令和7年度 教育方針
教育方針(令和7年第2回由利本荘市議会定例会)
令和7年第2回由利本荘市議会定例会(5月16日開催)より
それでは、令和7年度の教育方針について、述べさせていただきます。
教育委員会では、本市まちづくりの基本理念に基づき「共生」「躍動」「自立」の3つの視点を根幹に据え、本市教育の基本方針である「ふるさと愛に満ち、創造性あふれるひとづくり」を目指し、さまざまな教育施策を展開しているところであります。
現在、社会は少子高齢化、価値観の多様化、そしてデジタル技術の進歩やAIの普及により大きな変革期を迎えています。
こうした時代の変化にどう対応するかが、今後の喫緊の課題であり、本市の将来を担う子どもたちが、社会の急速な変化に対応し、自らの生涯を生き抜く力を培っていくためには、従来の仕組みや枠組みを超えた新たな概念や取組が必要であり、学校教育をはじめ、社会教育においても、「新たな学びの姿」を具現化していくことが、これからの教育の大きなテーマであると考えております。
子どもたちの未来と本市の将来を見据えながら、人口減少や社会の急速な変化から生じる課題などに対し、市として一体的に取り組み、持続的な発展へと繋げるため、市が持つ「コミュニティ・スクール」を核としたさまざまな取組や、特色ある教育資源などを最大限に活かし、本市にふさわしい教育行政の推進に努めるとともに、「芸術文化活動やスポーツ振興」におきましても、市長部局と連携しながら事業を展開し、本市の「まちづくり」「ここに生きる喜びづくり」に結びつけてまいります。
さらには、市長と教育委員による「総合教育会議」を開催し、本市の教育の現状や重要課題について協議を重ね、教育の方向性を共有しながら、最終年度を迎える『教育の振興に関する施策の大綱』の検証と評価をしっかりと行い、本市の次期総合計画と整合性のある一体的な教育施策の推進に向けて、新たな大綱の策定に取り組んでまいります。
それでは、具体的な施策について、述べさせていただきます。
はじめに教育環境の整備でありますが、子どもたちが学びやすい環境づくりを基本とし、現在は老朽化した校舎の改築や統合小学校の建設工事を優先的に進めております。
一方で、既存施設の維持・補修についても、子どもたちの安全を第一に考え、「安心・安全な」教育環境の維持に努めてまいります。
また、引き続き体育館を中心とした照明のLED化を計画的に進め、「環境にやさしい」よりよい教育環境の整備に取り組んでまいります。
学校建設につきましては、引き続き新山小学校の改築工事と、本荘東小学校の新築工事を並行して進めてまいります。
はじめに新山小学校ですが、令和6年9月に、Ⅱ期工事として「管理・特別教室棟」が完成し、新校舎棟がすべて完成いたしました。
現在はⅢ期工事として、旧校舎の解体や外構工事を進めており、今年の秋には新校舎正面玄関からの出入りが可能となる予定です。その後も駐車場整備などを行いながら、令和8年夏の完成を目指して進めてまいります。
子どもたちが毎日生活する校地内での工事となるため、安全面を最優先に考え、不便なく、明るく楽しい学校生活を送れるよう、最大限配慮しながら進めてまいります。
新たに誕生する本荘東小学校については、令和6年8月に校舎の建築工事に着手いたしました。令和7年度は新たに外構工事を発注し、令和8年2月の完成を目指して、着実に工事を進めてまいります。
統合した学校の校風を受け継ぎ、未来に向かって新たな歴史を歩み出すにふさわしい校舎となるよう、周辺地域にも十分配慮しながら、安全第一で工事を行ってまいります。
本荘地域の学校再編につきましては、『第二次学校環境適正化基本計画』に基づき、「1中学校区1小学校」の基本方針のもと、適正な学校環境の整備を進めてまいりましたが、令和8年4月の鶴舞小学校及び本荘東小学校、この2つの統合小学校の開校をもって完了となります。
