○由利本荘市地域支援事業実施要綱

平成29年4月1日

告示第58号

由利本荘市地域支援事業実施要綱(平成19年由利本荘市告示第38号)の全部を次のように改正する。

(目的及び趣旨)

第1条 地域支援事業は、高齢者が要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という。)となることを予防し、社会に参加しつつ、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的とし、地域における包括的な相談及び支援体制、多様な主体の参画による日常生活の支援体制、在宅医療と介護の連携体制及び認知症高齢者への支援体制の構築等を一体的に推進するものである。

(事業構成及び事業内容)

第2条 介護予防・日常生活支援総合事業(介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の45第1項に規定する介護予防・日常生活支援総合事業をいう。以下「総合事業」という。)の事業構成及び事業内容は、別記1のとおりとする。

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)(介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の46第1項に規定する包括的支援事業のうち法第115条の45第2項第4号から第6号に掲げる事業を除く。以下同じ。)の事業構成及び事業内容は、別記1及び別記2のとおりとする。

3 包括的支援事業(社会保障充実分)(包括的支援事業のうち在宅医療・介護連携推進事業、生活支援体制整備事業、認知症総合支援事業及び地域ケア会議推進事業(法第115条の45第2項第4号から第6号までに掲げる事業及び同項第3号を効果的に実施するために、法第115条の48第1項に基づき設置される会議(以下「地域ケア会議」という。)を開催する事業をいう。以下同じ。)の事業構成及び事業内容は、別記1及び別記3のとおりとする。

4 任意事業(法第115条の45第3項各号に掲げる事業をいう。以下同じ。)の事業構成及び事業内容は、別記1及び別記4のとおりとする。

(実施方法)

第3条 地域支援事業は、法、介護保険法施行令(平成10年政令第412号。以下「政令」という。)、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「省令」という。)、介護予防・日常生活支援総合事業の適切かつ有効な実施を図るための指針(平成27年厚生労働省告示第196号。以下「実施指針」という。)の規定及び介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて(平成27年6月5日老発0605第5号厚生労働省老健局長通知)(以下「ガイドライン」という。)によるほか、本荘由利広域市町村圏組合地域支援事業実施要綱及びこの告示の定めるところによる。

2 地域支援事業の実施に当たっては、高齢者のニーズや生活実態に基づいて総合的な判断を行い、高齢者に対し、自立した日常生活を営むことができるよう、継続的かつ総合的なサービスが提供されるよう実施することとする。

3 地域包括支援センター(法第115条の46第1項に規定する地域包括支援センターをいう。以下同じ。)は地域包括ケアを有効に機能させるために、保健師、主任介護支援専門員、社会福祉士などの各々の専門職の知識を活かしながら、常に情報を共有し、互いに業務の理念、基本的な骨格を理解した上で、連携・協働の体制を作っていく。

また、法第115条の46第7項に規定しているとおり、地域包括支援センター内にとどまることなく、地域での各種サービス、保健・医療・福祉の専門職、専門機関相互の連携、ボランティア等の住民活動などインフォーマルな活動を含めた、地域における様々な社会資源の有効活用を図り、ネットワークを構築していく。さらに、地域支援事業の円滑な実施、地域包括支援センターの適切、公正かつ中立な運営を確保する観点から、本荘由利広域市町村圏組合地域包括支援センター運営協議会等を積極的に活用していく。

また、法第115条の47第1項の規定により、市は委託型の地域包括支援センターに対して運営方針を定めるものとする。

4 地域共生社会の推進の観点から、地域住民の複合化・複雑化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を整備するため、一般介護予防事業(法第115条の45第1項第2号に規定する事業をいう。以下同じ。)における地域介護予防活動支援事業、包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)(法第115条の45第1項第1号ニに規定する第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)を除く)及び生活支援体制整備事業については、対象者の属性を問わない相談支援、多様な参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に行う重層的支援体制整備事業(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第106条の4第2項に規定する重層的支援体制整備事業をいう。以下同じ。)として実施することができる。

(実施主体)

第4条 地域支援事業は、本荘由利広域市町村圏組合と由利本荘市との間の介護保険者事務の事務委託に関する規約(平成17年由利本荘市告示第24号)の規定により、本荘由利広域市町村圏組合管理者(以下「管理者」という。)からの受託事業として、由利本荘市長(以下「市長」という。)が実施する。

2 市長は、地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、総合事業の実施を委託することができるものとする。また、総合事業のうち、介護予防・生活支援サービス事業(法第115条の45第1項第1号に規定する第1号事業をいう。以下「第1号事業」という。)については、市が事業者を指定して事業を実施することができるものとする。

3 市は、地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、任意事業の全部又は一部について、市が適当と認める者に対し、その実施を委託することができるものとする。

4 2から3までの受託者に対して市が支払う費用の額については、市において、地域の実情に応じて柔軟に決定するものとする。

なお、総合事業については、受託者に対する費用の審査・支払に係る事務を国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)に委託することが可能である。

5 法第13条第3項に規定する住所地特例適用被保険者に対する地域支援事業の実施に関しては、法第115条の45第1項により、当該住所地特例適用被保険者が入所又は入居する施設が所在する市町村(以下「施設所在市町村」という。)が行うものとしている。

ただし、任意事業については、転居前の市町村(以下「保険者市町村」という。)も行うことができる仕組みとなっており、事業の内容によっては、引き続き、保険者市町村が行うことができる。

6 地域包括支援センターの設置者若しくはその職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

7 総合事業は、市が実施主体となり、保健所その他の関係行政機関、医師会、歯科医師会その他の保健医療関係団体、社会福祉協議会その他の福祉関係団体、介護関係事業者その他の民間事業者、ボランティアを含む地域住民等の協力を得て推進するものとする。

(事業実施の委託)

第5条 市は、この事業の一部又は全部を適切な事業運営が確保できると認められる社会福祉協議会、シルバー人材センター、社会福祉法人、医療法人、民間事業者、特定非営利活動法人、農業協同組合、民間のボランティア団体等に委託できるものとする。

2 地域支援事業を委託する場合の委託料は、市にて定める。

(利用料)

第6条 地域支援事業の実施について、市から委託を受けた者又は第一号事業の指定事業者は、地域支援事業の利用者に対し、介護予防把握事業に係る費用を除いて、利用料を請求することができる。

利用料に関する事項は、地域の実情や各事業の内容に応じて、市において決定する。

また、利用料の額の設定に当たっては、予防給付及び総合事業(旧総合事業又は旧介護予防事業を含む。)との均衡等を勘案しながら、適切に設定することとする。

なお、市が地域支援事業の実施について委託する場合は、地方自治法第210条で規定される総計予算主義の原則等を踏まえ、利用料を直接委託先の歳入とすることを前提に利用料を控除した額を委託費とすることは適当ではなく、会計上、委託料と利用料をそれぞれ計上することが適当であることについて、留意する。

2 この事業の利用料は、費用徴収条例において規定する。

3 利用料については、事業所で徴収することができるものとする。

(情報の共有)

第7条 事業の推進にあたっては、本荘由利広域市町村圏組合と協力関係をもって、相互に情報の共有をはからなければならない。

2 市は、必要に応じて地域包括支援センターに利用者の情報を提供し、サービス計画書の策定と提出を求める。

(評価)

第8条 地域支援事業の実施状況及び効果に関する評価は、保険者機能強化推進交付金に関する指標により、毎年度実施する。

(委任)

第9条 この告示に定めるもののほか、必要な事項は別に定める。

(施行期日)

1 この告示は、平成29年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この告示の施行の日の前日までに、改正前の由利本荘市地域支援事業実施要綱(平成19年由利本荘市告示第38号)の規定になされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの告示の相当規定によりなされたものとみなす。

(平成30年10月5日告示第84号)

この告示は、公布の日から施行し、平成30年4月1日から適用する。

(令和元年9月25日告示第66号)

この告示は、公布の日から施行し、平成31年4月1日から適用する。

(令和2年8月19日告示第80号)

この告示は、公布の日から施行し、令和2年4月1日から適用する。

(令和4年2月10日告示第11号)

この告示は、公布の日から施行し、令和3年4月1日から適用する。

(令和4年5月27日告示第57号)

この告示は、公布の日から施行し、令和4年4月1日から適用する。

別記1 総合事業

総合事業は、要支援者等に対して必要な支援を行う法第115条の45第1項第1号に規定する第1号事業(以下「介護予防・生活支援サービス事業」という。)と、住民主体の介護予防活動の育成及び支援等を行う法第115条の45第1項第2号に規定する事業(以下「一般介護予防事業」という。)からなる。

