施政方針(令和4年第1回由利本荘市議会定例会)

ページ番号1005283  更新日 2022年12月14日

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令和4年第1回市議会定例会(令和4年2月16日開催)より

写真:施政表明

第1回市議会定例会の開会にあたり、令和4年度の市政運営についての基本的な考え方と施策の概要を述べさせていただきます。
議員の皆様には、この機会を賜り、厚く御礼申し上げます。

昨年夏、国内外はもとより県内、そして市内をも席巻した新型コロナウイルス感染症の感染拡大も、第5波の収束により、昨年12月から年始にかけて、私たちの生活もようやく落ち着きを取り戻しつつあったものの、感染力の強い新たな変異株の出現により、これまでにない速さで感染が急拡大し、今では全国的な規模での「まん延防止等重点措置」地域の拡大など、新型コロナウイルスの脅威は依然として、私たちの暮らしに大きく暗い影を落としています。
このような先の見えない閉塞感の中にあって、長期間にわたり医療の最前線で献身的に奮闘され、ワクチン接種にも多大なるご協力をいただいております医療従事者の皆様をはじめ、事業と雇用の維持を図り、経済の再生に向けて努力を続けていただいております事業者の方々、そして、細心の注意を払って感染防止対策にご協力いただいております市民の皆様には、心から感謝申し上げます。
市では、現在進めている3回目のワクチン接種について、希望するすべての市民の皆様に迅速かつ着実に行き渡るよう、引き続き、関係機関との連携と協力のもと、可能な限り前倒しを図りながら、取り組んでまいります。
今後とも、感染症の拡大防止に努めるとともに、長引くコロナ禍で影響を受けている社会経済活動との両立に向けた取り組みについても、引き続き、市民の皆様が必要としている支援や、その後の社会を見据えた事業を適時適切に打ち出し、必要な予算を積極的に配分してまいります。

本市はこれまで、総合計画「新創造ビジョン」に基づき「人口減少に歯止めをかける」という大きな課題の解決に取り組んでまいりましたが、昨年11月に公表された、令和2年国勢調査の人口等基本集計では、本市の人口は74,707人と、前回5年前から5,220人の減少となるなど、依然厳しい状況が続いております。
こうした中にあって、市では「新型コロナウイルス感染症」と「人口減少」という直面する課題の克服に向けて、新創造ビジョン後期基本計画「重点化プロジェクト」を策定したところであり、「6つの重点施策」を柱に据え、 本市の持つ優位性を最大限に生かした事業の展開を図ってまいります。

さて、国が示した令和4年度の地方財政計画は、令和3年度より約7,800億円多い約90兆5,900億円の規模となっており、これにより、地方交付税の総額は、自治体に交付する、いわゆる「出口ベース」で、前年度比3.5パーセントの増となる6,153億円増の18兆538億円となっております。
また、臨時財政対策債の発行は、67.5パーセントの減となる3兆6,992億円減の1兆7,805億円と、大幅に抑制されておりますが、地方税が41兆2,305億円で過去最高となる見込みであることなどから、交付税や地方税など一般財源の総額は、交付団体ベースで、62兆135億円と、前年度並みが確保されたほか、「地域社会のデジタル化の推進」、「公共施設の脱炭素化の取組等の推進」などの重点項目に対しても、地方財政措置の拡充が行われております。
一方、昨年4月の市長就任後、私にとって初めての当初予算編成となりましたが、本市の令和4年度当初予算は、一般会計予算の総額で、474億1千万円となっております。
歳入の基幹である市税については、前年度比 約5億6千万円増の約78億4千万円、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた合計で、前年度比約2億3万円減の約179億6千万円、このほか、譲与税等を含めた主要一般財源の総額を、前年度比約6億2千万円増となる約283億4千万円と見込んだところであります。

