所信表明(令和7年第2回由利本荘市議会臨時会)
令和7年第2回市議会臨時会(令和7年4月25日開催)より
本日、令和7年第2回市議会臨時会を招集させていただきましたが、開会にあたり所信の一端を述べさせていただきたいと存じます。
はじめに、この度の市長選挙についてでありますが、去る3月30日に告示されました市長選挙において無投票当選させていただき、再度市政のかじ取り役として、市民の皆様から付託を受けることとなりました。
改めて職責の重さを痛感するとともに、身の引き締まる思いがしているところであります。
人口減少対策のほか、豪雨災害への対応など数多くの課題を抱えておりますが、これまでに取り組んできた成果をさらに伸ばしていくとともに、新たな政策課題にも積極果敢に挑戦し、「市民生活がいちばん」という政治信条のもと市民の皆様が不安なく笑顔で日々生活できる由利本荘市の実現に向けて取り組んでまいる覚悟であります。
さて、1期目を振り返りますと、前半2年の新型コロナウイルス感染症や、昨年度7月に発生した豪雨災害など、これまで経験したことのない不測の事態への対応に追われた4年間でありましたが、なによりも市民の安全・安心の確保を第一に、全庁あげて全力で取り組んできたところであります。
また、高校生年齢までの医療費無料化や、プロモーション会議を通した若者の活躍の場の創出、移住定住促進、交流人口の拡大、行財政改革の推進など、人口減少の進行や厳しい財政状況など喫緊の課題の解決に向け積極的に取り組んでまいりました。
他方、現在再評価が行われ今後の動向を注視する必要がありますが、本市沖での洋上風力発電事業のほか、本年、本体工事に着手した「鳥海ダム建設」など、今後の飛躍につながる可能性を秘めた各種大型プロジェクトを有しており、本市経済のみならず市民生活にも大きな効果が期待できることから、今後とも、その円滑な事業促進を働き掛けてまいります。
今後、社会経済情勢は我々の想定を超えて大きく変化を遂げていくものと見込まれますが、時流を踏まえた新たな取り組みに積極的にチャレンジするとともに、本市の持続可能性を高めさらなる発展を目指した市政の取り組みが強く求められており、今後の市政運営の基本的な考え方について、述べさせていただきます。
まず、個別の政策課題に先立ち、市政運営に影響のある世界の潮流について申し述べたいと思います。
1つ目は、デジタル・トランスフォーメーションの進展であります。
技術の進展とともに各分野でのIT化やデジタル化が急速に進んでおり、近年は単なる効率化の追求に留まらず、従来のスタイルにこだわらない新たな仕事の進め方など「デジタル・トランスフォーメーション」の進展により、これまでの日常が大きく変革しており、行政やまちづくりにおいても、こうした状況にしっかりと対応していくことが求められております。
本市におけるデジタル化については、市民にとっての利便性向上や業務の効率化のほか、産業分野においても雇用形態の多様化への対応、観光振興における発信力の強化、教育現場での学びの質の向上など、多くの面で効果を発揮してきているところであります。
広大な面積を持つ本市にとってデジタル化により享受できる恩恵は極めて大きいものであり、アナログも大事にしつつデジタルを最大限に活用するという基本スタンスで各種施策を展開してまいります。
2つ目は、カーボン・ニュートラルの推進であります。
近年、異常気象や自然災害が世界各地で発生しており、本市においても昨年、豪雨災害により甚大な被害を受けたところであります。こうした状況は地球温暖化による気温上昇に起因するものと考えられており、カーボン・ニュートラルによる温室効果ガス削減を、官民それぞれの立場で推進していくことが強く求められております。
本市では、令和5年2月に「由利本荘市ゼロカーボンシティ宣言」を行ったところであり、市民、事業者、各種団体が市と連携・協議しつつ、2050年までに二酸化炭素を実質排出ゼロにするという目標に向けて取り組みを進めることとしております。
本市の有する豊かな山林や、今後整備が見込まれる風力発電施設などを活用するとともに、市としても排出量の抑制に努めるなど、各種施策の展開によりゼロカーボンシティの実現を目指してまいります。
3つ目は、ダイバーシティ・多様性への取り組みについてであります。