総合事業では、従来、介護予防訪問介護及び介護予防通所介護(以下「旧介護予防訪問介護等」という。)により提供されていた専門的なサービスに加え、生活支援体制整備事業等により住民主体の支援等の多様なサービス、一般介護予防事業の充実を図り、市の独自施策や市場において民間企業により提供される生活支援サービスも活用することにより、要支援者等の能力を最大限いかしつつ、要支援者等の状態等に応じたサービスが選択できるように努める。その際、新たに総合事業によるサービスを利用する要支援者等については、住民主体の支援等の多様なサービスの利用が可能となるよう体制を整えた上で、その利用促進を図っていく。

具体的には以下のとおり事業を実施するものとする。

(1) 介護予防・生活支援サービス事業(法第115条の45第1項第1号に基づく事業)

ア 総則

(ア) 目的

介護予防・生活支援サービス事業は、要支援者等に対して、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止及び地域における自立した日常生活の支援を実施することにより、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援し、活動的で生きがいのある生活や人生を送ることができるように支援することを目的として実施する。また、要支援者等の多様な生活支援のニーズに対して、旧介護予防訪問介護等により提供されていた専門的なサービスに加え住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することにより、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とし、地域の支え合いの体制づくりを推進することを目的とする。

その目的を達成するため、事業の実施に際しては、法第115条の45第1項第1号ニに規定する第1号介護予防支援事業(以下「介護予防ケアマネジメント」という。)により、個々の要支援者等の心身の状況、その置かれている環境その他の状況(以下「心身の状況等」という。)に応じて、要支援者等の選択に基づき、適切な事業を包括的かつ効率的に実施するものとする。

介護予防・生活支援サービス事業については、介護サービス事業者、ボランティア、地縁組織、NPO法人、民生委員、シルバー人材センター等、地域における多様な主体を積極的に活用するとともに、公民館、自治会館、保健センター等、地域の多様な社会資源を積極的に活用しながら実施するものとする。

(イ) 介護予防・生活支援サービス事業の構成

介護予防・生活支援サービス事業は、法第115条の45第1項第1号イに規定する第1号訪問事業(以下「訪問型サービス」という。)、同号ロに規定する第1号通所事業(以下「通所型サービス」という。)及び介護予防ケアマネジメントから構成される。

(ウ) 対象者

法第115条の45第1項第1号に規定する居宅要支援被保険者等を対象に実施する。

居宅要支援被保険者等とは、居宅要支援被保険者のほか、

・ 介護保険法施行規則第140条の62の4第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第197号)に掲げる様式第1(以下「基本チェックリスト」という。)の記入内容が同基準様式第2に掲げるいずれかの基準に該当した者(以下「事業対象者」という。)

・ 補助(助成)により実施されるサービスについては要介護認定による介護給付に係る居宅サービス等を受ける前から継続的に利用する要介護者(以下「継続利用要介護者」という。)が含まれる。

なお、基本チェックリストについては別添2を参照のこと。

(エ) サービスの提供

① 提供方法

以下の形態のいずれかによって提供するものとする。

(a) 市の直接実施

市の職員が直接要支援者及び事業対象者(以下「要支援者等」という。)に対して支援等を実施するもの。

(b) 市が省令第140条の69に定める基準に適合する者に対して委託して実施

法第115条の47第4項の規定により、省令第140条の69に定める基準に適合する者に対して、市が総合事業の実施を委託して実施するもの。

(c) 指定事業者(法第115条の45の3第1項に規定する指定事業者をいう。以下同じ。)による実施

法第115条の45の3第1項に基づき、市長が指定した事業者が要支援者等にサービスを提供した場合に、その要した費用について当該要支援者等に対して第1号事業支給費を支給するもの。

(d) 補助(助成)の方法による実施

地域において活動しているNPO法人やボランティア等に対して、要支援者等及び継続利用要介護者に対するサービス提供等を条件として、その立ち上げ経費や活動に要する費用に対して補助(助成)することにより事業を実施するもの。

② サービス提供の留意事項

上記の(b)から(d)までについては以下の点に留意するものとする。

・ (b)について

介護予防・生活支援サービス事業の委託に当たっては、市が省令第140条の69に定める基準に適合する者に委託しなければならないため、事業の実施に当たっては、法第115条の45第1項第1号イからニまでを省令第140条の62の3第2項に規定する基準に基づき、実施する必要がある(他の実施方法においても同様。)。また、委託の場合には、市は受託者より実績報告を受けたうえで、委託料を支払うこととなる。その際、受託者はサービス利用者の人数、利用者の氏名、被保険者番号、要支援者・事業対象者の別、提供したサービスの内容等を市が定める様式により報告する必要がある。

・ (c)について

指定の有効期間は、省令第140条の63の7に基づき、給付における指定期間である6年を勘案して6年とする。

なお、市境に所在する事業所など他市町村の被保険者が利用する場合には、他市町村による事業者の指定について配慮すること。

また、指定事業者に対しては国保連経由で第1号事業支給費を支給することができる。

・ (d)について

補助(助成)の方法で事業を実施する場合について、当該補助(助成)の対象経費や額等については、立ち上げ支援や活動場所の借り上げの費用、間接経費(光熱水費、サービスの利用調整等を行う人件費等)等、様々な経費について、市がその裁量により対象とすることを可能とするほか、住民主体の多様なサービスの展開のため、ボランティア活動に対する奨励金(謝礼金)を補助の対象とすることも可能である。ただし、施設整備の費用(軽微な改修は除く。)、直接要支援者等に対する支援等と関係ない費用(従業員の募集・雇用に要する費用、広告・宣伝に要する費用等)は補助の対象とすることはできない。運営費の一部を補助するものであるが、例えば補助率を設定せずに年定額での補助を行うことも可能である。

なお、住民主体の自主的な取組や活動を阻害しないよう、実施主体の活動内容については、過去に国庫補助金等から一般財源化された事業も含めて実施を妨げるものではない。

また、施設整備の費用(軽微な改修は除く。)、直接要支援者等に対する支援等と関係ない従業員の募集・雇用に要する費用、広告・宣伝に要する費用等も対象とすることはできない。

ただし、地域の多様な社会資源を積極的に活用しながら多様な通いの場を創出する観点から、例えばイ(イ)に定める通所型サービスを、空き家を活用した事業として実施する場合等において、階段の手すりやスロープの設置、トイレの改修等高齢者が利用するにあたって必要な軽微な改修を行う場合は、当該費用を対象として差し支えない。

また、サービスを提供するのは補助(助成)を受けたNPO法人やボランティア等となるが、総合事業の実施に当たっては、法第115条の45第1項第1号イからハまでを省令第140条の62の3第2項に基づき実施する必要があることから、補助金(助成金)の交付条件等として当該基準を遵守するよう定める必要がある。補助(助成)による実績報告を求める際、どのような報告を求めるかについては、その補助(助成)の方法やサービス内容を踏まえて、市が定める。

(オ) 人員・設備・運営基準

① 旧介護予防訪問介護等に相当するサービスの場合

旧介護予防訪問介護等に相当するサービスに係る人員・設備・運営の基準については、省令第140条の63の6第1号イに規定する平成30年度介護報酬改定前の指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等にかかる介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第35号。以下「旧介護予防サービス等の基準」という。)に規定する旧介護予防訪問介護等に係る規定及び介護保険法施行規則第140条の63の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準(令和3年厚生労働省告示第71号)の例によること。

② 旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の場合

旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の指定事業者等によるサービスに係る人員・設備・運営の基準については、以下のとおりである。

なお、旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外のサービスとして、市の判断により、共生型サービスを参考としたサービスを創設することが可能であるが、その場合においても、以下の事項について遵守する。

(a) 従事者の清潔の保持・健康状態の管理

(b) 従事者又は従事者であった者の秘密保持等

(c) 事故発生時の対応

(d) 廃止・休止の届出と便宜の提供

(カ) 単価

① 指定事業者による実施の場合

(a) 単価設定について

旧介護予防訪問介護等に相当するサービスに係る第1号事業支給費の額(以下「サービス単価」という。)は、市において国が定める額(介護保険法施行規則第140条の63の2第1項第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準(令和3年厚生労働省告示第72号)に定める単価(旧介護予防訪問介護及び旧介護予防通所介護に係る単価を踏まえた単価(以下「介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価」という。))を勘案して定めることとしており、サービス単価を設定するに当たって、訪問介護員等による専門的サービスであること等を踏まえ、地域の実情に応じ、ふさわしい単価として介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価のとおりとする。

(b) 加算・減算について

旧介護予防訪問介護等に相当するサービスの加算・減算については、介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価に定める加算・減算について算定することが可能である。

