令和5年度 教育方針

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ページ番号1007741  更新日 2023年4月3日

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教育方針(令和5年第1回由利本荘市議会定例会)

令和5年第1回由利本荘市議会定例会(2月15日開催)より

由利本荘市教育長 秋山正毅

それでは、令和5年度の教育方針について、述べさせていただきます。

教育委員会では、本市まちづくりの基本理念に基づき「共生」「躍動」「自立」の3つの視点を基底に据え、本市教育の基本方針である「ふるさと愛に満ち、創造性あふれるひとづくり」を目指し、これからの子どもたちの未来と本市の将来を見据えながら、市の一体的な取組として、これから到来するソサエティ5.0などの社会の急速な変化に対応する、本市にふさわしい教育行政の推進に努めてまいります。

特に、少子化、多様化、人口減少などの社会変化に対応していくためには、従来の仕組みや枠組みを超えた新たな取組が必要であり、教育委員会といたしましても、学校教育や社会教育において、「新たな学びの姿」を構築していくことが、喫緊の課題であり、今後、取り組むべき重要な事項であると考えているところであります。

こうしたことから、令和5年度に市全体で展開する「6つの重点施策」のひとつとして掲げる、「未来を切り開く子どもを地域社会全体で健やかに育てる取組」として、市長と教育委員による「総合教育会議」を開催し、教育の現状と課題について協議するとともに、教育の進むべき方向性を共有し、『教育の振興に関する施策の大綱』を柱とした、さまざまな取組を力強く進めてまいります。

中でも令和5年度は、「ICTを活用したGIGAスクール構想」の推進において、2年目となる本市独自の教育モデル「ゆりほんICT子供の学びアップデートプラン」をより一層推進し、本市の持つ良さや特色を最大限活かした取組を展開してまいります。

また、年々増加傾向にあるさまざまな支援を要する児童生徒への対応を強化するとともに、学校や教職員への支援を柱とした取組を行うため、新たに「由利本荘市教育支援センター」を設置したいと考えており、「誰一人取り残さない、個別最適な学びの実現」に向け、多面的、包括的に取り組める支援体制の構築を図ります。

さらに、本市にふさわしい教育行政を推進するうえでは、本市が持つさまざまな資源や力を、最大限教育に活かす取組も重要であると考えているところです。

本年は、先程市長が「施政方針」でお話いたしましたとおり、江戸時代の武将、六郷・岩城・打越の3氏が本市に入部してから、丁度400年の節目の年にあたります。

この機会を活かし、教育委員会といたしましても、令和5年度にさまざまな記念事業を開催し、3氏の歴史や功績を伝える取組を行ってまいります。

また、「芸術文化活動やスポーツ振興」につきましても、市長部局と連携し、教育の推進に活かすとともに、本市の「まちづくり」「賑わいづくり」に結びつけてまいります。

それでは、具体的な施策について、述べさせていただきます。

はじめに、教育環境の整備についてであります。

市内小中学校へのエアコン設置につきましては、令和3年度までに、全ての普通教室にエアコンを設置したところであり、引き続き、現在、特別教室の中でも使用頻度の高い「理科室」へのエアコン設置を進めているところであります。今後も、子どもたちがより良い学習空間の中で学びの時間を過ごすことができるよう環境整備に努めてまいります。

また、令和5年度も引き続き「学校体育館」を中心とした照明のLED化を進めるとともに、「大内農村環境改善センターの多目的ホール」や「西目公民館シーガルの講堂」など、社会教育施設のLED化を計画的に進め、「環境にやさしい、安心・安全な教育環境」を整えてまいります。

小学校改築事業につきましては、引き続き新山小学校の改築事業と、矢島小学校の移転改築事業を並行して進めてまいります。

新山小学校の改築事業につきましては、昨年9月末に1期工事である「普通教室棟」が完成し、10月から、4階建ての新しい校舎で学習しております。現在は2期工事として、既存校舎の一部解体を進めているところであり、今年の6月には「管理・特別教室棟」の建築に着手し、令和6年秋の完成に向けて、着実に進めてまいります。

子どもたちが毎日生活する、校地内での工事となりますので、引き続き安全面を最優先に考え、不便なく、明るく楽しい学校生活を送ることができるよう、最大限配慮しながら進めてまいります。子どもたちには、この工事期間を、新しい校舎と古い校舎が共存する貴重な期間ととらえ、日々建築が進む状況を間近に見ながら、完成を楽しみにしていただきたいと思います。

