県の動向を注視しながら、教育委員会及び競技団体等と連携を図りながら、地域クラブへの支援を継続するほか、新たに活動を開始する地域クラブへの支援にも取り組んでまいります。
具体的な教育施策につきましては、この後、教育長が教育方針で述べますが、「総合教育会議」を通して教育委員会と協議を重ね、教育の現状や重要課題を共有しながら、次期総合計画と整合性のある一体的な施策を推進するため、新たな「教育大綱」を取りまとめたところであります。
引き続き、子どもたちが安心して学べる環境づくりを基本に、老朽化した施設の修繕や教育環境の整備を進めてまいります。
さらに、「ゆりほんICT子供の学びアップデートプラン」が、産学官協働の教育モデルとしての取り組みが高く評価され、「日本ICT教育アワード審査委員会特別賞」を受賞したところであり、このような本市独自の特色ある教育施策を推進するとともに、英語教育の一層の充実を図り、地域と連携したコミュニティ・スクールを基盤としながら、「ふるさと愛に満ち、創造性あふれるひとづくり」に取り組んでまいります。
次に、「地域共創政策」につきましては、若者自らが課題を捉え、解決につながる取り組みを企画しながら実践する「由利本荘プロモーション会議」の第3期がスタートすることから、地域はもとより、市全体に賑わいをもたらす取り組みを支援するとともに、地域コミュニティの未来を担う実行力と発信力を備えた人材育成に加え、若者の地域づくりに向けた意識の醸成を図ってまいります。
また、急速な少子高齢化と人口減少により、地域や自治会等を取り巻く情勢が厳しさを増していることから、地域の特色を踏まえた民間団体による主体的な取り組みを支援する「地域づくり推進事業」や「ともしび元気プログラム事業」を活用しながら、地域の賑わいの創出につなげてまいります。
これまで申し上げました各施策に共通する「ゼロカーボンシティの実現」、「DXの推進」、「多様性の尊重」については、それぞれの基本政策を横断する重要な視点として位置づけ、総合的に着実に推進してまいります。
はじめに、「ゼロカーボンシティ実現」につきましては、市全域を対象とした「由利本荘市地球温暖化対策実行計画区域施策編」を策定し、今年4月から市民の皆様や産業界、各種団体等との連携のもと、温室効果ガスの排出抑制に向けた取り組みを推進するほか、公共交通機関の利用促進や、ごみ減量化、観光施設や社会体育施設等における照明のLED化などを着実に進めることにより、持続的な脱炭素社会の実現を目指してまいります。
次に、「DXの推進」につきましては、ICTを活用したスマート農業、スマート林業の推進、AIを活用した新たな交通体系の確立の構築に取り組むとともに、企業のデジタル人材育成への支援を進めてまいります。
また、スマートフォン操作に関する個別相談会や、行政サービスに関するワークショップの開催などを通して、デジタルデバイドの解消に向けた取り組みを推進し、次期DX推進計画と連携させながら、地域全体のデジタル化を図り、デジタル化の恩恵を実感できるまちづくりを進めてまいります。
次に「多様性の尊重」につきましては、無意識の偏見や性別による固定的な役割分担意識の解消を図るとともに相互に認め合う寛容な意識の醸成などに努めるとともに、年齢、性別、障がいの有無にかかわらず、誰もが住みやすく、住み続けたいと思える社会の実現に向けて取り組んでまいります。
以上、私の市政運営に対する考えと、令和8年度の主な施策を申し上げました。
本市は、人口減少をはじめとする多くの構造的な課題に直面している一方、社会経済情勢の変化は激しく、また、先行きを見通せない不確実性が高まる中にありますが、私はこうした変化を、むしろ新たな価値を創造し、未来を切り拓く絶好の機会と捉えるべきと考えております。
不確実な時代であるからこそ、思考を停止することなく、かといって悲観的にもならずに、「ピンチをチャンスに変える」という「チャレンジする」、「挑む」という意識を持って、果敢に挑戦を続け、新たな可能性を追求していくことが大切であると考えております。
また、私たちの仕事の目的はすべて「市民の幸福」にあり、市民の皆様の負託に応え、市民一人ひとりが心豊かに安心して暮らせるまちを築くことが、市勢発展の基盤であると確信しております。
そのためには、行政だけで、施策を進めても何事も成し得ないことを十分認識した上、市民の皆様、議員の皆様、地域団体、企業など、多様な関係者と対話を深め、これまで以上に強固な連携協働を推進しながら、「市民と共に語り、共に悩み、共に進める」というプロセスを大切にしてまいります。
また、職員一人ひとりも、失敗を恐れず、新たなことに挑戦する姿勢を大切に、互いに高め合い、学び合う文化を醸成するほか、自らの専門性を向上させるとともに、さまざまな事象に柔軟に対応できる力を身につけることで、組織全体の総合力を高め、市民の期待に応えることができると信じております。
「希望あふれる やさしい由利本荘市」の実現に向け、私が先頭に立って市政運営の舵取りを担ってまいる所存であり、市民の皆様、議員の皆様、そして関係機関の皆様には、この新しい挑戦に対し、引き続き、温かいご協力と力強いご支援を心よりお願い申し上げ、令和8年度の施政方針といたします。
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