施政方針(令和3年第2回由利本荘市議会定例会)

ページ番号1005281  更新日 2022年12月14日

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令和3年第2回市議会定例会(令和3年5月17日開催)より

写真:施政方針

本日、第2回市議会定例会において、政策経費の予算を提案させていただいたことにより、令和3年度の予算がまとまりましたので、市政運営にあたっての施策の概要を述べさせていただきます。議員の皆様には、この機会を賜り、厚く御礼申し上げます。

昨年来、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい、国内においても、東京都や関西圏などを対象に、3度目となる緊急事態宣言が行われ、全国各地で感染者数が過去最多を更新するなど、「第4波」と言われる中で、感染拡大の収束が見通せない状況が続いております。感染拡大のさらなる長期化は、地域経済のみならず、医療、福祉、教育、文化、地域活動など、社会全体を疲弊させ、さまざまな影響を及ぼすこととなります。
市では、国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を有効に活用し、地域の実情に応じて、きめ細やかに必要な支援を行ってきているほか、新型コロナウイルスワクチンについて、国が定める優先接種対象者から順次、接種を進めながら、感染症のまん延防止と重症化の予防を図るとともに、アフターコロナの生活様式に対応できるよう、デジタル化を推進するなど、市民の皆様の安心・安全を第一にすえた、対策を講じてまいります。

本市は総合計画である「新創造ビジョン」に基づき、「人口減少に歯止めをかける」という大きな課題に取り組んでまいりましたが、先日、秋田県が公表した令和2年国勢調査の人口速報集計において、本市の人口は74,763人と、前回平成27年から5,164人減少し、減少率は6.5パーセントと、秋田県全体の減少率6.2パーセントを0.3ポイント上回る状況となっております。
この後、11月に総務省から確定値が公表される予定となっておりますが、人口の減少は、地域コミュニティや地域経済の衰退に加え、地方交付税や市税の減収など、あらゆる分野に影響を及ぼす、市政運営の根幹にかかわる最重要課題であります。
その課題の解決は容易ではなく、対策もすぐに成果を出せるものではありませんが、人口減少の実態を多角的視点で捉え、さまざまな解決策を講じることが何よりも重要であり、スピード感を重視しながらも着実に取り組んでまいります。

国が示した令和3年度の地方財政計画によると、新型コロナウイルス感染症の影響により、地方税等が大幅に減少する中、自治体が行政サービスを安定的に提供しつつ、地域社会のデジタル化や防災・減災、国土強靱化の推進など重要課題に取り組めるよう、一般財源総額について、交付団体ベースで前年度を上回る62兆円を確保し、地方交付税も昨年度より8千億円を増やした17兆4千億円と、3年連続の増となっております。
一方、市の財政につきましては、歳入の普通交付税において、地方財政計画の増額分や国勢調査での人口減少分を調整し、総額で約157億9千万円、臨時財政対策債との合計では約171億9千万円と見込んでおります。また、歳入の根幹である市税については、新型コロナウイルスの影響などもあり、前年度比6億5千万円ほどの減額となっております。

歳出面では、「高校生年齢までの医療費無料化」や「おたふくかぜの予防接種助成」など、子育て環境の充実を図るほか、「総合計画・新創造ビジョン」及び「総合戦略」に基づき、8月に完成予定の羽後本荘駅東西自由通路の整備や、教育環境の充実のため、新山小学校、矢島小学校などの建設に取り組むとともに、新ごみ処理施設整備事業などインフラ施設の整備に取り組み、地域経済の活性化、真に開かれた市政を目指し、予算を編成したところであります。
今後とも、過疎債や緊急防災・減災事業債などの交付税措置のある地方債を活用し、安心・安全な市民生活の確保に努めながら、「持続可能な行財政運営の推進」を基本方針とした「第4次行政改革大綱」に基づき、市民福祉の向上と安定的で質の高いサービスの持続的な提供に向けて、行政改革の取り組みを積極的に進めてまいります。