昨今は、一人ひとりが持つ多種・多様なバックグラウンドを相互に認め合い尊重しあうことが当たり前となってきており、人種や性差、キャリアなどを互いに受け入れ、共存していくことが大切であります。
こうした考え方が、多くの人々の共通認識となることで、誰もが住みやすく暮らしやすい環境が整い、若者の定着や女性の活躍にもつながっていくものと考えております。
また、多様性は個人の生き方のみならず、産業の在り方や雇用の形などにも通ずるものであり、より豊かな社会の構築に資するものでもあります。
さらには少子化・人口減少対策にも直結するテーマとも言えるものであることを踏まえながら、各種施策により多角的に取り組んでまいります。
こうした3つの考え方は、社会の一員である多様な主体それぞれに配慮することが求められるものであるほか、市が行うさまざまな施策にも通底するものであることから、本市が持続的に発展していくための基本的な考え方のベースとしつつ、市政運営にあたってまいりたいと考えております。
次に、私の市政運営の柱となる「5つの施策」についてご説明申し上げます。
1点目は、地域の活力を創出する「産業振興」であります。
地域が、元気に活力あふれるまちとなるためには、それぞれの地域に根ざした産業の振興と、それによる地域経済の活性化が不可欠なものとなっております。
農林水産業においては、ロボット技術やICTを活用した「スマート農業」の導入による省力化・効率化を進めるとともに、担い手の確保・育成の取り組み、地場産品の認知度向上とブランド化の確立を推進し「稼げる農林水産業」の確立を図ってまいります。
商工業においては、地場産業への積極的な支援と後継者育成による活性化を促進するほか、「起業するなら由利本荘市で」をキャッチフレーズに、起業やビジネス拡大へのチャレンジなどを積極的に支援し、事業者と連携した雇用の拡大を図ってまいります。
2点目は、市民の健康寿命の延伸につながる「健康増進」であります。
市民生活で最も大切なことは、誰もが健康で、快適に長らく暮らしていけることであります。
インターバル速歩をはじめとする市民の健康づくりやスポーツ活動の推進により、全世代の健康を増進し、健康寿命の延伸を目指してまいります。また、充実した地域医療を確保し、全ての市民が容易に医療アクセスできるよう取り組んでまいります。
また、関係機関との連携についても一層強化し、保健・医療・福祉のさらなる充実に向けて、各種施策を積極的に展開してまいります。
3点目は、本市の将来を担う人材を育む「子育て環境充実」であります。
少子高齢化の進行とあわせ、若者の市外への流出が叫ばれる中にあっては、「子育て支援」だけに留まることなく、結婚から出産、子育てに至るまでを安心して行えるような環境を複合的に整えていくことが極めて重要となっております。
こうした一連の子育て支援策により、若者の経済的負担の軽減を図り、地域定着を促すとともに、出会いの場の創出を図るなどにより、結婚を希望する市民が一歩を踏み出せるよう環境を整備してまいります。
また、安心して出産・子育てができる環境づくりとして「伴走型」での支援策を充実させるほか、国や県の動向を踏まえつつ、給食費・保育料無償化の実現に向け取り組んでまいります。
併せて、3世代の近居・同居環境を整備することにより世代間の助け合いによる日々の暮らしに関する課題の解決につなげるなど、暮らしやすい家庭環境の構築を目指してまいります。
4点目は、市民生活の「安全安心」であります。
近年、全国各地で集中豪雨による土砂災害や河川の洪水被害など大規模な災害が多発しており、昨年7月には本市においても豪雨により甚大な被害が発生いたしました。これらの復興に引き続き全庁を挙げて力を注ぐとともに、道路や河川などのインフラ整備を効率的に行いながら、単なる原状回復に留まらない強靭さを備えた復旧により「災害に強いまちづくり」を一層進めてまいります。
また、多くの方に取りこぼしなく避難指示などを届けるため、「避難情報電話・ファクスサービス」の導入などにより、災害時の情報伝達体制をさらに手厚くし、災害時の逃げ遅れリスクの低減を図ってまいります。
また、市民の安全安心の基盤となる地域コミュニティがしっかりと持続できる環境を整えていくため、地域に寄り添った課題解決に努めるとともに、自助・共助・公助の役割分担を明確化し、災害リスクへの対応力強化を目指してまいります。
