第四章 神明社祭礼と八朔祭の実際
 
第一節 祭典までの諸準備
 毎年神明社八朔祭のための相談や準備は、お盆が過ぎ、田圃の稲穂が出始める頃になると具体的に動き出す。
 八朔祭推進の中心になるのは、大当番と言って、藩政期から明治30年代初期までは田中町・舘町が交互に当番を務めたが、明治33年から七日町と城新が一町として加わり、更に戦後両町が独立し四町が毎年回り順番で交代し大当番の任に当っている。
 大当番の引き継ぎは、祭典の翌日後片付けが終り、祭具備品の確認が行なわれ、当番以外の氏子代表立ち会いのもとで大当番の引き渡しが行われ、翌年の祭典翌日まで当番町として神明社の運営に当たりその責務を果す。
 平成12年の大当番町は七日町で、昨年田中町から引き継ぎ、9月10日の祭典が終了し翌11日城新に引き継ぎがおこなわれている。
 
1.祭典のための諸会議
 毎年祭典実施のため、大当番で立案した祭典実施原案をもとに、大当番に当る田中町・舘町・七日町・城新の四町に、水上・新丁が加わる六町会議や、若者中心の相談会が次々と開かれ、具体的に練習や準備に入る。
(1)当番丁役員会(六丁協議会の原案作成)
 8月11日午後6時から七日町観音堂において大当番町七日町の役員会が開催された。参集者は、部落総代人(七日町責任総代)・副総代人(会計兼務)以下委員20人集合、六町協議会で相談する内容と、その分担並びに大当番町としてやらなければならないことの分担を決める。その主な内容、
 (1)六丁祭典協議会に関して
  @日時及び場所 8月20日(日) 午後1時30分 矢島神明祉
  A案内状発送 担当 佐藤久弥
   ◇六丁協議会案内状

矢島神明社祭典に伴う協議会のご案内

 謹啓、盛夏の侯、皆様に益々ご清祥のこととお慶び申しあげます。
さて、本年度の矢島神明社祭典が9月9日(土)10十日(日)に執行される事になります。つきましては、祭典に伴う協議会を来る8月20日(日曜日)午後1時30分より矢島神明社にて開催致します。つきましてはご多忙中とは存じますが、何卒ご出席を頂きたくご案内申し上げます。
                                                敬具
  平成12年8月吉日
                                  七日町責任総代 佐藤久弥
                                  矢島神明社宮司 井岡利夫
 平成12年案内状発送者氏名
   宮司 井岡利夫  神官 矢越隆弘 矢越忠弘 正木勝美 村上政彦
   四丁氏子責任総代  佐藤久弥(七日町)  大井永吉(城新)
                 須貝忠平(田中町)   岸田安之助(舘町)
   六丁氏子総代  藤田嘉樹(七日町)     土田昭三(城新)
              三浦省(舘町)        赤川祐一(田中町)
              北島保雄(水上)      村上進一(新丁)
              竹村忠一(山寺)       土田浩一(七日町本通り)
              佐藤森夫(新道)       富田龍雄(豊町)
              佐藤忠吉(栄町)
   関係町内代表  三船定夫(矢島町)     牧富之嚢(小田)
              佐藤一夫(立石)      松田久一郎(川辺)
              佐藤秀安(矢越)      佐藤啓治(針ヶ岡)
              土田久男(荒沢)
   関係機関     矢島町・警察署・商工会・観光協会・農協
   六丁若者衆(若者・若衆・青年会)代表2名
  B会議資料・祭典協議書・予算書・行列順序・役付氏名届の準備担当 土田卓三
  C会議担当 進行司会 担当 土田卓三 資料説明 藤田嘉樹
  D当日当番町委員集合 午後1時 会場準備 会議用接待烏龍茶準備 富田龍雄
 (2)協議事項決定に関して
  @道路使用許可申請  担当 富田正三
  A祭典費納入依頼状  担当 佐藤久弥
   ◇神明社祭典費・維持費集金お願い状
  (七日町・城新・舘町・田中町・新丁・水上・家中・小田・築館・立石・荒沢・矢越・
   針ケ岡・川辺)