歳出においては、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えたさまざまな分野における攻めの取り組みとして、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、人口減少対策、女性や若者に対する魅力ある仕事の創出、生活道路への市民要望にきめ細やかに応えていくための維持補修費などに、積極的に予算配分をしたところであり、また、引き続き、羽後本荘駅周辺の整備や、新ごみ処理施設の建設、新山・矢島小学校の改築や本荘東中学校区統合小学校建設など、市民生活に直結するインフラ施設の整備に取り組んでまいります。
令和4年度も、多額の基金繰入を見込むなど非常に厳しい財政状況ではありますが、過疎債や緊急防災・減災事業債などの交付税措置のある有利な地方債を活用しながら、「持続可能な行財政運営の推進」を基本方針とした「第四次行政改革大綱」に基づき、市民福祉の向上と安定的で質の高いサービスの持続的な提供に向けて、行政改革の取り組みを積極的に進めてまいります。
また、さまざまな行政課題の解決に向け、取り組むべき施策・事業を重点的に推進していけるよう、行政運営のスリム化・効率化、そして、市民にとってわかりやすく効果的な行政サービスの提供を目指し、組織機構を改めます。
なかでも、新たに観光文化スポーツ部を設置し、芸術文化・スポーツ・観光の相乗効果による交流人口の増加や賑わいの創出に、一体的、総合的に取り組んでまいります。

それでは、令和4年度において展開する施策の概要について、「6つの重点施策」の柱立てに沿ってご説明いたします。

1点目は「地元産業振興による経済活性化と若者定着、担い手育成」です。

商工業の振興につきましては、世界的な半導体需要の急拡大に加え、5G関連の生産活動が堅調に推移していることから、県営本荘工業団地内で進められている戦略的なマザー工場化の取り組みと、地域企業に対する重層的な支援を行うことにより、さらなる産業集積の強靱化と雇用創出を実現してまいります。
また、令和4年度は、一番堰まちづくりプロジェクトに伴う、周辺エリアのインフラ整備がいよいよ本格的に始動いたします。
市といたしましては、エリア構想の主要幹線となる市道一番堰薬師堂線及び市道薬師堂25号線の用地取得を進めるほか、昨年から進めている一番堰都市下水路など、新たな雇用創出に向けた居住環境の整備を着実に進めてまいります。
開所20周年を迎えた本荘由利産学共同研究センターは、これまで産学官金連携の推進拠点として、起業・経営支援をはじめ、研究開発助成事業を持続的に実践しており、サテライトオフィスを本格的に活用しながら、デジタル人材の育成やイノベーション創出支援事業を展開し、新分野参入と生産性向上の取り組みを支援してまいります。
さらに、「中小企業融資あっせん制度」をフル活用し、引き続き、事業継続の下支えを強化することに加え、1月に展開したキャッシュレス決済ポイント還元の事業基盤を地域経済の再生につなげるとともに、創業支援及び商業店舗リフォーム補助事業を推進し、攻めの事業者支援を展開してまいります。