矢島小学校の移転改築事業につきましては、昨年、県内初となる「小・中・高一体型校舎」として工事に着手し、建築用地の地盤改良や、駐車場の整備を行ったところであります。令和5年度は、いよいよ校舎と体育館の建築工事に着手いたします。「矢島小学校創立150周年」の節目の年でもあり、秋田県教育委員会とも調整を図りながら、本市の将来を担う子どもたちにふさわしい校舎となるよう、安全第一に工事を進め、令和6年春の開校を目指してまいります。

本荘地域小学校区の再編につきましては、『第2次学校環境適正化基本計画』に基づき、「一中学校区1小学校」の基本方針のもと、「本荘地域学校再編委員会」を設置するとともに、「本荘南中学校区」と「本荘東中学校区」それぞれに「統合小学校準備委員会」を設置し、学校名や使用校舎について協議を進めてまいりました。この3月末には、「本荘南中学校区統合小学校」の「使用校舎と学校名」、そして「本荘東中学校区統合小学校」の「学校名」について、再編委員会の委員長より、「提言書」を頂く予定となっております。小学校統合に向けたこれら委員会は、今後も引き続き開催して、「校歌や校章」、「子どもたちの通学」などについて協議を進め、令和8年4月の2校同時開校を目指し、計画的に準備を進めてまいります。

なお、「本荘東中学校区統合小学校」の「校地整備」と「校舎建築」につきましては、現在、約4ヘクタールの校地造成が、終盤を迎えているところであります。令和5年度は土地を寝かせながら、引き続き校舎の実施設計を進め、令和6年度の校舎建築工事の着手、そして、令和8年4月の開校に向け、ハード面においても並行して、計画的に進めてまいります。

学校は、単に子どもたちの学びの場だけではなく、地域コミュニティ形成においても、核となる多様な役割を担っております。また学校再編は、コミュニティ・スクール推進の重点でもある「地域力を活かした学校づくり」と「学校力を活かした地域づくり」を進める観点からも、非常に重要であります。児童生徒や保護者のみならず、地域住民や本市の「まちづくり」にも大きく関わる事業であることから、将来をしっかり見定めながら、さまざまな角度から検討し、進めてまいりたいと考えております。

次に、学校教育につきましては、「人間性豊かで進取の気性に富む、たくましい子どもの育成」を目標に掲げ、子ども一人一人に寄り添い、支え、つなぎながら、市内約4,600名の児童生徒の「確かな学力」「思いやりのある豊かな心」「健やかな体」の育成に努めてまいります。

特に、変化の予測が難しいこれからの時代を生きていく子どもたちには、「自らの人生を自らの力で切り開き、一人一人の可能性をさらに伸ばすことができる支援策」が必要です。令和5年度は、そのひとつとして、昨年度から取り組んでいる「ICTを活用した教育」を重点施策として、さらに進めてまいります。

そして、子どもたちの能力や良さを、個々に応じて伸ばす「個別最適な学び」と、価値観や個性を学習集団の中で磨く「協働的な学び」の一体的な充実を図るとともに、「学習の見通しをもち、他者と関わりながら、自ら課題を見つけ、考えを深めていく子ども」の育成を目指し、「主体的・対話的で深い学びの実現」に向けた「授業改善」を一層推進してまいります。

また、児童生徒全員に配布されたタブレット端末の活用については、現在、教職員向け研修会などで各校の実践事例を情報共有するなど、実践の充実に向けて、具体的な取組を進めているところであります。今後もタブレット端末のさまざまな授業での活用、持ち帰りによる家庭での活用を通し、「学びの充実や学びの継続」について研究を進め、「個別最適な学び」の具現化を図りながら、「学習のねらい」を達成できるよう、より一層効果的な実践を積み重ねてまいります。

併せて、ICT教育の推進につきましては、県立大学や産学協同研究センターとの「産学官連携」による「由利本荘市独自の教育モデル」として、「ゆりほんICT子供の学びアップデートプラン」を、段階的に進めているところでありますが、令和5年度は、さらに一歩進め、運用面での充実を図ってまいります。

具体的には、現在、県立大学生をICT支援員として、市内各小中学校に派遣し、児童生徒や教員のICTのスキルアップを図ったり、タブレットを活用した個々の学びを支援するなど、学びの多様化に対応しております。令和5年度は、県立大学やベンチャー企業と連携し、「プログラミング講座」や「3Dプリンター創作講座」、「タイピング技術の向上支援」など、情報リテラシーの育成もさらに進めるとともに、この度新たに改編した学校ホームページを活用した「学校行事や学習成果の発信」を行うとともに、「子どもたちのデジタル作品の発表」などを通して児童生徒自身が「情報を活用していく力」を育むことができるような取組を推進してまいります。