矢島神明社祭典費・維持費集金のお願い

 謹啓、初秋の侯貴方様には益々御清祥のこととお喜び申し上げます。
 さて、今年の神明社祭典が9月9日(土)・10日(日)の両日執り行われます。祭典につきましては毎年貴丁内には大変お世話になりまして厚くお礼申し上げます。今年も例年通り祭典費一世帯当たり550円、神明社維持費一戸当たり450円をお願いしております。
 ご多忙の折り誠に恐縮でございますが、丁内お取りまとめの上、9月4日(月)まで七日町会計担当富田正三へお届け下さるようお願い申し上げます。
                                               敬具
   平成12年8月吉日
          矢島神明社祭典当番 七日町責任総代 佐藤久弥
 B祭典案内状  担当  佐藤久弥
   ◇神明社祭典案内状
  (宮司・神官・六町氏子責任、総代人・関係丁内代表・関係機関に案内)

矢島神明社祭典のご案内

 謹啓、初秋の侯貴方様には益々ご清祥のこととお喜び申しあげます。
 さて、矢島神明社祭式を、今年は9月9日(土)午後6時30分より神明社神殿にて執り行います。また祭典行列を9月10日(日)午後零時より行います。ご多忙中とは存じますが、ご参拝くだされたくご案内中し上げます。
                                             敬具
  (尚、貴町内の皆様にもご周知下されたくお願い申し上げます。)   
     平成12年9月吉日
       矢島神明社祭典当番七日町責任総代   佐藤久弥
C当番渡案内状(六町へ)  担当  佐藤久弥
 (3)宵宮及び祭日に関して
   @各町内役付  別紙役付表にて協議
   A御託宣依頼  担当 藤田嘉樹
   B神楽依頼坂之下番楽 担当 藤田嘉樹(坂之下番楽都合有り濁川番楽に依頼)
   C人力車夫依頼  担当 藤田嘉樹
   D電気工事依頼(臨時灯・マイク) 担当 竹村忠一
   Eガス設備依頼  担当 佐藤森夫
   F舞姫(2名)及び舞姫指導者依頼 担当 藤田嘉樹 土田浩一
   G行列帳の作製 担当 佐藤忠吉
   H神明社清掃 境内担当 富田正三 社殿及び鳥居下担当 全委員
   I幟立てと神社飾り付け 9月9日午前5時30分 全委員
   J人力車の点検 担当 土田浩一
   K子供半纏とおぼん準備 担当 土田浩一
   L祭典の集合時問宵宮 午後5時30分 祭日午後1時神明社
   M御神酒係(宵宮) 担当 蒲田定三 佐藤森夫
   N宵宮下足係 担当 佐藤功(栄町) 佐藤和夫 小番幸雄
   O堂守の依頼 担当 藤田嘉樹
   P祭日直会枝豆準備 担当 今野政雄
   Q御託宣白衣管理 担当 東海林為夫 小番忠弘
   R会計補助員 担当 佐藤功(七日町)
   Sその他、献酒受付、下足札四十枚準備、御初穂、蝋燭準備 担当 富田龍雄
 (4)当番渡に関して
   @日時及び場所 9月11日(月)午前10時矢島神明社
   A委員集合時間 午前8時30分
   B祭典備品の整理 担当 全委員
   C直会準備折詰担当今野政雄
     数の確認神官担当藤田嘉樹六丁氏子担当今野政雄
   D直会人夫担当藤田嘉樹
(2)六丁若者衆連絡会議
 8月8日午後7時から七日町観音堂において、六丁若者代表による連絡会議が開催される。参集者六丁若者代表各2名と、警察署・商工会・観光協会関係者
  司会  当番丁七日町若者頭
 連絡協議事項
 (1)祭典準備に関して
   @六丁の山車、仮装の趣向について
    8月25日まで当番丁若者頭に報告すること。
   A子供・大人の太鼓打ち練習について
    子供の練習は9時まで、大人は9時半までとする。
   B道路使用にっいて
   C謝礼金について
    小・中学生上限六千円以内
    若者・人夫等の謝礼各丁内の実情に即してやる
 (2)宵宮当日 9月9日
   @各丁出発時間について
    ア 午後6時30分まで駅前集合
    イ 午後6時35分 七日町神楽の前で連絡会議
    ウ 午後6時50分 駅前出発(昨年より10分早くなる)
    工 順列 舘町 水上 新丁 城新 七日町 田中町
   A神楽太鼓の御下り順
    ア 午後7時50分 七日町神楽の前で連絡会議
    イ 午後8時 御下り