加えて、昨年度設置した「災害検証委員会」の最終報告を踏まえ、市役所庁内での対応力強化に取り組むなど、ハードソフト両面で災害に強いまちづくりを進めてまいります。
また、地域公共交通の維持充実に努め、買い物、通院・通学など市民の移動利便性を確保するとともに、AIオンデマンド交通導入に向けた実証実験に取り組んでまいります。
併せて、今後も続く人口減少に対応しながら、持続的に行政サービスを提供できるよう、業務の整理と機構の見直しを行い、市民にとって安心できる市の組織機構の構築を目指してまいります。
また、市が所有する公共施設の適正化などを含む、行財政改革を一層進め、効率的な行政運営と財政負担の軽減を図ってまいります。
5点目は、将来の発展の力となる「地域活性化」であります。
人口減少が進行するなか、市が活性化し成長していくためには、直接的に訪れていただく交流人口のみならず、いわゆる「関係人口」を増やす取り組みが重要であり、観光誘客はもとより、出身者や定期的な訪問者など、さまざまな形で本市に関わる全ての人々の増加を図り、その方々が本市の応援団として本市の活性化に寄与していただける機運の醸成を図っていくことが重要であります。
また、観光振興においては、全国の各自治体がそれぞれ地元の魅力を強力にアピールし、工夫を凝らした取り組みで相互に競い合っている状況にあり、本市がそうした状況に埋もれることなく存在感を発揮していくためには、効果的なPRを行うとともに、誰にでも伝わる高い知名度と、多くの人を引き付ける強いインパクトが求められております。
こうした状況を踏まえ、本市においては「鳥海山」をキラーコンテンツに位置づけ、市境県境を越えた広域連携による観光振興を展開するとともに、市独自の観光資源についても一層の充実強化を図りながら、戦略性を持った誘客促進に努めてまいります。
また、鳥海ダムを活用した誘客スキームの確立を目指し、ダム工事見学ツアーを含む法体園地周辺エリアの観光誘客を促進してまいります。
加えて、本市の現状として、観光誘客を直接的に収益化に結び付けにくい産業構造になっていることから、観光による誘客効果を地域全体に循環させる仕組みづくりに取り組み、観光消費を市民の雇用や所得につなげ、本市の観光を確固たる産業として確立してまいります。
また本市では、洋上風力発電施設の整備が進められているほか、浮体式風車の実証実験も行われる計画となっているなど、全国的にも抜きん出た「再エネ先進地」になろうとしております。こうした特色を活かし、企業・団体との連携による経済効果を最大化するとともに、地域活性化の促進にもつなげてまいります。
併せて、多様化する移住ニーズを的確に捉え、移住希望者の掘り起こしと定住促進を進めるとともに、ふるさと納税をしていただいた皆様やふるさと応援大使、風力発電事業やダム事業に関わる皆様、本市に関わる全ての人々を「関係人口」と位置づけ、その拡大に努めてまいります。
以上、今後の市政運営の柱となる「5つの施策」について述べさせていただきました。
市長就任からの4年間、私は多くの市民と語り合い、皆様からいただく沢山のお話に耳を傾け、そのご意見を少しでも市政に反映できるよう努力してまいりました。
併せて、情報の発信にも積極的に取り組み広報紙やケーブルテレビはもちろん、SNSなどもフル活用し、自ら率先して情報発信を行ってまいりました。
人と人との関係においては、情報の共有と共通理解が何よりも大切であり、このことは市民と行政の間であっても同様のことと考えております。
今後、引き続き、積極的な情報発信に取り組むとともに、これまで以上に市民の皆様とコミュニケーションを深めてまいります。
こうした市民との対話を基軸にしながら、これまでの枠にとらわれない新しい発想に基づき、誕生から20年となる由利本荘市の新たな姿を創造する思いで、市長として課題解決の先頭に立ち、全身全霊で、持てる力すべてを発揮し尽くす覚悟であります。
市民の皆様、議員の皆様におかれましては市政運営への特段のご理解とご支援を賜りまして、「希望あふれる やさしい由利本荘市」創造へ続く道を、ともに切り開いてくださいますよう心からお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。
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