学校経営にあたって

本校食堂には,『知行合一』と書かれた扁額がある。これは,昭和32年に創立10周年を記念して購入されたもので,当時の写真を見ると体育館のステージの上に掲げられてる。『知行合一』とは,「知ることと行うことは心の作用の両面であり,本来は表裏一体となすものである。本当の『知』とは『実践』が伴わなければならない。」と,辞書には示されている。これは,ただ知っているだけでは知識を獲得したことにはならない。実践(他者との関わりを通して主体的に問題解決する活動)が伴ってこそ,本当の知識が身に付いていくと捉えることもできる。平成33年度全面実施の学習指導要領のキーワードの一つに「主体的・対話的で深い学び」があり,これは『知行合一』にもつながるところがある。今後も不易を大切にしていきたい。

本校は,昭和41年から毎年続けられている「少年式」に象徴される「立志の学校」である。満年齢14歳を迎える中学2年時を人生の節目の年と捉え,生徒の成長を祝い,夢や希望を確認する行事として続けられてきた。「西中生よ 立志の山を登れ」これは,少年式30周年を記念して玄関前に建てられた『立志の塔』の台座に刻まれている言葉である。この言葉は,毎朝登校する生徒を励ましている。昭和22年開校以来69年,「立志の学校」で学んだ生徒は約6,700名を数える。

本校の生徒は明るく素直で協調性に富み,特に,学校行事や生徒会活動,部活動には意欲的かつ積極的に取り組んでいる。一方で,生徒の大部分は幼稚園から中学校まで同じ生活集団であり,人間関係が固定化しているため,コミュニケーション能力や表現力の欠如に起因するトラブルや不登校など生徒指導上の諸問題を抱えている生徒も少なくない。したがって,自他を尊重する心の醸成と,グローバル社会で活躍できるたくましい人材の育成が必要と考えている。

本校は,平成27年度から西目小学校と共に「新たな学びに関する教員の資質能力向上のためのプロジェクト」の実践フィールド校として「主体的・対話的で深い学び」について3年間研究してきた。この研究では,本校で「育てたい資質・能力」を下記のとおり設定し,それを授業に位置付け授業改善することを求めてきた。


① 何をどのように学んだかを自覚して次の学びに生かす力                        
② 他者との関わりの中で学びを深化させる力                         
③ 社会や世界の一員としてよりよい生き方を考える力
     

「主体的・対話的で深い学び」 とは,「育てたい資質・能力」に向かっていく学びであり,各教科独自の研究の成果を待つものではなく,教科の壁を超えたチームを基本として全職員が同じ意識の中で創っていくものと捉えている。

これまでの研究を振り返ると,「主体的・対話的な学び」については,生徒の姿を通して一定の成果が見えてきた。今年度は研究主題を『確かな学力の向上を図る学習指導の工夫 ~「つなぐ」から深い学びへ~』の2年目とし,「つなぐ」をキーワードにした学びの深まりが実感できる授業づくりを推進したい。本校で目指す資質・能力や授業のねらいを達成するために教材や学習過程を有機的につなぎ、多様な学習活動や形態によって考えがつながり、そのような学習を積み重ねていくことで、学ぶ意義やよさを実感しながら自ら学びをつなげていく生徒に育つものと考えている。また、深い学びを支える基礎・基本や学びに向かう土台も重視しながら、その両輪によって確かな学力の向上を図りたい。

研究の重点(抜粋)
重点1 目的やねらい達成のために効果的で多様な指導で学びをつなぐ。
    ・ゴールイメージや評価規準の明確化
    ・効果的なゆさぶりの実施とコーディネート力の向上
重点2 ゆさぶりや学び合いのコーディネートにより学びがつながる。
    ・問題把握のための書き込みや音読活動の推進
    ・目的や論点を明確にした話合いの場の設定
重点3 学ぶ意義やよさを実感しながら学びをつないでいく。
    ・振り返りの場の設定と時間確保
重点33・生活や時事、関心など生徒の実態と関連した単元の構想

本校の学校教育目標は「夢を力に」であり,立志の学校として立志三訓「希望」,「友情」,「鍛練」の目指す生徒像に近づくよう生徒も教師も努力を続けている。しかし,一定の成果はあるものの,「鍛練」に関する自己評価や教師による評価が比較的低いこと,生徒は決まったことを行うことは得意だが独自のアイディアで新しい企画を開発する意欲が低いことが課題としてあげられている。そこで,保護者や地域住民の声を聞いた後,令和元年12月,目指す生徒像に近づくための基盤となる力として,「創造力」を設定し育成を目指すこととした。
今後,社会や世界の一員としてよりよい生き方を考える力を育んでいくため,これまでの研究を継続しつつ,「育てたい資質・能力」と「目指す生徒像」,「期待される生徒の姿」を関連付けながら学校教育目標の実現に迫っていきたい。

ESDの推進
ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。
今、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。
つまり、ESDは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育です。

ESDの実施には、特に次の二つの観点が必要です。
○人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと
○他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むこと
そのため、環境、平和や人権等のESDの対象となる様々な課題への取組をベースにしつつ、環境、経済、社会、文化の各側面から学際的かつ総合的に取り組むことが重要です。
(文部科学省のページから引用)
「持続可能な社会づくりの担い手をはぐくむ」。環境、貧困、平和、開発といった大きな問題の前に、由利本荘市、特に西目町を持続可能な社会として創造していく力を生徒には身に付けさせたいと考えます。
    地域の課題に対し、自分だったら~のように取り組むだろうという視点で挑戦して参ります。