それでは、令和3年度の重点施策の概要につきましては、私が市政運営において展開する「6つの施策」に沿って、主な事項をご説明いたします。

1点目は「地元産業の振興による地域経済の活性化と若者の定着、担い手の育成支援」であります。

商工業の振興においては、電子部品・デバイス製造業にかかる5G関連や、車載用部品の受注増が顕著であり、県営本荘工業団地内の本格的なマザー工場化に向けた取り組みを、重層的に支援することにより、産業集積の強靱化と雇用創出を目指してまいります。
さらに、本荘由利産学共同研究センター内に開所した、サテライトオフィスを活用し、国内外の人材誘致を戦略的に展開するとともに、「IoT先端技術導入研修事業」を実施し、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の取り組みを加速させてまいります。
加えて、新型コロナウイルス対策支援事業を含め、「中小企業融資あっせん制度」を拡充し、持続的な事業者支援に取り組むほか、「創業支援」及び「商業店舗リフォーム補助事業」を推進し、意欲ある事業者を積極的に支援してまいります。
若者等の地元定着対策といたしましては、企業を対象に、インターンシップの導入促進や、新卒者獲得のためのスキルアップ講座などを行うほか、中学生や高校生に対しては、関係機関と連携しながら、企業説明会等の機会の充実を図ってまいります。
また、起業したい方への徹底した支援により、新たなビジネスモデルの確立や雇用の場の促進に努めてまいります。
なお、「一番堰まちづくりプロジェクト」につきましては、現在、当該エリア内の用地及び地形測量、地質調査などに着手し、年内の用地取得に向けて具体的な取り組みを進めており、未来のまちづくりのモデル事業と位置づけ、市民の皆様の声を取り入れながら、官民が連携して推進してまいります。

次に、農林水産業についてでありますが、主食用米において、米価下落が危惧される中、「生産の目安」を提示し、加工用米等への転換を促しながら、需要に応じた「売れる米づくり」を推進するとともに、今年度から本格的な取り組みが始まる、秋田米新品種「サキホコレ」の栽培技術の確立や、栽培適地以外の実証試験に対する支援を行い、主要産地の確立を目指してまいります。
また、水稲機械の導入やフレコン出荷体制設備導入に対する支援を行いながら、経営基盤の強化を図ってまいります。
園芸作物につきましては、「秋田鳥海りんどう」「アスパラガス」など高収益な作目の振興を図り、ブランド力を強化するとともに、県事業等を活用できない取り組みに対し、市独自に、機械・資材等の導入支援や、中山間農地等の、受け手への支援を行うことにより、水田の利活用を推進してまいります。
また、多様な担い手の確保・育成や新規就農を目指す方のために環境整備を図るとともに、農地中間管理事業等の活用により、効率的な農地利用を推進し、地域の大切な農地の保全に努めてまいります。
さらに、食育と地産地消を一体的に推進し、地域農業の維持発展を図ってまいります。
スマート農業の推進につきましては、これまでのセンシング等モデル事業や、農業用ドローン導入等支援に加え、新たにスマートアシスト機能付き農業機械導入支援や、園芸施設作物の自動監視装置の実証支援を実施し、省力化や生産性向上を促進してまいります。
畜産につきましては、規模拡大や新規就農を目指す農家には、国や県の事業への嵩上げ支援に加え、畜舎等の用地造成に対し、市独自の支援を実施してまいります。
また、経営規模に関係なく、肉用牛農家の維持拡大を支援し、県内一の産地形成に努めてまいります。
秋田由利牛振興につきましては、東北経済産業局のブランド展開事業を活用しながら、取扱店の確保・拡大などの流通販売対策や、消費拡大対策を積極的に実施し、秋田県をリードする「秋田由利牛ブランド」の確立に取り組んでまいります。
また、市産品の消費・販路拡大につきましては、地元において、食育と地産地消の一体的な推進を柱に据えるとともに、市外への売り込みにおいては、市内事業者の外貨獲得に向けて、地域商社と協調を図りながら、首都圏などへの企業訪問・商談をはじめ、バイヤー招聘事業により、商品の定番化や新規取引先の開拓など、販路拡大に取り組んでまいります。
さらに、ふるさと納税につきましては、さらなる返礼品の拡充やリピーターの定着を図るとともに、ふるさと納税受け付けサイトにおいて返礼品広告や、首都圏で返礼品の魅力を伝える「由利本荘ふるさと納税感謝祭」など、情報発信を強化し、ふるさと納税の増額を目指してまいります。
農業生産基盤整備につきましては、継続事業である本荘地域松ヶ崎地区と矢島地域小板戸地区の県営ほ場整備事業を支援するとともに、鳥海地域平根第2地区の事業採択に向けた調査・計画事業を推進してまいります。また、ため池や用排水路等の施設整備、日本型直接支払制度による、農業生産活動への支援を継続するほか、新たに防災重点ため池のうち、使用されていないため池や、決壊の恐れのあるため池について、廃止事業を実施してまいります。