学校再編を進めるにあたり、令和3年度より大学教授などの学識者や関係組織、学校運営協議会の代表などで構成する「本荘地域学校再編委員会」と、より詳細な議論を行う場として、2つの統合小学校それぞれに「開校準備委員会」を設置し、令和6年度は通学方法やスクールバス運行計画について協議を進めてまいりました。
令和7年度は、協議結果をもとに開校に向けた準備を進めるとともに、引き続き「専門部会」を開催しながら、開校に必要なさまざまな事項の協議を行ってまいります。
この2つの統合小学校の開校が将来を担う子どもたちにとって記念すべき、ふさわしい幕開けとなるよう、特色ある学校づくりに取り組んでまいります。
さらに、閉校となる学校の維持管理や跡地利用についても、関係者や地域の方々と連絡調整を図りながらその方向性を定めてまいります。
次に学校教育につきましては、「人間性豊かで進取の気性に富む、たくましい子どもの育成」を目標に掲げ、子ども一人一人に寄り添い、支え、つなぎながら、市内約4,200名の児童生徒の「確かな学力」「思いやりのある豊かな心」「健やかな体」の育成に努めてまいります。
日々変化しているこれからの時代を生きていく子どもたちには、「自らの人生を自らの力で切り開き、一人一人の可能性をさらに伸ばすことができる支援策」が必要であります。
令和7年度も、これまで取り組んでいる「ICTを活用した教育」を、通信環境の改善も図りながら重点施策としてさらに進めてまいります。加えて、自分とは異なる文化や価値観を受け入れ、多様性を尊重する、グローバル社会で活躍する人材の育成を目指し、英語教育の充実を図ってまいります。
ICTを活用した教育は、児童生徒が自己調整しながら学習を進める「個別最適な学び」と、多様な他者と協働しながら、その他者を価値のある存在として尊重し、持続可能な社会の創り手となるための「協働的な学び」の一体的な充実を図るとともに、「学習の見通しをもち、他者と関わりながら、自ら課題を見つけ、考えを深めていく子ども」の育成を目指し、「主体的・対話的で深い学びの実現」に向けた「授業改善」につながるものと捉えております。
今年度は端末等の更新の時期を迎え、GIGAスクール構想第2期に向けた適切な整備を進めてまいります。導入するソフト等も学校現場の意見を取り入れながら、十分に活用できるものを選定し、「学びの充実や学びの継続」について研究校の成果を共有しながら進め、各教科の「学習のねらい」を達成できるよう、より一層効果的な実践を積み重ねてまいります。そのために、教職員向け研修会などで活用に向けた演習や情報共有を行い、具体的な取組の提案をより一層進めてまいります。
併せて、ICT教育の推進につきましては、県立大学や産学共同研究センターとの「産学官連携」による「由利本荘市独自の教育モデル」として、「ゆりほんICT子供の学びアップデートプラン」を段階的に進めているところでありますが、令和7年度は、その集大成として運用面での拡張を図ってまいります。
具体的には、県立大学生のICT支援員としての市内各小中学校への派遣をはじめ、県立大学やベンチャー企業と連携した「プログラミング講座」や「3Dプリンター創作講座」、タイピング技術の向上支援のための「タイピング競技会」、「学校ホームページを利用した学校行事や学習成果の発信」などを引き続き実施し、例えばタイピング競技会ではその意義を周知し、より多くの児童生徒の参加を促してまいります。これらの事業を通して児童生徒や教員のICTのさらなるスキルアップを図り、「情報を処理・活用・発信する力」を育んでまいります。
また、文部科学省が後援する「学校情報化優良校」の認定については、令和6年度は鳥海小学校が認定を受けました。県の事業である「ICTを活用した授業力向上事業」のモデル校としての研究を通して得られたものですので、そのノウハウを市内小中学校に横展開し、令和7年度はより多くの学校が認定を受けられるよう、ICT教育環境の整備と教職員の活用技術の向上を図ってまいります。