次に、農林水産業についてでありますが、米政策においては提示された「生産の目安」を踏まえつつ、水田活用米穀や高収益作物へのさらなる転換を促しながら、需要に応じた「売れる米づくり」を推進するとともに、「サキホコレ」の本格デビューに向けた広告宣伝費や、栽培適地以外の実証試験に対する支援を行い、主要産地の確立を目指してまいります。
また、規模拡大などにつながる水稲機械の導入支援やフレコン 出荷調整設備導入に対する支援を継続しながら、経営基盤の強化を図り、農地の受け手となる担い手の育成・確保に努めてまいります。
園芸作物につきましては、「秋田鳥海りんどう」、「アスパラガス」、「シャインマスカット」など、高収益作目の振興を図るとともに、国や県事業等を活用できない取り組みであっても、本市農業の成長につながるものに対しては、市独自に機械・資材等の導入を支援してまいります。
また、新たに本市に定住・定着し、就農を目指す「地域おこし協力隊」を採用するほか、経営規模や経営形態にとらわれない多様な担い手の育成・確保や、新規就農を目指す方のための環境整備を図るとともに、農地中間管理事業等の活用や、市独自に中山間農地等の受け手への支援を行うことにより、効率的な農地利用を推進し地域の優良な農地の維持・保全に努めてまいります。
スマート農業の推進につきましては、農業用ドローンやスマート機能付き農業機械の導入などの省人化・省力化につながる取り組みを引き続き支援しながら、地域の特性に応じた生産性向上を促進してまいります。
畜産につきましては、規模拡大や新規就農を目指す農家には、国や県の補助事業への嵩上げ支援のほか、畜舎等の用地造成に対する、市独自支援を継続してまいります。
また、国の畜産公共事業による施設や機械、草地の更新など、基盤強化を図るための事業計画策定に着手しながら、肉用牛農家の維持拡大を支援し、県内一の産地形成に努めてまいります。
秋田由利牛の振興につきましては、取扱店の確保・拡大などの流通販売対策や消費拡大対策を積極的に展開し、秋田県をリードする「秋田由利牛ブランド」の確立に向けてさらに進めてまいります。
本市産品の消費・販路拡大につきましては、地元においては、学校給食や食生活改善などを通した食育と、地産地消の取り組みを推進するとともに、市外への本市産品の売り込みにつきましては、首都圏での試食販売会をはじめ、企業訪問や商談、バイヤー招聘事業を積極的に展開しながら販路を拡大し、販売額の増加を目指してまいります。
農業生産基盤整備につきましては、継続事業である本荘地域松ヶ崎地区と矢島地域小板戸地区の県営ほ場整備事業を支援するとともに、鳥海地域平根第二地区の事業採択に向けた調査・計画策定を推進してまいります。また、ため池の施設整備や、使用されていない決壊のおそれのある防災重点ため池の廃止に向け引き続き取り組むほか、日本型直接支払制度による農業生産活動への支援を継続してまいります。
森林・林業につきましては、森林環境譲与税を活用した、森林や作業道の整備、林業事業体の機械修繕、製材品の運搬経費などへの支援を継続するとともに、新たに、インターンシップや新規就業者の受入れ支援など、林業従事者の確保対策を進めながら、生産から販売まで一貫した支援体制により、木材資源の有効活用を促進し、地域林業の振興を図ってまいります。
また、松くい虫やナラ枯れ被害の防止対策を進め、森林の多面的機能の維持・増進に努めてまいります。
水産業につきましては、西目及び道川漁港について、施設の長寿命化を図るとともに、漁業者の操業の安全を確保するため、防波堤及び橋梁の計画的な補修整備に努めてまいります。

次に、若者等の地元定着対策といたしましては、地元企業と連携して、地域交流や休日の過ごし方などもプログラムに取り入れたインターンシップを開催し、第2のふるさとづくりにつなげてまいります。
また、奨学金の貸与受けた学生が、本市に定住の意思を持って居住した上で、県内に就業した場合に、奨学金の返還金を助成する制度を創設し、若者等の市内への定着と、地域の産業を担う人材の確保に努めてまいります。
なお、地元中学生、高校生に対しては、関係機関と連携しながら、キャリア教育や企業説明会など、ふるさとの魅力を知り、地元で働くことへの興味・関心を高める機会の充実を図り、地元定着に結びつけてまいります。
さらに、独身男女の出会いの場の創出としては、地域外からの人材を生かす地域おこし協力隊制度を活用し、イベントやサークル活動を通した若者同士の交流から、友達づくり以上・婚活未満の「自然な出会い」につなげる「アベイバ・プロジェクト」を展開するとともに、結婚に伴う引っ越しなどの費用を補助する「結婚新生活支援事業費補助金」を創設することにより、経済的不安を抱え結婚に踏み出すことをためらうカップルを支援し、結婚への展望を描ける環境を整えてまいります。