森林・林業につきましては、森林環境譲与税を活用した、作業道整備に加え、新たに、林業事業体の機械修繕、製材品運搬経費などを対象とした、生産から販売までの一環した支援により、木材資源の有効活用を促進し、地域林業の振興を図るとともに、松くい虫やナラ枯れ被害の防止対策を進め、森林の多面的機能の維持・増進に努めてまいります。
水産業につきましては、西目及び道川漁港について、施設の長寿命化を図るため、防波堤及び橋梁の補修整備を計画的に実施するとともに、漁業者の安全操業の確保や、釣り人の安全対策に努めてまいります。

2点目は「自治組織との協働による地域課題の解決」であります。

人口減少と高齢化に伴い、地域においてこれまでの活動を続けていくことが難しくなっていく中、「まちづくり」に関わりを持つ人を増やしていくことが求められております。自治組織と市の役割分担を明確にし、意思疎通ができる体制と、協働で地域課題解決に向かう体制を構築してまいります。
さらに、市では「地域づくり推進事業」により、地域の賑わい創出に「意欲」のある新規事業者に対して手厚い支援を行うとともに、学生による「まちづくり」の支援も強化してまいります。
また、各地域の「まちづくり協議会」におきましては、今後の会のあり方などを検討しながら、さまざまな方が参画し、住民が自らの地域について考える場を設けるとともに、地域での話し合いを支援してまいります。

防災減災のまちづくりといたしましては、消防車両の更新や消防団格納庫の建て替え、耐震性貯水槽の整備、消防団員の確保、安全装備品の配備など、消防施設や装備の一層の充実強化を図ってまいります。
また、市内の全世帯に配布しております「津波、土砂災害、洪水、火山噴火時等のハザードマップ」と「災害対応マニュアル」を活用し、各地域で想定される危険性や危険箇所、災害発生時にとるべき基本的行動を周知するとともに、自主防災組織活動促進補助金制度などを活用した、町内会等の共助による地域防災力の向上を図ってまいります。
加えて、近年の異常気象による豪雪や猛暑、局地的な豪雨、あるいは大規模地震など、全国各地で毎年のように自然災害による甚大な被害が発生しており、本市においても万一の事態に備えるため、大規模災害を想定した総合的な訓練を実施し、市民の皆様に災害時の対応を周知するとともに、各関係機関との相互連携を深めてまいります。

公共交通につきましては、地域間や地域内の幹線を運行している路線バス等の維持を図っていくほか、地域住民が自分たちに合った移動手段を自ら確保しようとする「乗り[逢い]交通事業」を拡大するべく積極的にPRしてまいります。
また、近年、高齢化が進んでいることから、運転免許の自主返納など、自らの「生活の足」に不安を抱える市民の皆様が非常に多いと実感しておりますことから、高齢者を対象とした路線バス運賃の割引を実施するなど、通院や買い物などに気兼ねなく、積極的に「おでかけ」できるようにしてまいります。

3点目は「地域社会全体で健やかに育む子育て環境と教育の充実」であります。

子育て支援につきましては、「子育て世代包括支援センター・ふぁみりあ」において、保健師や助産師が関係機関と連携し、特に、妊産婦への支援の強化と充実を図り、妊娠期から切れ目のない継続的な支援を実施しているところでありますが、「ふぁみりあ」の機能をさらに充実させ、母子とその家族が、健やかに生活できるよう、産後ケア事業等について計画しております。
また、「子ども家庭総合支援拠点」整備につきましては、子育て支援課を所管として、令和4年度の設置を目指してまいります。支援拠点の設置による、すべての子どもとその家庭及び妊産婦等の身近な相談や、虐待など専門性の高い相談対応の向上と、「子育て世代包括支援センター ふぁみりあ」や「総合相談窓口」等との連携による、支援体制の強化を図ってまいります。
加えて、福祉医療制度による中学生以下の医療費無料化を高校生年齢まで拡大するとともに、新たに、おたふくかぜの予防接種費用の一部を助成するなど、子育て世代の負担軽減に努めてまいります。