英語教育につきましては、「聞く力」、「話す力」を中心にコミュニケーション能力の育成を図り、ALTの更なる活用も進めながら、授業及び授業以外の時間にも英語に触れたり、話したりする機会を設定するよう進めてまいります。
なお、令和7年度も引き続き、「全小・中学校コミュニティ・スクールのまち」として、学校、保護者、地域、行政等の連携を強め、各地域の特色を踏まえながら、「地域力を活かした学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」を推進してまいります。
そして、地域のよさに気付き、地域の課題に目を向け、地域の未来を考える、創造性に富み、感性豊かな子どもを育むため、ふるさとの歴史や文化、自然、産業等について体験的に学ぶ場を重視するとともに、自らの学びに自信と誇りをもち、積極的に発信する活動を奨励するなど、「ふるさと教育」と「キャリア教育」の一層の充実を図ってまいります。
生徒指導につきましては、多様性を認め、寄り添い合う、温かい人間関係に支えられた学校生活を主体的に送ることができるよう、各校における「居場所づくり、絆づくり」に努めます。
また、学校生活アンケート等により児童生徒の実態把握に努め、「いじめ問題への組織的対応」や、「不登校の未然防止及び早期の適切な支援」に力を注ぐとともに、関係機関との一層の連携強化を進め、思いやりの心や自己肯定感の醸成を図りながら、児童生徒の自己実現に向けた支援に取り組んでまいります。
さらに、小・中学校の就学や進学等に際して、相談活動を充実させ、切れ目ない支援の引き継ぎが円滑にできるように、引き続き就学支援員と学校間連携コーディネーターを配置するとともに、児童生徒の実態や実情を十分に考慮したうえで、学校生活サポートを配置し、支援の充実に努めてまいります。
教職員の「働き方改革」につきましては、出退勤時間の見える化を図るため、市内各校に「二次元コードリーダー」を設置して時間外勤務の改善に努めるとともに、「プリペイド携帯電話」を導入して、休日夜間の保護者からの連絡を管理職に一元化する取組を行っております。今後も改善に向けた取組を行いながら、時間外勤務の改善や、学級担任の負担軽減を図ってまいります。
部活動の地域移行に向けた取組につきましては、県が示した推進計画を基に、令和5年度に設置した「地域移行推進協議会」を「部活動地域移行支援コーディネーター」の計画の下で十分に機能させ、関係機関・団体との協議や調査等を進めております。
また、「由利本荘市部活動地域移行推進計画」を策定し、地域や各種目の実情に合わせた地域移行を段階的かつ弾力的に進めるとともに、現在配置している「中学校部活動指導員」につきましても、引き続き配置し、改革の着実な推進に向けて、取り組んでまいります。
現在、学校現場では、特別な支援を要する児童生徒や不登校傾向にある児童生徒の増加のほか、学校が抱える課題が多様化してきております。そこで、開設3年目となる「由利本荘市教育支援センター」における支援の拡充を図り、児童生徒や保護者、学校職員のニーズに応じた多面的・包括的な支援を柔軟に行ってまいります。
なお、学校給食につきましては、食材価格の高騰により1食あたり、小学校で35円、中学校で45円の値上げを予定しておりますが、令和7年度については、児童生徒の学校給食費の値上げ分を市で負担することとし、保護者の負担増とならないよう給食の提供を行ってまいります。
次に、生涯学習・社会教育の推進につきましては、誰もが「学び」をとおして実感する「ウェルビーイングの向上」を目指し、「学びを支える体制の整備」や「学びを広げる機会の充実」を図るとともに、「第4次生涯学習推進・社会教育中期計画」による、これまでの施策の検証や評価等を踏まえた次期計画を策定いたします。
公民館や図書館、資料館などの社会教育施設が「学習活動の拠点」としてのみならず、「地域づくりの拠点」としても住民の主体的な活動ができるよう、推進体制の整備を図るとともに、市の担当職員が講師として行う「まちづくり宅配講座」や、教育、雇用、観光、環境、健康、防災などの社会課題にも対応した各種講座の充実も図り、併せて、自主学習・読書活動への支援体制も整備いたします。