また、文部科学省が後援する「学校情報化優良校」の認定を、市内全ての学校が目指し、ICT教育環境の整備と教職員の指導力や活用技術の向上を図ってまいります。

なお、令和5年度も引き続き、「全小・中学校コミュニティ・スクールのまち」として、

学校、保護者、地域、行政等の連携を強め、各地域の特色を踏まえながら、「地域力を活かした学校づくり」と「学校力を活かした地域づくり」を推進してまいります。

そして、地域のよさに気付き、地域の課題に目を向け、地域の未来を考える、創造性に富み、感性豊かな子どもを育むため、ふるさとの歴史や文化、自然、産業等について体験的に学ぶ場を重視するとともに、自らの学びに自信と誇りをもち、積極的に発信する活動を奨励するなど、「ふるさと・キャリア教育」の一層の充実を図ってまいります。

生徒指導につきましては、各校において、多様性を認め、寄り添い合う、温かい人間関係に支えられた学校生活を送ることができるよう、「居場所づくり、絆づくり」に努めます。

また、学校生活アンケート等により児童生徒の実態把握に努め、「組織によるいじめ問題への対応」や、「不登校の未然防止及び早期解消」に力を注ぐとともに、関係機関との一層の連携強化を進め、思いやりの心や自己肯定感の醸成を図りながら、児童生徒の自己実現に向けた支援に取り組んでまいります。

さらに、小・中学校の就学や進学等に際して、相談活動を充実させ、切れ目ない支援の引き継ぎが円滑にできるように、引き続き「就学支援員」と「学校間連携コーディネーター」を配置するとともに、児童生徒の実態や実情を十分に考慮したうえで、学校生活サポートを適切に配置し、支援の充実に努めてまいります。

教職員の「働き方改革」につきましては、出退勤時間の見える化を図るため、今年度新たに市内各校に「二次元コードリーダー」を設置して時間外勤務の改善に努めるとともに、「プリペイド携帯電話」を導入して、休日夜間の保護者からの連絡を管理職に一元化する取組を行いました。今後も改善に向けた取組を行いながら、時間外勤務の改善や、学級担任の負担軽減を図ってまいります。

部活動の地域移行に向けた取組につきましては、国の具体的な支援など、動向を見定めながら県との協議を進め、令和5年度内に「地域移行協議会」を設置するとともに、「総括コーディネーター」を配置し、関係機関・団体との協議や調査等を行い、「生徒にとって望ましい地域スポーツ及び文化活動の在り方」について、検討してまいります。また現在配置している「中学校部活動支援員」につきましても、引き続き配置し、改革の着実な推進に向けて、取り組んでまいります。

現在学校現場では、特別な支援を要する児童生徒や不登校傾向にある児童生徒の増加のほか、学校が抱える課題が多様化してきていることから、先に述べましたとおり、新たな支援体制として、令和5年度新たに「由利本荘市教育支援センター」を設置したいと考えております。

これは、既存の教育機関である「教育研究所」と「理科教育センター」、「視聴覚教育センター」の3つの機関をひとつに統合し、それぞれの指導員が連携して、多様化する児童生徒への教育支援や、学校・教職員へのさまざまな支援を、多面的・包括的に行おうとするものです。指導員間の連携をより強化することで、学校・児童生徒及び保護者の要請に対し、柔軟に対応してまいりたいと考えております。

次に、生涯学習・社会教育の推進につきましては、『第4次生涯学習推進・社会教育中期計画』に基づき、「市政に関わるものや、身近な生活課題を学習する場の提供」、「市民の自発的で自主的な学習活動への支援」、「各種講座・教室等の開催」などについて、市民の学習ニーズの把握に努め、デジタル化など社会の変化に対応した幅広い内容について、関係機関との連携を強化し、充実させてまいります。

また、「宅配講座」をはじめ、各種講座等について、市ホームページや各種情報誌等を活用し、これまで以上に積極的な情報発信に努めてまいります。併せて、生涯学習奨励員との連携による「学習の場」を引き続き開設し、学習成果を地域で活かす取組とともに、地域を越えて関係機関と連携・協力し、新たな事業への取組を進めてまいります。