(c) 1単位あたりの単価設定

旧介護予防訪問介護等に相当するサービスに係る1単位当たりの単価は、介護給付の訪問介護及び通所介護の地域区分の1単位当たりの単価を用いる。

② 直接実施、委託及び補助(助成)の場合

①の指定事業者による実施との整合性の観点から、直接実施における費用の額、委託実施における委託費、補助(助成)実施における補助額は、それぞれの利用者見込み数で除して得た額が、介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価を勘案した額(利用者数に応じて設定する単価にあっては、利用者1人当たりの単価が介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価を勘案した額)となるように設定すること。

ただし、保健・医療の専門職により提供される3~6箇月の短期間で行われるサービスについては、この限りではない。

(キ) 利用者負担

市がサービス内容や時間、基準等を踏まえ、要綱等において定めるものとする。

ただし、住民主体の支援等、事業への補助の形式で実施されるサービスは、当該支援の提供主体より自主的に実施されるものであることから、当該支援の提供主体が定めるところによることとすることも可能である。

また、旧介護予防訪問介護等に相当するサービスについては、介護給付の利用者負担割合(原則1割、一定所得以上の場合は2割又は3割。ただし、負担割合3割については、平成30年8月からの取扱。)等を勘案して介護給付の利用者負担割合と同様とする。

旧介護予防訪問介護等に係る基準よりも緩和した基準によるサービスについては、委託実施における単価の1割とする。

なお、以下の点に留意すること。

① 食材料費及び調理費相当分については、介護給付と同様に利用者負担とする。

② 指定事業者によって提供されるサービスについては(コ)に定める高額介護予防サービス費相当事業の対象となる。それ以外のサービスについては利用料の設定に当たり低所得者への配慮を行うこと。

(ク) 給付管理

要支援者が総合事業の指定事業者によるサービスを利用する場合には、予防給付の区分支給限度額の範囲内で予防給付と総合事業を一体的に給付管理する。一方、事業対象者については、指定事業者のサービスを利用する場合にのみ、原則給付管理を行うものとすること。

事業対象者に係る給付管理の上限額の設定は、要支援1の区分支給限度額とする。

事業対象者について給付管理を行う際は、予防給付の要支援1の区分支給限度額を目安として行うこと。ただし、退院直後で集中的にサービス利用することが自立支援につながると考えられるケース等、利用者の状態によって、区分支給限度額を超える場合においては、要支援者2の区分支給限度額を上限とする。

(ケ) 住所地特例適用被保険者に係る費用負担

法第115条の45第1項の規定により、法第13条第3項に規定する住所地特例適用被保険者(以下「住所地特例適用被保険者」という。)に対する総合事業については、より円滑にサービスを受けることができるよう、保険者市町村ではなく、施設所在地市町村が、総合事業を含めた地域支援事業を実施し、事業の費用の負担は当該被保険者の保険者市町村が負担するものである。

このため、保険者市町村は施設所在地市町村に対して、総合事業のうち(エ)①(c)に定める指定事業者による提供サービスと、イ(エ)に定める介護予防ケアマネジメントに要する費用額を支払うものとすること。

(エ)①(c)に定める指定事業者による提供サービス分についての費用の支払いは、国保連経由で行うことを原則とし、国保連を通じて指定事業者が保険者市町村に請求し、保険者市町村が支払うこととなるため、省令第140条の72の4第2項の規定により財政調整はこれをもって行われたものとして取り扱う。

イ(エ)に定める介護予防ケアマネジメントの費用については、市町村の事務負担軽減の観点から、国保連において全国の市町村と一括して財政調整することができる仕組みがある。この仕組みを利用して、市町村においては財源調整を円滑に実施するためには、国保連と委託契約を締結することが必要である。具体的には、政令第37条の16第2項第2号及び省令第140条の72の4第3項に定める算定方法により、別途、住所地特例適用被保険者の利用者数に1件あたり438単位をかけた金額の支払い・請求により財政調整を行うものとする。具体的には、施設所在地市町村が介護予防ケアマネジメント負担金調整依頼書にて、全国の保険者の住所地特例適用被保険者をとりまとめ、年に1回国保連に提出し、国保連が全国全ての市町村から受けた人数を整理して、各市町村に対して対象となる住所地特例適用被保険者の数1件あたり438単位をかけた金額を負担金として、支払い又は請求をするものとする。

(コ) 高額介護予防サービス費相当事業

① 目的

市は、総合事業によるサービス利用に係る利用者負担の家計に与える影響を考慮し、高額介護予防サービス費に相当する事業を実施することができる。

② 対象

対象となるサービスは、(エ)①(c)に定める指定事業者によるサービスである。

③ 実施内容

市が地域の実情に応じて実施するものとするが、給付と事業の両方を利用している場合は、法第51条又は法第61条に基づく給付の高額介護(予防)サービス費の支給を算定した後、高額介護予防サービス費相当の事業による支給を算定することとし、高額介護(予防)サービス費の支給計算にあたって、事業の利用による影響は与えないことに留意する。なお、給付における高額介護(予防)サービス費との一体実施の観点から、所得判定及び自己負担限度額等は給付と同様に設定すること。

④ 住所地特例適用被保険者に対する事業の実施者

住所地特例適用被保険者は、引き続き保険者市町村の被保険者として、保険料も保険者市町村に納めていることから、当該者に対する地域支援事業の費用は保険者市町村が負担することになるため、住所地特例適用被保険者の高額介護予防サービス費相当事業は保険者市町村が実施する。

(サ) 高額医療合算介護予防サービス費相当事業

① 目的

市は、総合事業によるサービス利用に係る利用者負担の家計に与える影響を考慮し、医療保険の自己負担額を合算した額を考慮した高額医療合算介護予防サービス費に相当する事業を実施する。

② 対象サービス

対象となるサービスは、(エ)①(c)に定める指定事業者によるサービスである。

③ 実施内容

市が地域の実情に応じて実施するものとするが、給付と事業の両方を利用している場合は、法第51条の2又は法第61条の2に基づく給付の高額医療合算介護(予防)サービス費の支給を算定した後、高額医療合算介護予防サービス費相当の事業による支給を算定することとし、高額医療合算介護(予防)サービス費の支給計算にあたって、事業の利用による影響は与えないことに留意する。なお、給付における高額医療合算介護(予防)サービス費との一体実施の観点から、所得判定及び自己負担限度額等は給付と同様に設定すること。

④ 住所地特例適用被保険者に対する事業の実施者

(コ) ④と同様、保険者市町村が実施する。

(シ) その他の制度における総合事業の取扱について

生活保護法における介護扶助、原子爆弾被爆者に対する公費助成、障害給付における介護優先の取扱いについては別途、ガイドラインを参照のこと。

(ス) 総合事業は、事業の効果、効率性等の観点から、障害者総合支援制度の地域生活支援事業、子ども・子育て支援制度の地域子育て支援拠点事業、健康増進事業などの地域づくりに資する事業と連携して一体的に実施する。

イ 各論

要支援者等の多様な生活支援のニーズに対して、総合事業により多様なサービスを提供していくためには、地域の実情に応じて、総合事業によるサービスを類型化し、それに合わせた基準や単価等を定めることが必要である。ただし、旧介護予防訪問介護等との整合性の観点から、訪問型サービス及び通所型サービスのサービス内容は、保健・医療の専門職により提供される3~6箇月の短期間で行われるサービスを除いて、旧介護予防訪問介護等のサービス内容の範囲内で実施するものとする。

(ア) 訪問型サービス

① 旧介護予防訪問介護に相当するサービス(以下「総合事業訪問介護サービス」という。)

(a) 定義

以下の3つのサービスをいう。

a 省令第140条の63の6第1号イに規定するサービス(旧介護予防訪問介護に相当するサービス)

b 省令第140条の63の6第1号ロに規定するサービス(旧介護予防訪問介護における基準該当サービスに相当するサービス)

c 省令第140条の63の6第1号ハに規定するサービス(旧介護予防訪問介護における離島等におけるサービスに相当するサービス)

(b) サービス内容

要支援者等の居宅において、介護予防を目的として、訪問介護員等により行われる入浴、排せつ、食事等の身体介護や生活援助を行うものである。

(c) 実施方法

ア(エ)①(c)に定める事業者指定の方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)①による。

(e) 単価

ア(カ)①による。

② 主に雇用されている労働者により提供される、旧介護予防訪問介護に係る基準よりも緩和した基準によるサービス(以下「総合事業家事援助サービス」という。)

(a) 定義

省令第140条の63の6第2号に規定する基準又は市の定める基準に基づき、実施指針第2の4(1)に規定する主に雇用されている労働者により提供される旧介護予防訪問介護に係る基準よりも緩和した基準によるサービス