    ウ 順列 舘町 水上 新丁 田中町 城新 七日町
   B献灯について
    ア ホオズキ灯籠  水上  3本   城新  3本   新丁   3本
               七日町  5本   舘町  3本   田中町 3本
    イ 御紋付灯籠   水上  3本   城新  3本   新丁   3本
               七日町  5本   舘町  3本   田中町 3本
   C共演会
     御神輿が弁天様にお入り次第、駅前に集合し実施する。
     順番は御下りの順番で行う。
   D各丁連絡員
     水上 椎川誠  城新 三浦勉  七日町 田口誠
     舘町 三浦隆  新丁 佐藤正利 田中町 大平浩・北原力
   E神明杜での灯篭の片付けについて
     当番丁と各丁から二名ずつで行う。
   F保険について
     六丁一括して加入する。
 (3)祭典当日 9月10日
   @山車の集合時間及び集合場所について
    午前9時30分 大川原山科資料置場より、同整備工場前に集合
   A出発時間及び順列について
    午前9時45分出発
    順列 水上 新丁 舘町 城新 田中町 七日町の順に
   B各丁連絡員の集合時間について
    連絡会議 出発前 午前9時30分 七日町山車前
    昼 午後○時30分 錦旅館前
   C各丁連絡員
    水上 椎川誠 松田信義  城新 佐藤正人  七日町 田口誠
    舘町 三浦隆  新丁 佐藤正利  田中町 佐藤晃
   Dその他
    ア 午後の出発は午後1時とする。
    イ 交通指導隊の昼食代は六町で割る。
    ウ 昼休みの山車の置く場所
       田中町会館から、出羽の富士前までの空き地を使うこと。
 (4)その他
   @金比羅神社上り口付近の住宅への山車接触に注意すること。
   A未成年者の飲酒に注意すること。たばこの投げ捨てにも注意すること。
   B交通指導隊は交通安全の腕章を着用すること。
   C交通規制終了後は、山車の前後に交通整理員2名を配置すること。
 以上、六丁若者衆連絡会議で協議決定す。
 この協議決定を受けて各町内若者衆の会議がもたれる。大当番町七日町の例。
(3)七目町若者衆総会(各丁若者衆総会)
 8月19日 午後7時観音堂において
 本年度の若者衆頭(年長者)柴田聖二さん名で参加協力者を招集し、メンバーの確認し、六丁若者衆連絡会議の決定事項をふまえ、祭典についての諸事項を話し合う。以前は祭典に参加するかどうかから話合いに入ったが、今年は最初から祭典に参加、協力するものとして話合いを進めている。
 総会招集以前に次の様な会が開かれている。
 ・7日1日、昨年若者頭に内定している柴田さんを中心に12年度の祭り予算の原案を  作る。
 ・7日19日、七日町の小集落の豊町、羽坂、栄町の若者が集り、祭りの役付けを話合  い決定する。
 ・8月4日、役付けの若者が中心となり予算委員会を開き、7月1日の予算原案を検討  し、原案を決定する。
 ・8月19日、各小集落の若者を一同に招集し、七日町の若者の総会が開かれ、次の様  な会次第によって会議が進められる。
   1.開会のことば
   2.若者頭あいさつ(柴田聖二さん)
   3.議事
    @12年度収支予算案承
    A役付紹介(主な役付け)
     ・若者頭・本部頭・祭典総指揮・祭典副指揮.宵宮総指揮
     ・宵宮副指揮・幹事長・副幹事長・山寺委員(3名)
     ・栄町委員(3名)・豊町・羽坂委員(3名)
     ・七日町委員(3名)・花受係長・副係長・仮装係長.副係長
     ・笛太鼓係長・副係長・山車係長、副係長・軒花係長、副係長
     ・田楽係長、副係長・賄い係長、副係長
    その他個人ごとに宵宮、祭典の係分担がきめられる。
   B山車、仮装趣向について
   Cその他宵宮、祭典の日程、保険、六丁との連絡方法など詳細について話合われ    る。
(4)矢島神明社祭典協議会(六丁会議)
  8月20(日)午後1時半より神明杜拝殿において開催
   参集者 神主側 井岡利夫 官司 矢越隆弘禰宜
      氏子側 責任総代 4名 氏子総代 6名 当番丁 若者側 各丁2名
      関係者 警察署 商工会 観光協会、各代表