教育につきましては、「総合教育会議」を開催し、「教育の振興に関する施策の大綱」に基づいて、教育施策の方向性を共有するとともに、教育委員会との連携を密にして、「ふるさと愛に満ち、創造性あふれるひとづくり」を念頭に、教育行政の推進に努めてまいります。
具体的施策につきましては、この後、教育長が教育方針で述べますが、学校教育に関しては、新山小学校の改築事業に着手するほか、矢島小学校改築事業や、本荘地域の統合小学校建設に向けた取り組みなど、ハード面の整備を進め、「学びの環境づくり」に努めてまいります。
また、ソフト面でも、昨年度すべての小・中学校に整備したタブレット端末の効果的な活用を図り、文部科学省が進める「ギガスクール構想」の、より一層の推進を図り、子どもたちが将来にわたり役に立つ技術や知識の習得に努めてまいります。

生涯学習・スポーツ振興につきましては、開館して40年を経過した本荘郷土資料館の老朽化を踏まえ、本市に相応しい新たな「歴史文化拠点施設」整備に向けた基本方針を策定するとともに、6月8日、本市を通過する「東京オリンピック聖火リレー」においては、「ボートのまち」である本市の特色を活かした計画を進めているところであります。

4点目は「市民一人ひとりが健康を保ち、必要な支援を受けられる、医療と介護の連携強化」であります。

新型コロナウイルス感染症の全国的な流行拡大から、1年以上経過しており、本市では、蔓延を予防するため、新型コロナワクチンの接種を4月19日から接種体制の整った高齢者施設、5月6日から75歳以上の高齢者の皆様へ、接種を開始しております。今後につきましても、受付体制強化として電話回線を増設するなど、希望する市民の皆様に、早期に接種していただけるよう、医師会等と協議を重ね、接種体制をさらに強化してまいります。
健康づくりにつきましては、インターバル速歩事業など市民活動と連携した取り組みのほか、コロナ禍で不安を抱えている方も多いと見込まれることから、「こころの健康づくり事業」も推進してまいります。
地域医療につきましては、中核病院である由利組合総合病院への運営費支援や医師の確保に努め、市民の皆様が将来にわたり安心・安全に暮らすことができるように、医療提供体制を堅持してまいります。
次に、福祉支援についてでありますが、地域福祉につきましては、「第3期地域福祉計画」に基づき、社会福祉協議会や民間団体、地域住民との協働を推進し、福祉サービスの向上と地域共生社会の実現に努めてまいります。
高齢者福祉につきましては、2025年には、全ての団塊の世代が後期高齢者となり、超高齢社会がさらに進展することを踏まえ、「第8期由利本荘市高齢者保健福祉計画」に基づいた、多様な介護サービス提供体制の確保に繋げてまいります。
また、地域の高齢者やその家族から寄せられる複合的な相談に対しては、関係機関と連携して、迅速できめ細やかな対応ができるよう、地域包括支援センターの機能強化を図りながら、高齢者が尊厳を保ち、安心・安全に自立した生活を送ることができるよう、「地域包括ケアシステム」の深化・推進に努めてまいります。

5点目は「行財政改革の徹底による、効率的な行財政運営の推進」であります。

行政改革の推進につきましては、「第4次行政改革大綱」に基づき、「持続可能な行財政運営の推進」を基本方針に、各分野における改革を推進してまいります。
また、第3セクターにつきましては、抜本的な見直しを進めるとともに、行政手続き及び業務のデジタル化等につきましても、強力に推進してまいります。
情報政策につきましては、国において令和2年12月に「デジタル・ガバメント実行計画」及び「自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進計画」が策定されたことを受けて、令和7年度末までの「自治体情報標準化システム」導入に向けて、準備を進めてまいります。
また、市と国の支援を受けてNTT東日本が進める、市内の未整備地域における光ファイバ整備につきましては、令和4年4月からサービス提供開始となる予定であることから、今後は光ファイバ網を活用した行政サービスの情報化推進を図ってまいります。
ケーブルテレビ事業につきましては、民間移行を進めるため、事業の見直しを実施してまいります。また、老朽化した機器の更新も併せて実施し、安定した放送環境の整備に努めてまいります。