2点目は「自治組織と協働による市民生活に密着した課題解決につなげる施策」です。

少子高齢化社会にあっても、市民の皆様が安心して生活し続けられる社会を実現するため、行政と自治組織との連携の姿を明らかにするとともに、足腰の強い自治組織づくりに向けて、自治組織同士の連携や連合化、合併などの意向や可能性の調査を行ってまいります。
さらに、多様な地域の担い手を支援するため、「地域づくり推進事業」や「ともしび元気プログラム補助金」により、コロナ禍で分断された人と人を結びつけ、地域の賑わい創出につなげてまいります。
また、これまで地域の課題解決にむけて議論し、実践活動に取り組んできた「まちづくり協議会」を、新たに若者を中心としたメンバーによる「由利本荘プロモーション会議」へと一新いたします。若者によるそれぞれの地域での元気創出はもとより、地域間のネットワークづくりにまで輪を広げて地域のみならず市全体の元気創出につなげてまいります。
さらに、地域の特色を生かした施策を展開し、課題解決に向けた取り組みを強化するため、市内8地域において独自の事業を提案し実践する「元気な地域づくりチャレンジ事業」を新設し、SNSやストリートビューによる情報発信、共助活動の促進など今後の地域課題解決の実践モデルともなり得る事業として展開してまいります。
防災減災に向けた体制づくりといたしましては、消防車両の更新や消防団格納庫の建て替え、耐震性貯水槽の整備、消防団員の確保、安全装備品の配備など消防施設や装備の一層の充実強化を図ってまいります。
また、近年、異常気象による局地的な豪雨や豪雪・猛暑、あるいは大規模地震など全国各地で自然災害による甚大な被害が発生しており、本市においても、万一の事態に備えるため、大規模災害を想定した総合的な訓練を行いながら、市民の皆様に災害時の対応の周知を図るとともに、各関係機関との相互連携を深めてまいります。
加えて、自主防災組織等の総会や出前講座などにも積極的に足を運び、市民の皆様へ各地域で想定される災害の種類や危険箇所、災害発生時にとるべき基本的行動を周知するほか、自主防災組織活動促進補助金制度などを活用した、町内会等の共助による地域防災力の向上を図ってまいります。
なお、市民の暮らしを支え、多様な交流と産業の活性化を生み出す機能性の高い社会基盤の整備につきましても、効率的・効果的に展開してまいります。
羽後本荘駅周辺整備事業につきましては、東西自由通路や新駅舎が令和3年8月に供用され、令和4年度に計画される「駅前広場・駅東広場」の整備により完了いたしますが、アプローチとなる「停車場東口線」について、測量・設計に着手し早期完成を目指してまいります。
また、市道及び橋梁などの老朽化にかかる維持管理につきましては、長寿命化修繕計画に基づく橋梁点検や、市道の機能保全工事を重点的に行ってまいります。
水道事業につきましては、「矢島地域浄水場 建設事業」による浄水場の建設や送水管の布設工事を引き続き進めるとともに配水場の建設工事に着手いたします。
また、「鳥海ダム利水計画 整備事業」として送水管等の布設工事を進めてまいります。
下水道事業につきましては、処理区域の統廃合や既存施設の長寿命化、機能強化を進めるなど、施設の維持管理の負担軽減に努め、安定的な事業運営を図ってまいります。
ガス事業につきましては、環境にやさしい由利原産天然ガスの利用促進を図りながら、経年管更新事業を継続し、安全・安心な供給に努めてまいります。
公共交通につきましては、地域間や地域内の幹線を運行している路線バス等を維持していくほか、地域住民が自分たちに合った移動手段を自ら確保する「乗り[逢い]交通事業」の拡大と、路線バスの運賃負担を軽減するための「高齢者『おでかけ』促進事業」の普及に努め、移動手段の確保と利便性の向上を図ってまいります。
また、各地域で運行しているコミュニティバスが令和4年度で契約期間終了となることから、次の期間に向けて運行ルートの見直しや予約制へのシフトなど、さらなる利便性の向上と効率的な運営について研究を行ってまいります。

3点目は「未来を切り拓く子どもを地域社会全体で健やかに育てる施策」です。

子育て支援につきましては、弱視や眼疾患の早期発見・早期治療につなげるため、3歳児健診にあらたに検査機器を導入し、健診内容の充実と強化を図ってまいります。
また、子育て世代包括支援センター「ふぁみりあ」では、引き続き保健師や助産師が関係機関と連携し、妊娠期から出産、子育て期にわたる切れ目のない継続的な支援の充実を図ってまいります。
さらに、児童福祉につきましては、子育て家庭が安心と喜びを感じながら子どもを生み育てられるよう高校生世代までの医療費無料化の拡大など、引き続き、子どもを持つ親の経済的負担の軽減を図っていくほか、育児不安など子育て世帯が抱えている課題に対し、こどもプラザ「あおぞら」をはじめ、子育て世代 包括支援センター「ふぁみりあ」や福祉支援課の総合相談担当及び関係機関との協働により、きめ細やかに対応できるよう、相談支援体制の充実を図ってまいります。
次に、公園施設老朽化対策事業につきましては、市民のふれあいの場、子どもの遊び場や親子の交流の場である公園施設の更新整備を長寿命化計画に基づき進めてまいります。
また、今年度から着手している旧前郷小学校跡地での公園整備事業につきましては、第2期工事として、グラウンド側を町内会のイベントなど市民が気軽に活用できるよう「土の広場」として整備いたします。