(b) サービス内容

要支援者等の居宅において、介護予防を目的として、主に雇用される労働者(訪問介護員又は一定の研修受講者)が行う生活援助等の多様なサービスを行うものである。

「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日老計第10号)等旧介護予防訪問介護等のサービス内容の範囲内で、利用者の状態や地域の実情等に応じて柔軟にサービスを提供することが可能であり、主に身体介護を伴わないサービスである。

(c) 実施方法

原則として、ア(エ)①(b)に定める委託による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

委託による方法の場合はア(カ)②により、市が定める金額とする。委託の場合の単価については、必ずしも市町村において要支援者等個々人に対する個別のサービス単価を設定するものではないことが多いと考えられるため、指定事業者の場合に介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価と厳密に比較することになじまないと考えられる。しかしながら、事業の実施に当たって、市は利用者1人当たりに要する費用について、介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価を勘案して事業を計画して実施する。

③ 保健・医療の専門職により提供される、3~6箇月の短期間で行われるサービス(以下「訪問型専門的指導事業」という。)

(a) 定義

市の定める基準に基づき、実施指針第2の4(1)に規定する保健・医療の専門職により提供される支援で、3~6箇月の短期間で行われるサービス

(b) サービス内容

特に閉じこもり等のおそれがある等の心身の状況のために通所による事業への参加が困難で、訪問による介護予防の取り組みが必要と認められる者を対象に、保健・医療専門職がその者の居宅を訪問して、その生活機能に関する問題を総合的に把握、評価し、社会参加を高めるために必要な相談・指導等を実施する短期集中予防サービスである。その際、サービス終了後も引き続き活動や参加が維持されるよう、地域の通いの場や通所型サービス等社会参加に資する取組に結びつくよう配慮すること。

また、当該サービスは、効果的な取り組みができると判断される場合には、通所型専門的指導事業と組み合わせて実施することができるものとする。

なお、当該サービスにおける保健・医療専門職とは、保健師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士等である。

(c) 実施方法

ア(エ)①(a)に定める直接実施又は同①(b)に定める委託による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

サービスの内容に応じ、市が適切な単価の設定を行うものとする。なお、当該サービスについては、保健・医療の専門職が関与するものであることから、介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価を上限とするものではない。

(f) その他

a 訪問型専門的指導事業は、保健・医療専門職による短期集中予防サービスであることから、実績等を確認し、効果的かつ効率的な事業運営に努めること。

b 対象者自身が自身の生活機能の低下等について自覚を持ち、介護予防に意欲的に取り組めるように支援すること。

c 対象者がしたい、又はできるようになりたい生活行為を、興味・関心チェックリスト(別添3)等を活用し、具体的な目標として明確化すること。

d 個別的な支援を中心とする短期集中予防サービスであることから、3箇月を経過した時点で評価や、サービス担当者会議等のカンファレンスを開催し、サービス終了後も引き続き社会参加に資する取組が維持されるよう配慮する。ただし、カンファレンスの結果、サービスの継続が生活行為の改善に効果的であると判断された場合には、最大6箇月までサービスを継続することができる。

e サービス終了後は、余暇やボランティア活動、地域の通いの場等の社会参加、一般介護予防事業等の社会参加に資する取組を継続できるよう配慮すること。

f 生活機能が低下した場合再び相談できるよう、相談先を伝えること。

(イ) 通所型サービス

① 旧介護予防通所介護に相当するサービス(以下「総合事業通所介護サービス」という。)

(a) 定義

以下の3つのサービスをいう。

a 省令第140条の63の6第1号イに規定するサービス(旧介護予防通所介護に相当するサービス)

b 省令第140条の63の6第1号ロに規定するサービス(旧介護予防通所介護における基準該当サービスに相当するサービス)

c 省令第140条の63の6第1号ハに規定するサービス(旧介護予防通所介護における離島等におけるサービスに相当するサービス)

(b) サービス内容

要支援者等について、介護予防を目的として、施設に通わせ、当該施設において、一定の期間、入浴、排せつ、食事等の介護等の日常生活上の支援及び機能訓練を行うものである。

(c) 実施方法

ア(エ)①(c)に定める事業者指定の方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)①による。

(e) 単価

ア(カ)①による。

② 主に雇用されている労働者により又は労働者とともにボランティアが補助的に加わった形により提供される旧介護予防通所介護に係る基準よりも緩和した基準によるサービス(以下「総合事業生活機能向上サービス」という。)

(a) 定義

省令第140条の63の6第2号に規定する基準又は市の定める基準に基づき、実施指針第2の4(2)に規定する主に雇用されている労働者により又は労働者とともにボランティアが補助的に加わった形により提供される旧介護予防通所介護に係る基準よりも緩和した基準によるサービス

(b) サービス内容

高齢者の閉じこもり予防や自立支援に資する通所事業であり、入浴、排せつ、食事等の介助を行わないサービスを行うものである。

(c) 実施方法

原則として、ア(エ)①(b)に定める委託による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

(ア)②(e)に準じる。

③ 保健・医療の専門職により提供される、3~6箇月の短期間で行われるサービス(以下「通所型専門的指導事業」という。)

(a) 定義

市の定める基準に基づき、実施指針第2の4(2)に規定する保健・医療の専門職により提供される支援で、3~6箇月の短期間で行われるサービス

(b) サービス内容

個人の活動として行う排せつ、入浴、調理、買物、趣味活動等の生活行為に支障のある者を対象に、保健・医療の専門職が、居宅や地域での生活環境を踏まえた適切な評価のための訪問を実施した上で、おおよそ週1回以上、生活行為の改善を目的とした効果的な介護予防プログラムを実施する、短期集中予防サービスである。単に高齢者の運動機能や栄養といった心身機能にだけアプローチするのではなく、高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めたバランスのとれたものとすることにより、サービス利用の結果、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加につなげるものであること。その際、サービス終了後も引き続き活動や参加が維持されるよう、地域の通いの場等への参加に結びつくよう配慮すること。また、当該事業は、効果的な取り組みができると判断される場合には、訪問型専門的指導事業と組み合わせて実施することができる。

(c) 実施方法

ア(エ)①(a)に定める直接実施又は同①(b)に定める委託による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

サービスの内容に応じ、市が適切な単価の設定を行うものとする。なお、当該サービスについては、保健・医療の専門職が関与するものであることから、介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価を上限とするものではない。

(f) その他

a 通所型専門的指導事業は、保健・医療専門職による短期集中予防サービスであることから、実績等を確認しながら効果的かつ効率的な事業運営に努めること。

b 対象者自身が自身の生活機能の低下等について自覚を持ち、介護予防に意欲的に取り組めるように支援すること。

c 対象者がしたい又はできるようになりたい生活行為を、興味・関心チェックリスト(別添3)等を活用し、具体的な目標として明確化すること。

d 居宅を訪問し、支障をきたしている生活行為の原因を、居宅や地域での生活環境を踏まえ、適切にアセスメントし、課題抽出すること。

e 支障をきたしている生活行為の改善のための運動器の機能向上・栄養改善・口腔機能向上のプログラム、運動器の機能向上・認知機能向上を複合的に実施するプログラム等、ADLやIADLの動作練習、集団的に取り組むことにより効果を増す介護予防教育等を必要に応じて組み合わせて実施すること。また、適切な段階において居宅を訪問しADLやIADLの実施状況をモニタリングすること。

f 個別的な支援を中心とする短期集中予防サービスであることから、3箇月を経過した時点で評価や、サービス担当者会議等のカンファレンスを開催し、サービス終了後も引き続き社会参加に資する取組が維持されるよう配慮すること。ただし、カンファレンスの結果、サービスの継続が生活行為の改善に効果的であると判断された場合には、最大6箇月までサービスを継続してもよい。

g サービス終了後は、余暇やボランティア活動、地域の通いの場等の社会参加、一般介護予防事業等の社会参加に資する取組を継続できるよう配慮すること。

h 生活機能が低下した場合再び相談できるよう、相談先を伝えること。

(ウ) 介護予防ケアマネジメント

① 定義

法第115条の45第1号ニに規定するサービス

② 事業内容

介護予防ケアマネジメントは、要支援者等から依頼を受けて、介護予防及び日常生活支援を目的として、その心身の状況、置かれている環境その他の状況に応じて、その選択に基づき、訪問型サービス、通所型サービス、その他生活支援サービスのほか、一般介護予防や市町村の独自施策、市場において民間企業により提供される生活支援サービスも含め、要支援者等の状態等にあった適切なサービスが包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業とする。