さらに、少子化などの地域課題や環境、エネルギー等の社会や生活におけるさまざまな問題について、関心や意識を高めるための学習機会を設け、住民が、積極的にまちづくりや地域づくりに関わろうとする意識の醸成を図る取組を進めてまいります。市民と行政の協働活動による現代的課題の解決に向け、事業を展開してまいります。

次に、地域全体で学校を支え、子どもたちの学びや成長を支えていく取組として、令和5年度も地域住民や団体と各学校が連携・協働し、学校行事など学校活動を支援する「学校支援活動」や、放課後の子どもたちの安心・安全な居場所づくりを行う「放課後子ども教室」、子どもたちの基礎学力の定着や学ぶ喜びを醸成する学習支援の場「地域未来塾」などの「地域学校協働活動」を一層進め、コミュニティ・スクールと一体となって「地域力を活かした学校づくり」と「学校力を活かした地域づくり」に取り組んでまいります。

成年年齢の引き下げに伴い、令和4年度に新たに開催した「二十歳を祝う会」につきましては、令和5年度も対象者の代表で構成する「実行委員会」を組織し、実行委員会が主体となって企画しながら、令和6年1月7日の開催に向けて準備を進めてまいります。

次に、読書活動の推進につきましては、中央図書館を中心に、市内各地域の図書館・公民館図書室が、「図書システムネットワーク」を活用して、市民のニーズと地域の課題解決にふさわしい資料を選定し市民に提供するとともに、図書館に足を運ぶことが難しい、病院や福祉施設などの方々に対し、図書を届ける「移動図書館・移動文庫」を引き続き実施するとともに、全ての年代を対象とした市民サービスのさらなる向上に努めてまいります。

特に、令和5年度は、『由利本荘市デジタル化推進計画』に基づき、中央図書館のほか、岩城図書館、由利図書館、出羽伝承館の4館において、マイナンバーカードを図書館の貸出に活用できる、「マイナンバーカード図書館利用事業」を進め、マイナンバーカードの普及とともに、図書館の利便性の向上に取り組みます。

「図書館を使った調べる学習コンクール」につきましては、平成30年より「佐藤憲一教育支援基金」を活用して取り組んでいるものでありますが、市内各学校や各種団体などの協力をいただきながら令和5年度も引き続き開催し、図書館の資料を活用した市民の学習意欲の向上に努めてまいります。

また、学校の授業補助や、児童生徒のリクエストなど、学校の要望に応じて図書館の資料を各学校に貸し出しするとともに、学校図書館の環境整備など、学校との日常的な連携や学校への支援を行いながら、児童生徒の読書の意欲向上にも努めてまいります。

さらに、「高橋宏幸賞感想文・感想画コンクール」につきましても、引き続き開催し、子どもたちの読書意欲の向上と、想像力を育み、感性豊かな子どもの育成に努めてまいります。

「六郷氏・岩城氏・打越氏 由利本荘市入部400年記念事業」につきましては、教育委員会といたしましても史跡等への「案内看板」を整備するとともに、関連する文化財を活用した展示や各種体験活動を実施し、地域の歴史や文化を「学び・楽しむ」機会を通じて、積極的に本市の魅力を発信してまいります。

次に、文化財保護につきましては、日本遺産である「北前船寄港地」の魅力発信をはじめ、市内の貴重な歴史・文化・自然遺産の新たな指定や登録を視野に入れた調査を進めるとともに、国の重要文化財「土田家住宅」の管理や、市の有形文化財「遠藤家住宅」の茅葺き屋根修繕などを行いながら、市内の貴重な文化財の保存・活用に努めてまいります。

民俗芸能を中心とする無形民俗文化財につきましても、民俗芸能伝承館「まいーれ」を中心に民俗芸能の公開や、保存伝承活動の支援を行いながら、本市の特徴ある歴史と文化を後世に継承していくため、小中学生をはじめ、継承意欲のある若者の育成に努めてまいります。

郷土資料館につきましては、引き続き県立博物館や専門家の指導を受けながら貴重な収蔵資料の保存管理に努めるとともに、入部400年事業として「企画展」を開催し、広く本市の歴史と文化を紹介してまいります。

併せて、本荘郷土資料館の老朽化と将来を見据え、新たな歴史文化拠点施設設置に向けた検討を引き続き行い、本市にふさわしい歴史文化の収蔵展示施設について、調査・研究を進めてまいります。

以上、さまざまな施策を展開しながら教育行政の推進に努め、市長部局との連携をこれまで以上に強化し、本市教育の基本目標である「ふるさと愛に満ち創造性あふれるひとづくり」に努めてまいります。

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