次に、教育施策につきましては、教育委員会との連携を強化し、方向性を共有しながら本市教育の基本方針である「ふるさと愛に満ち、創造性あふれるひとづくり」を踏まえ、教育行政の推進に努めてまいります。
具体的施策につきましては、この後、教育委員会より教育方針を述べますが、引き続き「新山小学校」の改築事業に取り組み、「普通教室棟」の9月完成を目指すとともに、矢島小学校の移転改築事業に着手し、令和6年3月の「矢島小中高 一体型校舎」の完成を目指します。
本荘地域の小学校再編につきましては、学校やPTA、地域の方々の意見を伺いながら、本荘東中学校区と本荘南中学校区の適正な学校環境の構築に努め、令和8年4月の統合小学校開校を目標に「学びの環境づくり」を進めてまいります。
また、ICTを活用した「GIGAスクール構想」の推進につきましては、本市の強みを生かした独自の教育モデル「ゆりほんICT子供の学びアップデートプラン」を構築し、本市の特徴である「産学官連携」によるICT支援員の派遣やプログラミング学習と講座の開催、デジタル作品の発表や展示会などの取り組みを通して、子供たちのICT活用能力を育むとともに、市内全小中学校の「学校情報化優良校」の認定を目指すなど、本市独自の教育プランで子供たちの学びを支えてまいります。
生涯学習の振興につきましては、国指定史跡「鳥海山」など、指定文化財の活用に向けた整備を進めるとともに、本荘郷土資料館の老朽化を踏まえ、これからの本市にふさわしい「歴史文化拠点施設」の整備に向けた基本構想の策定に着手してまいります。
「鳥海山木のおもちゃ美術館」と「あゆの森公園」につきましては、「多世代交流」と「木育推進」の拠点として一体となった施設の運営に努めるとともに、広くPR活動を展開し利用促進を図ってまいります。
また、誕生祝い品や「市産材」で製作する木工ブランド品の開発及び販売を進めるなど木育活動及び木育事業の推進に努めてまいります。
芸術文化の振興につきましては、「芸術文化協会」などの市民団体の主体的な活動を支援しながら、市民が生きがいをもって暮らすことのできる芸術文化活動の盛んな賑わいのまちづくりを進めるとともに、文化交流館「カダーレ」を中心に優れた舞台芸術に触れる機会を創出いたします。
また、本市の特色ある文化を生かし、地域の活性化を図るため「人形劇フェスティバル」などの市民主体の各種事業を積極的に支援するなど、芸術文化の振興に努めてまいります。
さらに、本荘由利圏域で活動する優れた芸術作家による「由利本荘美術展」を開催し、市民が多様な芸術と出会える機会の創出と、新たな芸術文化の芽となる人材の発掘に努め、芸術文化の向上を図ってまいります。
生涯スポーツの振興につきましては、市民一人ひとりが生涯にわたって豊かなスポーツライフの実現を目指す、そのきっかけづくりとなるよう、今年も「チャレンジデー」への参加を推し進めるとともに、由利本荘市スポーツ協会やスポーツ推進委員、各競技団体と連携し、ボートやカヌー、パークゴルフ、ソフトボールなど、スポーツ・レクリエーション活動の普及、定着に努めてまいります。
さらに、競技スポーツの振興においては、各競技団体やスポーツ振興大使などと連携しスポーツ教室を開催するなど、指導者の育成と併せ、競技力の向上に努めてまいります。
関連して、県内のトップスポーツチームである「秋田ノーザンハピネッツ」、「ブラウブリッツ秋田」や「アランマーレ秋田」と連携してスポーツ教室を開催するなど、子供たちが夢を持ってスポーツに打ち込めるような事業を展開してまいります。

4点目は「全ての世代が健康に生き生きと暮らすために必要な支援を受けられる、医療と介護の連携強化」です。

今後の新型コロナウイルスのさらなる感染拡大防止のための3回目のワクチン追加接種につきましては、高齢者の接種間隔の前倒しを行い、接種が開始されているところでありますが、予約枠に空きがあるところには、保育士や小中学校教職員等を前倒して接種の対象とし、順次接種を進めてまいります。
3月には、小児への接種も開始となる予定であり、今後も国からの情報を注視しながら、医師会等関係機関との連携を密にし、希望者が不安なく接種できるよう迅速に対応してまいります。
健康づくりにつきましては、インターバル速歩事業など市民活動と連携した取り組みのほか、一人で悩みを抱えることなく、相談しやすい環境を整えるなど「こころの健康づくり事業」を推進してまいります。
地域医療につきましては、中核病院である由利組合総合病院への運営費支援や医師の確保に努め、市民の皆様が将来にわたり安全・安心に暮らすことができるよう、充実した医療提供体制の確立を図ってまいります。