③ 基本的な考え方

介護予防ケアマネジメントは、介護予防の目的である「高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐ」「要支援・要介護状態になっても状態がそれ以上に悪化しないようにする」ために、高齢者自身が地域における自立した日常生活を送ることができるよう支援するものであり、基本的なケアマネジメントのプロセスに基づくものである。

地域において、高齢者が健康を維持し、改善可能な場合は適切な支援を受けて改善に向かい、医療や介護、生活支援等を必要とする状態になっても住み慣れた地域で暮らし、その生活の質を維持・向上させるためには、高齢者一人一人が自分の健康増進や介護予防についての意識を持ち、自ら必要な情報にアクセスするとともに、介護予防、健康の維持・増進に向けた取組を行うことが重要となる。

介護予防ケアマネジメントは、介護予防支援と同様、地域包括支援センターが要支援者等に対するアセスメントを行い、その状態や置かれている環境等に応じて、目標を設定し、その達成に向けて介護予防の取り組みを生活の中に取り入れ、自ら実施、評価できるよう支援する。また、高齢者自身が、地域で何らかの役割を果たせる活動を継続することにより、日常生活上の何らかの困りごとに対して、心身機能の改善だけではなく、地域の中で生きがいや役割を持って生活できるような居場所に通い続ける等、「心身機能」「活動」「参加」の視点を踏まえた内容となるよう要支援者等の選択を支援していくことも重要である。

介護予防ケアマネジメントについては、適切なアセスメントの実施により、利用者の状況を踏まえた目標を設定し、利用者本人がそれを理解した上で、その達成のために必要なサービスを主体的に利用して、目標の達成に取り組んでいけるよう、具体的に介護予防・生活支援サービス事業等の利用について検討し、ケアプランを作成するものとする。

④ 介護予防ケアマネジメントの類型と考え方

介護予防ケアマネジメントのプロセスについては、利用者の状態等に応じ、以下のような類型である。

(a) ケアマネジメントA(介護予防支援と同様のケアマネジメント)

主に訪問型サービス又は通所型サービスにおいて、指定事業者のサービスを利用するケースや、訪問型専門的指導事業、通所型専門的指導事業を組み合わせた複数のサービスを利用するケース等に対して地域包括支援センターが、アセスメント(課題分析)によってケアプラン原案を作成し、サービス担当者会議を経て決定する。利用者との面接によるモニタリングについては、少なくとも3箇月毎に行い、利用者の状況等に応じてサービスの変更も行うことが可能な体制をとっておく。

(b) ケアマネジメントB(サービス担当者会議やモニタリングを省略したケアマネジメント)

ケアマネジメントA以外のケースであって、緩和した基準によるケアマネジメントとして、サービス担当者会議等を省略したもの。地域包括支援センターがケアマネジメントを行うが、アセスメント(課題分析)からケアプラン原案作成までは、ケアマネジメントAと同様に実施しつつ、サービス担当者会議を省略したケアプランの作成と、間隔をあけて必要に応じてモニタリング時期を設定し、評価及びケアプランの変更等を行う簡略化したケアマネジメントを実施する。

⑤ 実施方法

原則として、ア(エ)①(a)に定める直接実施又は同①(b)に定める委託による方法とする。

⑥ 実施担当者(実施体制)

介護予防ケアマネジメントは、利用者本人が居住する地域包括支援センターにおいて、実施するものとする。地域包括支援センターに配置されている3職種(保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員)のほか、介護支援専門員等の指定介護予防支援業務を行っている職員により実施することができ、これらの職員が相互に協働しながら行うものである。ただし、包括的支援事業全体の円滑な実施を考えた上で、地域包括支援センターが介護予防ケアマネジメントの一部を指定居宅介護支援事業所に委託し、当該事業所の介護支援専門員によって実施することもできる。

介護予防ケアマネジメントの実施に当たっては、地域包括支援センターの実施件数、指定居宅介護支援事業所の受託件数の制限は設けない。

介護予防ケアマネジメントの実施体制としては、以下のような体制を行うこと。

(a) 居宅介護支援事業所に委託する場合において、初回の介護予防ケアマネジメントから地域包括支援センターで書類等確認を行い、ケアプランの継続・変更時にも適宜関与する。

(b) 居宅介護支援事業所が多くのケースについて介護予防ケアマネジメントを行う場合も、初回の介護予防ケアマネジメント実施時に地域包括支援センターが立ち会うよう努めるとともに、地域ケア会議等を活用しつつ、その全てに関与する。

⑦ 単価

(a) ケアマネジメントA

ケアマネジメントAは省令第140条の63の2第1号ロに規定する額を単価とし、指定介護予防支援と同様に介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価を勘案して438単位とする。

(b) ケアマネジメントB

ケアマネジメントBは介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価を勘案した424単位とするが、初回後は、3箇月に1回の算定とする。

⑧ 加算・減算

ア(カ)①(b)に準じる。

⑨ 実施の手順

介護予防ケアマネジメントは、「指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」(平成18年厚生労働省令第37号。以下「指定介護予防支援等基準」という。)の「第4章 介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」及び「介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)の実施及び介護予防手帳の活用について」(平成27年6月5日厚生労働省老健局振興課長通知)を参照の上、実施するものとする。なお、具体的な事業の実施に当たっては、別添1の様式1から様式4までの様式のほか、市で定める様式を活用し、適切にケアマネジメントを実施するものとする。

⑩ その他の留意事項

上記①から⑨のほか、指定介護予防支援等基準に規定する介護予防支援に係る基準の例により実施するものとする。

(2) 一般介護予防事業

ア 総則

(ア) 目的

一般介護予防事業は、市の事業や地域の互助、民間サービスとの役割分担を踏まえつつ、高齢者を年齢や心身の状況等によって分け隔てることなく、住民主体の通いの場を充実させ、人と人とのつながりを通じて、参加者や通いの場が継続的に拡大していくような地域づくりを推進するとともに、地域においてリハビリテーションに関する専門的知見を有する者を活かした自立支援に資する取組を推進し、要介護状態になっても生きがい・役割をもって生活できる地域を構築することにより、介護予防を推進することを目的として実施する。

なお、これらの取組は、認知機能低下の予防に繋がる可能性も高いことから、認知症の発症予防の観点も踏まえ推進していく。

その目的を達成するため、一般介護予防事業を構成する介護予防把握事業、介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業、一般介護予防事業評価事業及び地域リハビリテーション活動支援事業の5事業のうち必要な事業を組み合わせて、地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するものとする。その際、短期集中予防サービスや、地域ケア会議、生活支援体制整備事業等の事業との連携に加えて、運動、口腔、栄養、社会参加などの観点から高齢者の保健事業と一体的に進めることが重要である。

また、一般介護予防事業の充実を図るためには、行政内における様々な分野の担当部局と連携し、分野横断的に進めるための体制を構築するとともに、地域の自治会や医療・介護等関係団体・機関等を含めた多様な主体との連携を進めていくことが重要である。

さらに、事業の推進に当たっては、市町村及び地域の医療機関等の医師、看護師、保健師、管理栄養士、歯科衛生士、リハビリテーション専門職等の専門職も重要な役割を担うことから、体制の充実を図ることや、専門職が配置されている他部門との連携に努めることも重要である。

(イ) 対象者

一般介護予防事業は、市の第1号被保険者の全ての者及びその支援のための活動に関わる者を対象に実施するものとするが、住民主体の通いの場に65歳未満の住民が参加し、ともに介護予防に取組むことを妨げるものではない。

なお、介護予防に資する住民主体の通いの場の取組の推進に当たっては、通いの場に参加する高齢者の割合を2025年までに8%とすることを目指し、通いの場の取組を推進していることを勘案することが望ましい。

イ 各論

(ア) 介護予防把握事業

介護予防把握事業は、次に掲げる方法等により、効果的かつ効率的に収集した情報等を活用して、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を早期に把握し、住民主体の介護予防活動へつなげることを目的とする。

① 要介護認定及び要支援認定の担当部局との連携による把握

② 訪問活動を実施している保健部局との連携による把握

③ 医療機関からの情報提供による把握

④ 民生委員等地域住民からの情報提供による把握

⑤ 地域包括支援センターの総合相談支援業務との連携による把握

⑥ 本人、家族等からの相談による把握

⑦ 特定健康診査等の担当部局との連携による把握

⑧ 高齢者保健事業等の担当部局との連携による把握

⑨ 重層的支援体制整備事業等の担当部局との連携による把握

⑩ その他市町村が適当と認める方法による把握

なお、多様な課題を抱える者や閉じこもりがちで健康状態が把握できていない者等の何らかの支援を要する者を把握するために、上記のほか、保健師、管理栄養士、歯科衛生士等の専門性をいかし、データ分析等を通じて健診・医療レセプト・介護情報がない者を把握することや訪問することも検討すべきである。その際、民生委員や地域のボランティア等とも連携することも重要である。