そして、このような社会構造や経済環境の変化に加え、新型コロナウィルスの感染拡大への対応など、市の役割や住民のニーズが多様化している中、地域課題に迅速かつ的確に対応するためには職員の専門性の向上を図りながら、広い視野と市民感覚を持って、職員一人一人が能力を最大限に発揮することが重要と考えております。
職員の育成に向けて、適材適所の人事管理を行いながら、計画的な職員研修を実施するとともに、国や県、民間企業との人事交流に積極的に取り組むほか、職員同士で自己研鑽を積む場を設けるなど、職員の資質向上を図ってまいります。
なお、多様な交流と産業の活性化を生み出す機能的なインフラ等の整備につきましても、効率的・効果的に実施してまいります。

道路等整備につきましては、市道百宅線の付替道路を始めとした継続事業を進めるとともに、市道鶴沼薬師堂線や一番堰まちづくりプロジェクトに伴う幹線道路の整備に着手してまいります。また、長寿命化修繕計画に基づく橋梁等の点検や、機能保全工事を重点的に行ってまいります。
除排雪につきましては、昨シーズンの大雪を踏まえ、地域の実情に合わせた除雪作業を行い、市民の皆様の安全な道路交通の確保を図ってまいります。
「住宅リフォーム資金助成事業」につきましては、今年1月の豪雪を契機とした「災害復旧支援型」メニューを創設するなど、引き続き、市民ニーズの把握に努め、安心・安全な住環境に寄与するために、
実施してまいります。
市営住宅につきましては、老朽化が著しい松涛団地の建替事業に着手してまいります。第1期として、21戸が入居可能な鉄筋コンクリート造3階建て1棟の建設を2カ年で実施してまいります。
羽後本荘駅周辺整備事業につきましては、「東西自由通路等新設及び駅舎橋上化工事」の、令和3年8月中の供用開始を予定しております。
また、「駅前広場・駅東広場」の改良工事につきましても、引き続き、東日本旅客鉄道株式会社と協議を進め、来年度の完成を目指してまいります。

鳥海ダムにつきましては、令和10年度の完成に向けて、現在、子吉川を迂回させる転流工の工事が進んでいるところであります。市では、秋田県の協力のもと策定した、「水源地域対策特別措置法」に基づく「水源地域整備計画」により、ダム周辺の市道の改良整備を進めるほか、「鳥海ダム周辺エリア利活用基本構想」を指針として、ダム周辺の振興策について、鳥海ダム工事事務所や市民団体とともに話し合いを進めてまいります。
水道事業につきましては、「鳥海ダム利水計画整備事業」として、各地域を結ぶ送水管等の布設工事を継続して実施いたします。また、矢島地域の浄水場を統合する「矢島統合整備事業」として、島地域全域に給水する浄水場の建設工事に着手いたします。
下水道事業につきましては、既存施設の長寿命化、機能強化を図りながら、処理区域の統廃合を進めるなど、安定的な事業運営と施設の維持管理の負担軽減に努めてまいります。
ガス事業につきましては、経年管更新事業を継続実施し、安心・安全な供給に努めるとともに、環境にやさしい地元由利原産天然ガスの利用促進を図ってまいります。

新ごみ処理施設整備事業につきましては、建設予定地及びアクセス道路の用地取得並びに立木補償を進めるとともに、全体造成の実施設計、生活環境影響調査などを実施いたします。引き続き、地域の皆様に丁寧な説明を行いながら、事業を推進してまいります。
再生可能エネルギーにつきましては、昨年10月、菅首相が所信表明演説において、国内の温暖化ガスの排出を2050年までに「実質ゼロ」とする方針を表明したことを受け、石炭火力などの代替電源として、今後もさらに導入が進むことが予想されております。
とりわけ、大規模開発が可能な洋上風力発電は、世界的に導入が拡大しており、本市沖の促進区域において、現在、事業者が公募され、年内には事業者が選定される見通しであります。各計画事業者に対しては、出捐金等による地域貢献、工事やメンテナンスに伴うローカルサプライチェーンの構築、雇用を含めた地域産業の活性化と経済波及効果の最大化について、期待しているところであります。
一方、固定価格買取制度の後押しなどにより、太陽光や風力発電施設の開発が急速に進んだことで、全国的に、景観や心理的な圧迫感、自然環境への影響などから、必ずしも共存共栄とならない事案も
少なからず発生しております。市では、事業者に対し再生可能エネルギーの利用を目的とした施設の建設に関して、住宅等からの離隔、地域への具体的な貢献策、施設が集中している地域への自主的な設置回避を盛り込んだ、「手続ガイドライン」の遵守を求めてまいります。
いずれにいたしましても、低炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの利活用と地球温暖化防止に向けて、今後も積極的に取り組んでまいります。