また、「学び」に関する情報については、生涯学習奨励員と連携しながら、市ホームページ等を活用して積極的な情報発信に努め、誰もがいつでも「学び・楽しむ」機会を得られるような仕組みづくりや、学習成果を地域で活かすことができるような仕組みづくりを引き続き進めてまいります。
「コミュニティ・スクール」に対応した「地域学校協働活動」については、各学校との連携・協働のもと学校活動を支援する「協働活動」や、放課後の子どもたちの安心・安全な居場所づくりを行う「放課後子ども教室」、子どもたちの基礎学力の定着や学ぶ喜びを醸成する学習支援の場である「地域未来塾」を継続し、それぞれ地域住民の協力のもと、コミュニティ・スクールと一体となって「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」に取り組んでまいります。
次に、読書活動の推進につきましては、中央図書館を核に、各地域図書館・公民館図書室が、図書館システムネットワークを活用して、市民のニーズと地域の課題解決にふさわしい資料を選定し提供してまいります。
併せて、図書館に足を運ぶことが難しい、病院や福祉施設での「移動図書館・移動文庫」の継続に加え、図書館遠隔地の方々に図書を届ける、移動市役所と連携した「移動図書館」の他、令和5年度から実施しておりますマイナンバーカードを活用した図書の貸出など、多様な取組を導入しながら、すべての年代を対象として市民サービスのさらなる向上に努めてまいります。
「図書館を使った調べる学習コンクール」につきましては、平成30年より「佐藤憲一教育支援基金」を活用して取り組んでいるものであり、市内各学校や各種団体などの協力をいただきながら令和7年度も実施し、図書館の資料を活用した市民の学習意欲の向上に努めてまいります。
また、学校図書館との連携につきましては、授業の補助や、児童・生徒のリクエストなど、学校の要望に応じた図書館の資料の貸し出しや学校図書館の環境整備など、学校との日常的な連携や支援等により、児童・生徒の読書の意欲向上に努めてまいります。
特に、令和8年度開校の本荘東小学校の学校図書館の整備につきましては、新しい学校図書館の運用全般に関して、計画から実行まで学校司書と密に連携を図りながら取り組んでまいります。
次に、文化財保護につきましては、国史跡「鳥海山」の魅力発信をはじめ、本市が将来にわたり遺すべき歴史・文化・自然遺産の新たな指定や登録を視野に入れた調査を進めるとともに、国の重要文化財「土田家住宅」をはじめとする指定・登録の建造物や歴史資料、工芸品等の市内の貴重な文化財の管理・修繕・調査などを行いながら、引き続き保存・活用に取り組んでまいります。
民俗芸能を中心とする無形民俗文化財につきましても、民俗芸能伝承館「まいーれ」を核とした公開事業をとおして、本市の民俗芸能の特色や魅力を全国に発信するとともに、「民俗芸能団体育成プロジェクト事業」による保存伝承活動の支援を行い、歴史と文化を後世に継承していくため、小中学生をはじめとする、継承意欲のある若者の育成に努めてまいります。
また、郷土資料館につきましては、郷土を「学ぶ」「体験する」ための拠点として親しまれる施設を目指し、引き続き専門家の指導を受けながら貴重な収蔵資料の保存管理に努めるとともに企画展を開催し、地域の歴史や文化を身近に感じることができる施設として整備してまいります。
以上、市長部局とも連携を図りながら、さまざまな施策を展開し、新たな活動の場を創出するとともに、生涯にわたって学び成長する喜びを実感できる多様な機会を提供することで、本市教育の基本目標である「ふるさと愛に満ち、創造性あふれるひとづくり」の実現に努めてまいります。
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