(イ) 介護予防普及啓発事業

介護予防普及啓発事業は、概ね次のものが考えられるが、市が介護予防に資すると判断した内容を地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するものとする。なお、実施に際しては、高齢者本人のみならず、家族や現役世代に対する働きかけにより理解を得ることや、様々な関係者が連携し介護予防に取り組むという気運を高めていくことも重要である。また、特に必要と認められる場合、リフトバス等による送迎を行うことができるものとする。

① 介護予防に資する基本的な知識を普及啓発するためのパンフレット等の作成及び配布

② 介護予防に資する基本的な知識を普及啓発するための有識者等による講演会や相談会等の開催

③ 介護予防の普及啓発に資する運動、栄養、口腔等に係る介護予防教室等の開催や訪問

④ 介護予防に関する知識又は情報、各対象者の介護予防事業の実施の記録等を管理するための媒体(介護予防手帳等)の配布

(ウ) 地域介護予防活動支援事業

年齢や心身の状況等によって高齢者を分け隔てることなく、誰でも一緒に参加することのできる介護予防活動の地域展開を目指して、市が介護予防に資すると判断する住民主体の通いの場等の活動を効果的かつ効率的に支援するものとする。

介護予防に資する住民主体の通いの場については、高齢者がそれぞれの年齢層や性別、健康状態、関心などに応じて参加できるよう、市町村が介護保険制度による支援を行っているものに限らず、スポーツや生涯学習に関する取組等を含めた多様な取組の実施が期待される。さらに、地域づくりの推進や男性の参加促進等を図る観点から、防災や交通安全、地域の見守り等の取組との連携も期待される。

また、以上の取組に加え、次のようなものも組み合わせて支援する。

① 介護予防に関するボランティア等の人材を育成するための研修

② 介護予防に資する多様な地域活動組織の育成及び支援

③ 社会参加活動を通じた介護予防に資する地域活動の実施

④ 介護予防に資する取組への参加やボランティア等へのポイント付与

なお、ポイント付与の取組については、参加へのインセンティブや、参加者のデータ収集、多様な主体との連携にもつながることが期待される一方、対象の偏りや費用対効果などの点については、社会的に理解の得られる範囲を見極めながら進めることが重要である。

(エ) 一般介護予防事業評価事業

① 事業内容

一般介護予防事業の目的である住民主体の通いの場を充実させ、人と人とのつながりを通じたより良い地域づくりにつなげるために、介護保険事業計画において定める目標値の達成状況等の検証を通じ、一般介護予防事業を含め、地域づくりの観点から総合事業全体を評価することとし、その評価結果に基づき事業全体の改善を図ることとする。その際、PDCAサイクルに沿って、効果的・効率的に取組が進むよう、介護関連データを活用し、適切かつ有効に行うよう努めること。

ただし、地域の実情を把握するための調査の実施にあたっては、介護保険事業計画の評価等を行う上で必要な項目を適切に選定し、調査結果に基づいて評価を行い、計画の見直しを行うこと。また、調査結果について、介護予防普及啓発事業の活用をする等、住民への情報提供に留意すること。

② 実施方法

事業評価は、年度ごとに、別添4の「総合事業の事業評価」により、プロセス評価を中心に実施するとともに、アウトカム指標について評価することが望ましい。

(オ) 地域リハビリテーション活動支援事業

① 事業内容

事業内容としては、概ね次のものが考えられるが、市が地域における介護予防の取組を機能強化する効果があると判断した内容を地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するよう努めるものとする。実施に際しては、リハビリテーションに関する専門的知見を有する者が、高齢者の有する能力を評価し改善の可能性を助言する等、地域包括支援センターと連携しながら、通所系サービス、訪問系サービス、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民主体の通いの場等の介護予防の取組を総合的に支援する。

なお、実施担当者については医療機関等に従事していることも多いことから、医師会等関係団体や実施担当者が所属する医療機関等と連携し、実施担当者が業務の一環として派遣されるよう、地域の実情にあわせて体制を整備するものとする。

また、都道府県においても市の一般介護予防事業を中心とした地域支援事業の充実・強化のため地域リハビリテーション支援体制を整備し、都道府県によって都道府県医師会等関係団体が関与の上で実施担当者の広域派遣調整を実施している。こうした都道府県の取組の実施状況について把握し、協力体制を構築することが重要である。

(a) 住民への介護予防に関する技術的助言

(b) 介護職員等(介護サービス事業所に従事する者を含む。)への介護予防に関する技術的助言

(c) 地域ケア会議やサービス担当者会議におけるケアマネジメント支援

② 実施担当者

リハビリテーションの理念を踏まえて、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランス良くアプローチすることのできる能力を有する者が実施する。このような能力を有する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が想定されるが、職種を限定するものではない。

別記2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)

1 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)の内容

(1) 第1号介護予防支援事業(第115条の45第1項第1号ニ)

法第115条の46第1項に規定する包括的支援事業のうち、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)は、法第115条の45第1項第1号ニに基づき、別記1の(1)イ(エ)の介護予防ケアマネジメントとして実施するものとする。

また、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)の一部について、指定居宅介護支援事業所に委託ができるものとする。

(2) 総合相談支援業務(法第115条の45第2項第1号)

ア 目的

総合相談支援業務は、地域の高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるよう、地域における関係者とのネットワークを構築するとともに、高齢者の心身の状況や生活の実態、必要な支援等を幅広く把握し、相談を受け、地域における適切な保健・医療・福祉サービス、機関又は制度の利用につなげる等の支援を行うことを目的とする。

イ 事業内容

(ア) 地域におけるネットワークの構築

地域包括支援センターは、支援を必要とする高齢者を見い出し、保健・医療・福祉サービスをはじめとする適切な支援へのつなぎ、継続的な見守りを行い、更なる問題の発生を防止するため、介護サービス事業者、医療機関、民生委員、高齢者の日常生活支援に関する活動に携わるボランティアなど、地域における様々な関係者のネットワークの構築を図る。

(イ) 実態把握

(ア)で構築したネットワークを活用するほか、様々な社会資源との連携、高齢者世帯への戸別訪問、同居していない家族や近隣住民からの情報収集等により、高齢者や家族の状況等についての実態把握を行うものとする。特に、地域から孤立している要介護(支援)者のいる世帯や介護を含めた重層的な課題を抱えている世帯など、支援が必要な世帯を把握し、当該世帯の高齢者や家族への支援につなげることができるように留意するものとする。

(ウ) 総合相談支援

① 初期段階の相談対応

本人、家族、近隣の住民、地域のネットワーク等を通じた様々な相談を受けて、的確な状況把握等を行い、専門的・継続的な関与又は緊急の対応の必要性を判断する。

適切な情報提供を行うことにより相談者自身が解決することができると判断した場合には、相談内容に即したサービス又は制度に関する情報提供、関係機関の紹介等を行う。

② 継続的・専門的な相談支援

①の対応により、専門的・継続的な関与又は緊急の対応が必要と判断した場合には、より詳細な情報収集を行い、個別の支援計画を策定する。

支援計画に基づき、適切なサービスや制度につなぐとともに、定期的に情報収集を行い、期待された効果の有無を確認する。

(エ) 家族を介護する者に対する相談支援の留意点

地域における高齢者の在宅生活を支えるに当たっては、介護を行う家族に対する支援も重要である。家族を介護する者が求めている支援としては、相談援助・支援、介護に関する情報や知識・技術の提供、家族介護者同士の支え合いの場の確保、家族介護者に関する周囲の理解の促進などがあり、地域包括支援センターにおいて、家族を介護する者に対する相談支援を実施する場合には、これらのニーズを踏まえ、育児と介護を同時期に担う方にも配慮しつつ、別記4の任意事業における家族介護支援事業と連携して支援を行う。

(オ) 地域共生社会の観点に立った包括的な支援の実施

社会福祉法(平成26年法律第45号)が平成29年に改正され、複合化・複雑化した課題を抱える個人や世帯に対する適切な支援・対応を行うため、地域包括支援センターを含む相談支援を担う事業者は、相談等を通じて自らが解決に資する支援を行うことが困難な地域生活課題を把握した場合には、必要に応じて適切な支援関係機関につなぐことが努力義務とされたところである。(同法第106条の2)

総合相談支援の実施にあたっては、他の相談支援を実施する機関と連携するとともに、必要に応じて引き続き相談者とその世帯が抱える地域生活課題全体の把握に努めながら相談支援を行う。