最後に、6点目は「市の魅力向上と、IT技術を最大限に駆使した情報発信」であります。

観光振興につきましては、「東北デスティネーションキャンペーン」が、4月から9月までの間、開催されております。
現在は、新型コロナウイルスの感染拡大が再燃しているため、残念ながら、積極的なPRは、できない状況ですが、落ち着いた際には、感染対策を徹底し、本市においても各地域の趣向を凝らした「おもてなし」で、観光に訪れるお客様をお迎えしたいと考えております。
コロナ禍ではありますが、本市の魅力を全国にPRできる絶好の機会でありますので、新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら、JRグループや旅行エージェントと連携して取り組んでまいります。
さらに、「由利本荘市観光振興計画」と「鳥海山観光ビジョン」を基に、鳥海山をはじめとする環鳥海エリア観光を推進するため、隣接する自治体と連携を図ってまいります。
また、「鳥海ダム」の工事現場見学会や、ダム湖に沈みゆく百宅地区の歴史などを学ぶ「百宅さと歩き」など、本市の自然豊かな観光素材を掘り起こし、観光誘客に努めてまいります。
加えて、「鳥海山・飛島ジオパーク」は、4市町の一体となった取り組みなどが評価され、2月に再認定されました。今後も、引き続きジオパーク推進協議会と四市町が連携を図り、貴重な地域資源を活用した取り組みを行い、世界ジオパーク認定を見据えた活動を推進してまいります。

移住定住の促進につきましては、「仕事」や「住まい」の情報提供など、引き続き、相談者に寄り添った移住支援を行うとともに、オンライン等も活用した、移住希望者の掘り起こしや個別相談会を展開してまいります。
また、新たな取り組みとして、お試し移住体験住宅等複合機能施設「ここわき」を活用した就労体験や地域交流などにより、関係人口の創出や、さらなる移住の実現に繋げてまいります。
一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、都市部の企業を中心に、新たな働き方のスタイルとして、「リモートワーク」や「ワーケーション」が注目されており、こうした地方回帰の流れも好機と捉え、柔軟に対応してまいります。
働きながら休暇を取る「ワーケーション」においては、本市の雄大な自然を体感していただき、各地域の歴史や伝統文化に触れ合うことにより、交流人口の増加が見込まれるとともに、移住定住の実現、さらには企業誘致にも繋がるものであります。
秋田県もリモートワーク等の普及に対応した人材誘致を推進しており、県や民間団体である「秋田ワーケーション推進協会」との連携を図りながら、「本荘由利産学共同研究センター」内に、この春、開設されたサテライトオフィスを活用したリモートワーク等を推進し、大都市圏の企業に働きかけるなど、情報発信に努め、関係人口の創出に繋げてまいります。

最後に、広報事業においては、市広報、市公式ウェブサイトやケーブルテレビなど、それぞれの媒体の特性を生かしながら、きめ細やかな情報発信に取り組んでまいります。
特に迅速な情報発信は非常に重要であり、市公式フェイスブックやツイッターなどのSNSを活用し、最新の情報提供ができるよう、発信力の強化に努めてまいります。

以上、令和3年度に進めてまいります施策の概要について、述べさせていただきました。
未だ先行きが見えないコロナ禍の中、市を取り巻く社会情勢は依然厳しいものがあります。
そのような中にあって、私は、市民の皆様からの力強いご支援を賜り、市長として市政運営の重責を担わせていただくことになりました。使命の大きさと責任を厳粛に受け止め、市民の負託に全力で応え、希望に溢れるやさしい由利本荘市を創ってまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げまして、施政方針といたします。

 

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