次に、福祉支援についてでありますが、地域福祉につきましては「第3期地域福祉計画」に基づき、社会福祉協議会や民間団体、地域住民との協働を推進し、福祉サービスの向上と地域共生社会の実現に努めてまいります。
高齢者福祉につきましては、高齢者が住み慣れた地域で、安心して生き生きと暮らし続けられるよう、引き続き「第8期高齢者保健福祉計画」に基づき、高齢者を支える地域づくりと一体となった高齢者福祉事業や介護施策を推進してまいります。
また、地域の高齢者やその家族から寄せられる複合的な相談につきましては、関係機関と連携して迅速かつ細やかに対応するとともに、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に、切れ目なく提供できる「地域包括ケアシステム」のさらなる充実を図り、包括的な支援体制を強化してまいります。
なお、市民に低廉で質の高い居住の場を提供する市営住宅につきましては、老朽化に伴う建替事業として進めている「松涛団地一号棟」について、令和4年度中の供用開始を予定しているところであります。

5点目は「行財政改革の徹底と効率的な行財政運営」です。

行政改革の推進につきましては、「第4次行政改革大綱」や2期目となる「公共施設等総合管理計画」に基づき、「持続可能な行財政運営の推進」を基本方針に、各分野における改革を推進してまいります。
老朽化したスポーツ施設につきましては、本市の「スポーツ振興計画」に基づき、引き続き改修を行うほか、昨年9月に法人化された「由利本荘市スポーツ協会」のさらなる組織強化を図るとともに、競技団体やスポーツ少年団への支援充実も推し進めてまいります。
また、スポーツ立市宣言から7年目を迎え、スポーツ立市をさらに推進させるとともに、「健康で笑顔あふれる地域づくり」を目指し、「する」、「観る」、「支える」スポーツの充実に努めてまいります。
特に、由利本荘 総合防災公園「ナイスアリーナ」をスポーツ振興の拠点施設に位置づけ、引き続き、施設の特徴を生かした事業を開催し「躍動と活力のあるまち」、「市民が主役のスポーツ立市」の推進を一層力強く進めてまいります。

次に、第三セクターにつきましては、「第三セクターの見直しに関する指針」を改訂し、抜本的な見直しを進めるとともに、 指定管理者制度についても、導入・運用にかかる「ガイドライン」を定め、より適正な運用を図ってまいります。
ケーブルテレビ事業につきましては、令和5年度からの民間移行をめざし、指定管理者を公募しているところであり、今後、指定管理者選定に向けた手続きを進めていくこととしております。来年度は、それに向けて、老朽化した機器を更新し、安定した放送環境の整備を行ってまいります。

情報政策につきましては、令和3年9月にデジタル庁が発足したことにより、行政のさらなるデジタル化が加速されることから、平成27年に策定した「由利本荘市電子行政推進計画」を「由利本荘市 デジタル化 推進計画」へと改定し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のため、行政手続きのオンライン化など市民の利便性向上を図ってまいります。
また、市民に対するマイナンバーカードの取得促進や、キャッシュレス導入などを推進計画に盛り込むなど、デジタル化の推進を全庁あげて強力に推進してまいります。

次に、新ごみ処理施設 整備事業につきましては、今年度に引き続き、建設予定地及びアクセス道路の用地取得並びに立木補償を進めるとともに、生活環境影響調査、基本計画策定などを行った上で、本市に最適なごみ処理方式を決定するとともに、敷地造成工事に着手いたします。
今後も引き続き、地域の皆様に丁寧に説明しながら、事業を推進してまいります。