ウ 総合相談窓口の設置

地域住民の利便を考慮し、身近なところで相談を受け付け、地域包括支援センターにつなぐための総合相談窓口を設置することができる。

(3) 権利擁護業務(法第115条の45第2項第2号)

ア 目的

権利擁護業務は、地域の住民、民生委員、介護支援専門員などの支援だけでは十分に問題が解決できない、適切なサービス等につながる方法が見つからない等の困難な状況にある高齢者が、地域において尊厳のある生活を維持し、安心して生活を行うことができるよう、専門的・継続的な視点から、高齢者の権利擁護のため必要な支援を行うことを目的とする。

イ 事業内容

日常生活自立支援事業、成年後見制度などの権利擁護を目的とするサービスや制度を活用するなど、ニーズに即した適切なサービスを機関につなぎ、適切な支援を提供することにより、高齢者の生活の維持を図る。

特に、高齢者の権利擁護の観点からの支援が必要と判断した場合には、次のような諸制度を活用する。

(ア) 成年後見制度の活用促進

成年後見制度を利用が必要と思われる高齢者の親族等に対して、成年後見制度の説明や申立てに当たっての関係機関の紹介などを行う。

申立てを行える親族がないと思われる場合や、親族があっても申立てを行う意思がない場合で、成年後見の利用が必要と認める場合、速やかに市の高齢福祉担当部局に当該高齢者の状況等を報告し、市長の申立てにつなげる。

(イ) 老人福祉施設等への措置の支援

虐待等の場合で、高齢者を老人福祉施設等へ措置入所させることが必要と判断した場合は、市の高齢福祉担当部局に当該高齢者の状況等を報告し、措置入所の実施を求める。

(ウ) 高齢者虐待への対応

虐待の事例を把握した場合には、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17年法律第124号)等に基づき、速やかに当該高齢者を訪問して状況を確認する等、事例に即した適切な対応をとる。(詳細の業務については、「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」(平成18年4月厚生労働省老健局)を参照)

(エ) 困難事例への対応

高齢者やその家庭に重層的に課題が存在している場合、高齢者自身が支援を拒否している場合等の困難事例を把握した場合には、地域包括支援センターに配置されている専門職が相互に連携するとともに、地域包括支援センター全体で対応を検討し、必要な支援を行う。

(オ) 消費者被害の防止

訪問販売によるリフォーム業者などによる消費者被害を未然に防止するため、県及び市の消費者相談窓口等と定期的な情報交換を行うとともに、民生委員、介護支援専門員、訪問介護員等に必要な情報提供を行う。

ウ その他

イの(ア)の成年後見制度の円滑な利用に向けて次のことに留意する。

(ア) 市の高齢福祉担当部局、地方法務局等と連携し、成年後見制度を幅広く普及させるための広報等の取組を行う。

(イ) 鑑定又は診断書の作成手続きに速やかに取り組むことができるよう、地域で成年後見人となるべき者を推薦する団体等を、高齢者又はその親族に対して紹介する。

(4) 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務(法第115条の45第2項第3号)

ア 目的

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、介護支援専門員、主治医、地域の関係機関等の連携、在宅と施設の連携など、地域において、多職種相互の協働等により連携し、個々の高齢者の状況や変化に応じて、包括的かつ継続的に支援していく包括的・継続的ケアマネジメントが重要であり、地域における連携・協働の体制づくりや個々の介護支援専門員に対する支援等を行うことを目的とする。

イ 事業内容

(ア) 包括的・継続的なケア体制の構築

在宅・施設を通じた地域における包括的・継続的なケアを実施するため、医療機関を含めた関係機関との連携体制を構築し、地域の介護支援専門員と関係機関の間の連携を支援する。

また、地域の介護支援専門員が、地域における健康づくりや交流促進のためのサークル活動、老人クラブ活動、ボランティア活動など介護保険サービス以外の地域における様々な社会資源を活用できるよう、地域の連携・協力体制を整備する。

(イ) 地域における介護支援専門員のネットワークの活用

地域の介護支援専門員の日常的な業務の円滑な実施を支援するために、介護支援専門員相互の情報交換等を行う場を設定するなど介護支援専門員のネットワークを構築したり、その活用を図る。

(ウ) 日常的個別指導・相談

地域の介護支援専門員の日常的業務の実施に関し、介護支援専門員に対する個別の相談窓口の設置、居宅(介護予防)・施設サービス計画の作成技術の指導、サービス担当者会議の開催支援など、専門的な見地からの個別指導、相談への対応を行う。

また、地域の介護支援専門員の資質向上を図る観点から、必要に応じて、地域包括支援センターの各専門職や関係機関とも連携の上、事例検討会や研修の実施、制度や施策等に関する情報提供等を行う。

(エ) 支援困難事例等への指導・助言

地域の介護支援専門員が抱える支援困難事例について、適宜、地域包括支援センターの各専門職や地域の関係者、関係機関との連携の下で、具体的な支援方針を検討し、指導助言等を行う。

ウ その他

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は、地域包括支援センターにおいて実施する介護予防ケアマネジメント、介護予防支援、介護給付のケアマネジメントの相互の連携を図り、包括的・継続的なケアが提供されるよう配慮するものとする。

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)の実施に際しての留意事項

地域包括支援センターの運営に当たっては、「地域包括支援センターの設置運営について」(平成18年10月18日厚生労働省老健局計画課、振興課、老人保健課長通知)を参照するとともに、以下の点に留意すること。また、実施を委託する場合においては、法第115条の47第1項の規定を遵守すること。

(1) 地域包括支援ネットワークの構築について

1の(1)から(4)までに掲げる事業を効果的に実施するためには、介護サービスに限らず、地域の保健・福祉・医療サービスやボランティア活動、インフォーマルサービスなどの様々な社会的資源が有機的に連携することができる環境整備を行うことが重要である。このため、こうした連携体制を支える共通的基盤として多職種協働による「地域包括支援ネットワーク」を構築することが必要であり、地域包括支援センターは、これらの関係者との連携に努めていくことが求められている。(法第115条の46第7項)

そのための手段の一つとして、別記3の1の(2)の生活支援体制整備事業において、地域の多様な関係者の参画による協議体を設置することとされており、地域包括支援センターにおいてもこの協議体に積極的に参加していくことを通じて、地域包括支援センターが構築すべき地域包括支援ネットワークの充実にもつながることが考えられる。

(2) 地域ケア会議の実施について

市は、1の(4)の包括的・継続的ケアマネジメント業務の効果的な実施のために、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体(以下「関係者等」という。)により構成される会議(以下「地域ケア会議」という。)の設置に努めなければならないこととされている。(法第115条の48第1項)

個別ケースを検討する地域ケア会議(地域ケア個別会議)は、地域包括支援センター等が主催し、医療、介護等の専門職をはじめ、民生委員、自治会長、NPO法人、社会福祉法人、ボランティアなど地域の多様な関係者が協働し、介護支援専門員のケアマネジメント支援を通じて、介護等が必要な高齢者の住み慣れた住まいでの生活を地域全体で支援していくことを目的とするものである。なお、介護支援専門員の資質向上に資するよう、市内の全ての介護支援専門員が年に1回は地域ケア会議での支援が受けられるようにするなど、その効果的な実施に努めること。

また、市は、個別ケースの検討により共有された地域課題を地域づくりや政策形成に着実に結びつけていくことで、市が取り組む地域包括ケアシステムの構築に向けた施策の推進にもつながることから、市と地域包括支援センターが緊密に連携し、かつ役割分担を行いながら、取組を推進していくことが求められる。(法第115条の48第2項)

このように、地域ケア会議は個別ケースを検討する会議から地域課題の解決を検討する場まで一体的に取組んでいくことが重要であり、市が開催する地域ケア会議(地域ケア推進会議)についても包括的支援事業の対象となる。また、個別ケースの検討に当たっては、必ずしも直接のサービス提供に関わっていない第三者を含めた多職種が協働する場であることから、当該第三者等の参加に係る旅費及び謝金等についても対象経費として差し支えない。これらの取扱いも含め、地域ケア会議の組織及び運営に必要な事項については、地域ケア会議において定める。(法第115条の48第6項)

なお、地域ケア会議の実施にかかる費用については、本事業ではなく、別記3の包括的支援事業(社会保障充実分)の「4 地域ケア会議推進事業」に係る費用として計上し実施を行うこと。

別記3 包括的支援事業(社会保障充実分)

1 在宅医療・介護連携推進事業(法第115条の45第2項第4号)