   司会 大当番長 七日町責任総代 佐藤久弥
   提案 大当番 七日町氏子総代 藤田嘉樹
 協議事項
 (1)祭典について
   @祭典執行日時について
     宵宮 9月9日(土) 午後6時神明社集合
                 午後6時30分祭式執行
                 午後8時お下がり
     祭日 9月10日(日)午前11時30分宇賀神社集合
                 正午行列出発
   A社地清掃について
     9月7日(木) 午前5時30分(社殿下は当番丁)
   B祭典費等の徴収について
     祭典費550円(1世帯) 維持費450円(1戸当)
   C献灯について
     ホーヅキ灯籠 各町3竿以上 御紋付灯篭 七日町5本 他3本づつ
     商工会外企業献灯
   D神楽太鼓奉納について
     宵祭当日 午後7時30分 社殿集合 舘町青年会 奉納太鼓
   E御神輿渡御順路について
     例年通り 荒沢境・大川原・小田柴田商店各折返し
   F山車余興について
     一巡するまで(一応お昼迄)順序を崩さず整然と 御神輿行列とは別
   G御託宣出役について
     各丁5人 水上2人 計22人
   H祭典服装について
     例年通り 御供 裃着用 役付 袴着用
   I祭典諸経費について(別紙予算の通り)
    ア 神饌幣吊料
    イ 宮司・神官初穂料
    ウ 御託宣大儀料
    工 露払・舞姫・初穂集人謝礼
    オ 奉納神楽大儀料等
   J御神酒割当について
     宵宮・祭日・当番渡・御託宣・総代人計五升(宵宮当日各丁より神明社へ)
   Kその他について
    ア 宵宮行列係に各丁若者から1名協力願う。
    イ 宵宮と祭日には各戸国旗を掲げる。
    ウ 各丁役付氏名届は8月30日(金)まで 七日町祭典担当 藤田嘉樹
    エ 祭典費と神明社維持費は9月4日(月)まで 七日町会計担当 富田正三
   L当番渡しについて
     9月11日(月)午前10時神明社に於て
 神主側より祭式中の神楽ばやしは中止するようにとの要請あり。
 警察署より @事故防止を最優先に祭典全般を執行するように。
        A交通規制解除後の各町責任者を明確して事故防止につとめてほし         いとの要望があった。
 (2)平成12年神明社祭典収支予算書について原案通り決定
 (3)祭典行列表 各丁割当について
    前掲にあり
 (4)祭典行列役付は氏名届について
    前掲にあり
(5)八朔まつり実行委員会
  9月1日(金)午後6時30分より 福祉会館二階大会議室において開催
  八朔まつり実行委員名
   矢島町神明社宮司   井岡利夫
   当番丁(七日町)総代  佐藤久弥
   六丁若者代表(七日町) 柴田聖二
   各丁若者代表  舘町・水上・新丁・城新・田中町各代表1名
   八朔まつり露店協力会会長  北島七郎
   矢島警察署地域兼交通係長  斎藤昌彦
   矢島商工会
   矢島町観光協会会長  佐藤清圓
   矢島町観光協会役員  副会長2名  理事18名
   矢島町観光協会事務局長  佐藤則夫
   矢島町観光協会事務局
 協議内容
 ◎八朔祭の宵宮のスケジュールをもとに O競演会について.共演時問、舞台、音響設  備、司会進行、賞品準備
 ◎「矢島音頭」踊りについて○踊り手、服装、集合時間、開始時間、参加賞、機具準備
 ◎花火実施計画について
 ◎駅前の露店について
 ◎花火実施について、1.のろし各3発づつ9回、 2.花火打上げ場所福寿荘空地、  予定時間9時10分頃より、25分に終了予定、110発
(6)六丁各役員会(田中町の例)
 六丁協議会の決定事項を丁内役員に伝達するとともに、次の事項について話合い、丁内お願い状の後、写真にあるように、係が割り当てられた世帯に「お札」を持って直接お願いに行く。最近は宗教のちがいから、祭典に参加しない世帯も出てきている。
 年々丁内の人口も少なくなり、また老人、女世帯の家が多くなってきており、若者衆だけでなく祭典を維持していくために大きな問題点の一つとなってきている。
 

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