地球温暖化対策と再生可能エネルギーにつきましては、世界的な脱炭素の流れが加速度的に広まっており、我が国においても、昨年10月に「地球温暖化対策計画の改定」と「第六次エネルギー基本計画」を閣議決定しております。地球温暖化対策計画における「2050年カーボンニュートラル」宣言の達成に向けた、温室効果ガス排出量の削減、並びに、エネルギー基本計画における電源構成に占める再生可能エネルギー比率の大幅な引き上げなど、それぞれの計画で定めた目標の達成には、再エネ電源のさらなる推進が必要とされております。
とりわけ、大規模開発が可能な洋上風力発電については、世界的に導入が拡大しており、本市沖の促進区域においても昨年末に事業者が選定され、国内初の着床式大規模洋上風力発電事業として、本格的に工事が始まることとなっております。
今後、再開される法定協議会等の場においては、漁業を含む関係者とともに、地元企業の参入や出捐金の活用方法などについて、地域活性化につながるよう協議を進めてまいります。
また、工事やメンテナンスに伴うローカルサプライチェーンの構築など、雇用を含めた地域産業の活性化と経済波及効果の最大化に向けて要請してまいります。
一方、太陽光や風力発電施設の開発が急速に進んだことで、全国的に景観や心理的な圧迫感、自然環境への影響など心配される声も増えてきております。市では、昨年4月に「再生可能エネルギーの利用を目的とした施設の建設に関する手続ガイドライン」を改定したところであり、再エネ事業者に対し、市民への正確で迅速な情報提供をお願いしていくほか、不安や疑問の声が寄せられた場合には、引き続き、事業者と連携を図りながら、速やかに対応してまいります。

次に、職員の育成についてでありますが、社会構造や経済環境の変化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大への対応など、市民のニーズが多様化している中、地域課題に迅速かつ的確に対応するためには、職員自らが専門性の向上を図りながら、広い視野と市民感覚を持って、能力を最大限に発揮していくことが重要であると考えております。そうした職員の育成に向けて、適材適所の人事管理を行いながら、計画的な職員研修に努めるとともに、国や県、民間企業との人事交流に積極的に取り組むほか、職員同士で自己研鑽を積む場を設けるなど、職員の資質向上を図ってまいります。

6点目は「アナログも大事にしつつ、IT技術を最大限活用した全世界への市の魅力発信」です。

観光振興につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年の「東北デスティネーション キャンペーン」では、予定していたイベントなどが十分に開催できませんでしたが、本年は、それをフォローする事業として、JR東日本が本県をはじめとする北東北3県を重点販売地域に指定する「大型観光キャンペーン」が、7月より3カ月間にわたり展開されます。
本市においても「羽後本荘駅 開設百周年記念イベント」など、さまざまなイベントを展開し、本市を訪れる多くのお客様をしっかりとお迎えできるよう取り組んでまいります。
また、アフターコロナを見据えて、本市の魅力を全国にPRできる絶好の機会と捉え、JRグループや旅行エージェントと連携した取り組みにチャレンジしてまいります。
さらに、「由利本荘市 観光振興計画」及び「鳥海山観光ビジョン」を基に、鳥海山をはじめとする環鳥海エリア観光を推進するため、エリア内の自治体と連携を図りながら、遊んで食べて泊まって楽しい、滞在型観光を推進してまいります。
令和10年度に完成が予定されている「鳥海ダム」につきましては、現在、子吉川を迂回させる転流工工事が順調に進められているところでありますが、ダム建設にともない付け替えられる市道百宅線については、法体園地や猿倉温泉など鳥海山周辺の観光拠点との周遊性を高めるルートとして、令和9年度の完成を目指して整備が進められているところであります。
ダム完成後には、環鳥海エリアの魅力ある観光資源としての活用が期待されるほか、ダム完成前から工事現場を見学するインフラツーリズムや、ダム湖に沈みゆく百宅地区の歴史などを学ぶ「百宅さと歩き」など、ツアーガイドの養成に努めながら今しか見られない観光素材として活用し、観光誘客につなげてまいります。
また、昨年再認定を受けた、「鳥海山・飛島ジオパーク」につきましては、ジオパーク活動の目指す「持続可能な地域社会の構築とそのエリア内にある地域資源の保全の両立」の達成に向けて、ジオパーク推進協議会と四市町が連携を図りながら、「ユネスコ世界ジオパーク」認定に向けた活動を引き続き推進してまいります。

ICT・情報通信技術を活用した新しいワークスタイルの推進につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、大都市圏を中心に、テレワークや二拠点暮らしなど、仕事や暮らしに地方を取り込む、新たな生活様式の高まりが見られることから、本荘由利産学共同研究センターの「サテライトオフィス」を活用したテレワークを推進し、首都圏企業等への働きかけを強化するなど幅広い利用の促進に努めてまいります。
さらに、働き方改革により新しい日常として位置付けられている「ワーケーション」においては、本市の豊かな自然を体感しながら各地域の歴史や伝統文化に触れ合うことによる、交流人口の増加が見込まれます。今後、コロナ禍で「テレワーク」の下地ができた首都圏等の企業に働きかけるほか、受入れ側の環境整備として、宿泊施設や観光施設に対する通信環境やオフィス機能整備に努めてまいります。
さらに、移住の促進にあたっては、こうした地方回帰の機運を捉え、お試し移住体験住宅等複合機能施設「ここわき」を拠点に、就労や地域交流等の体験イベントを関係機関と連携して開催するなど、本市での魅力ある暮らしぶりを肌で感じられるような取り組みを展開するとともに、引き続き「仕事」や「住まい」の情報提供など、相談者に寄り添った支援を丁寧に行ってまいります。
また、地域おこし協力隊による「ナリワイづくり」を通して、人や地域が新たな人を呼び込む仕組みづくりについても、取り組んでまいります。

次に、スポーツを通した交流人口の拡大につきましては、今年度、ナイスアリーナを会場に、全日本中学校バレーボール選手権や東北中学校バドミントン大会などの開催が予定されており、引き続き、関係機関との連携を図りながら、全国規模のスポーツ大会やスポーツ合宿等の誘致活動を推進してまいります。
また、7月上旬には、世界有数のライブ・エンターテイメントとして世代を超えて愛され続けている氷上のミュージカル「ディズニー・オン・アイス」日本公演が予定されており、今後も、こうしたエンターテイメントやイベントを招致し、交流人口の拡大による地域経済の活性化と賑わいのまちづくりにつなげてまいります。

ふるさと納税につきましては、返礼品を通して市の魅力を発信し、地元特産品の販路拡大につなげるとともに、ニーズに沿った返礼品を発掘するほか、事業者と連携して新たな返礼品の拡充を図りながら、受付サイトでの広告や、最も寄附者の多い首都圏において、返礼品事業者と一体となって返礼品の魅力発信を行うなど、さらなる寄附金の増額を目指してまいります。

広報事業につきましては、市公式ホームページを、令和5年1月より全面的にリニューアルを行い、見やすさと情報の充実を図ることで、市民はもとより世界中のあらゆるところからアクセスした方に、本市の良さをあますことなく発信できる、日本一のホームページを目指します。
さらに、市広報やSNS、ケーブルテレビなど、それぞれの媒体の特性を生かしながらこれまで以上に市政情報や本市への関心を高める情報の発信にも取り組んでまいります。特に、迅速な情報発信が非常に重要であることから、市では今月に入り広く普及しているメッセージアプリ「LINE」により、必要とする市民に必要な情報をプッシュ配信するサービスを開始したところであり、引き続き、市公式フェイスブックやツイッターなどのSNSを活用し、最新の情報を提供できるよう発信力の強化に努めてまいります。

以上、令和4年度に進めてまいります施策の概要について、述べさせていただきました。

早いもので、私が市長に就任してから10カ月が経ちました。私の政治信条である「市民生活がいちばん」を胸に、日々市政運営に懸命に取り組んでいるところであります。
この間、1年延期されていた東京オリンピック・パラリンピックが開催され、いったんは現役を退かれていた本市出身の小野祐佳さんが、厳しい鍛錬を積み重ね、見事カヌー競技の日本代表として出場されました。
世界の強豪を相手に懸命に戦う姿は、多くの市民に感動を与え、私もコロナ禍という難局を乗り越える勇気と明日への希望をいただきました。

今年の干支、壬寅は「厳しい冬を越えて、芽吹き始め、新しい成長の礎になる年」と言われています。
令和元年の末に端を発し、長らく世界中で猛威を振るったコロナ禍を乗り越え、本市が強く大きな成長に向けて動き出す、そんな1年になるよう努めてまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げまして、施政方針といたします。

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