(1) 目的

医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制を構築するため、住民や地域の医療・介護関係者と地域のめざすべき姿を共有しつつ、医療機関と介護事業所等の関係者の連携を推進することを目的とする。

(2) 実施主体

市が主体的に検討し、事業を実施するものとする。ただし、事業の実施にあたっては、(3)の事業の全部又は一部について、省令第140条の67に基づき、市が適当と認める者に委託することができる。市は、アからクまでの事業の全部又は一部について、省令第140条の67に基づき、適当と認める者に委託することができる。

(3) 事業内容

地域包括ケアシステムの実現に向けて、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築のため、地域のめざすべき姿を設定し、医療・介護関係者と共有した上で、地域の実情に応じ、取組内容の充実を図りつつ、ア~ウのPDCAサイクルに沿った取組を進める。

その際、企画立案時から、医師会等の関係団体と協働することが重要であり、また、医療や介護・健康づくり部門で庁内連携に努め、総合的に事業を進める人材の育成・配置や他の地域支援事業等の関連施策との連携・調整を図る。さらに、災害・緊急時の対応も含めて、検討を行うことも考えられる。

ア 現状分析・課題抽出・施策立案(計画)

切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築に向け、現状の分析、課題の抽出、施策の立案を行う。

(ア) 地域の医療・介護の資源の把握

地域の医療機関、介護事業所等の機能等の社会資源及び在宅医療・介護サービス利用者の情報を把握する。その際、これまでに自治体等が把握している情報を整理し、リスト又はマップ等を自治体の状況に応じて作成する。作成したリスト等は、地域の医療・介護関係者間の連携等に活用する。

(イ) 在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討

地域の医療・介護関係者等が参画する会議を開催し、在宅医療・介護連携の現状の把握と課題の抽出、解決策等の検討を行う。

将来の人口動態や地域特性に応じた在宅医療などのニーズの推計や課題の抽出を行い、医療計画や地域医療構想との整合に留意しつつ、これに対応する施策を立案する。

なお、立案時には事業の評価・見直し時期も合わせて設定し、目標に向けた取組の評価・改善を行う。

(ウ) 切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築の推進

地域の医療・介護関係者の協力を得ながら、切れ目なく在宅医療と介護が一体的に提供される体制の構築に向けて必要となる具体的取組を企画・立案する。

なお、本事業では、切れ目なく在宅医療と介護が一体的に提供される体制の構築に向けて必要となる取組についての検討の費用を対象とする。(取組の一つとして考えられる主治医・副主治医の仕組みの運営のための経費(医師への手当て等)、夜間・休日に医療機関が診療体制を確保するための経費(医療機関の協力金等)は、本事業の対象とならない。)

イ 対応策の実施

(ア) 在宅医療・介護連携に関する相談支援

地域の在宅医療・介護の連携を支援する相談窓口の設置・運営を行うために、在宅医療・介護の連携を支援する人材(コーディネーター)を配置し、地域の医療・介護関係者、地域包括支援センター等からの、在宅医療・介護連携に関する事項の相談を受け付ける。なお、市町村単独での相談窓口設置が困難な場合は、都道府県(保健所等)と必要に応じ協議の上、複数の市町村による広域での設置や、窓口のコーディネーターを専従としない等の柔軟な対応も可能である。

また、必要に応じて、地域の在宅医療・介護関係者の連携を支援する相談会の開催や退院の際の地域の医療関係者と介護関係者の連携の調整、患者、利用者又は家族の要望を踏まえた、地域の医療機関等・介護事業者相互の紹介を行う。

(イ) 地域住民への普及啓発

在宅医療・介護連携に関する講演会やシンポジウム等の開催、在宅医療・介護サービスに関するパンフレットの作成・配布、ウェブサイトの作成等により、地域住民の在宅医療・介護連携の理解を促進する。なお、地域住民を対象とした講演会やシンポジウム等を行うにあたっては、看取りや認知症等を取り上げることが考えられる。

(ウ) 医療・介護関係者の情報共有の支援、知識の習得等のための研修などの地域の実情に応じた医療・介護関係者の支援

下記に掲げる①や②など、地域の医療・介護関係者との協働・連携を深めるための医療・介護関係者への支援を地域の実情に応じて柔軟に実施する。

① 在宅での看取り、急変時、入退院時にも活用できるような情報共有の手順等を定めた情報共有ツールを整備する等、地域の医療・介護関係者の情報共有を支援する。情報共有ツールの整備に当たっては、他の既存様式を活用することや広域連携で取り組むこと等、地域の実情に応じて行うことが望ましい。

なお、本事業では、情報共有の方法やツール等を検討する際の会議やその使用方法等に関する説明会の開催等に係る費用を想定しており、情報共有のためのパソコンやモバイル機器等の購入費用やシステム使用料等のいわゆるランニングコストについては対象にならない。

② 地域の医療・介護関係者の連携を図るため、多職種でのグループワーク等の協働・連携に関する研修を行う。なお、必ずしも新たな研修・会議等を立ち上げる必要はなく、既存の地域ケア会議等の活用も検討することが望ましい。また、必要に応じて、相互の理解を深めるために、地域の医療関係者に介護に関する研修、介護関係者に医療に関する研修を行うことも望ましい。

ウ 対応策の評価の実施、改善の実施

立案時に評価の時期や指標を定めておき、実施した対応策について、それに基づき評価を行う。

その評価結果を踏まえ、目標設定や課題抽出、対応策の実施内容等について、地域包括ケアシステムの実現に向け、改善のための検討を行う。

(4) 留意事項

(3)の全ての事業を実施するものとする。ただし、(3)イ(ウ)については、地域の実情を踏まえて柔軟な対応を行うことができる。

ア 事業の実施にあたり、都道府県(保健所等)と協議のうえ、複数の市町村による広域的な取組を検討し、近隣市町村が連携又は共同して、(3)の全ての事業又はその一部を実施することも可能である。

イ 事業の実施にあたって、「認知症施策推進大綱」や看取りに関する取組等の動向を踏まえ、認知症施策や看取りに関する取組等を強化することが必要である。さらに、昨今の災害発生や救急搬送の動向を踏まえ、庁内関係課との連携を密にするとともに、災害・救急時の医療と介護の連携ルールの検討を行うことが望ましい。特に消防機関とは、看取り時の救急搬送ルールの策定等においてメディカルコントロール協議会における議論に参加する等、連携を行うことが望ましい。(「平成30年度救急業務のあり方に関する検討会傷病者の意思に沿った救急現場における心肺蘇生の実施に関する検討部会」報告書について(周知依頼)」(令和元年11月19日厚生労働省老健局老人保健課長通知)参照。)

ウ (3)のアからウまでの事業について、本事業開始前に、関係機関・団体が既に行っている同様の取組がある場合は、本事業を行うに当たって、これを活用して差し支えない。

エ 本事業の実施については、参考として、「在宅医療・介護連携推進事業の手引き」(厚生労働省老健局老人保健課)がある。

オ 在宅医療・介護連携の形態は、地域の人口、医療・介護資源等に応じて様々であることから、事業の実施に当たっては、介護・医療関連情報の「見える化」の取組、先行地域の事例等を踏まえつつ、柔軟に検討することが望ましい。

カ (3)の事業の実施に併せて、企画立案時から都道府県(保健所等)、医師会等関係機関や医師等専門職種と緊密に連携し、郡市区医師会等の関係団体等と、将来的な在宅医療と介護の連携の在り方について検討を行うことが望ましい。特に二次医療圏内にある関係市町村等との広域連携や、医療・介護の関係機関との調整や連携体制の構築、地域医療構想・医療計画との連携や整合性の確保、他市町村の取組事例やデータの活用・分析については、必要に応じ都道府県(保健所等)の助言も得ながら、取り組むことが重要である。

2 生活支援体制整備事業(法第115条の45第2項第5号)

(1) 目的

単身や夫婦のみの高齢者世帯、認知症の高齢者が増加する中、医療、介護のサービス提供のみならず、地域住民に身近な存在である市町村が中心となって、NPO法人、民間企業、協同組合、ボランティア、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、介護サービス事業所、シルバー人材センター、老人クラブ、家政婦紹介所、商工会、民生委員等の生活支援サービスを担う事業主体と連携しながら、多様な日常生活上の支援体制の充実・強化及び高齢者の社会参加の推進を一体的に図って行くことを目的とする。

(2) 実施主体

市は、(3)の事業の全部又は一部について省令第140条の67に基づき、適当と認める者に委託することができる。

(3) 実施内容

ア 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)の配置

高齢者の生活支援・介護予防サービス(以下「生活支援等サービス」という。)の体制整備を推進していくため、以下のとおり、生活支援等サービスの提供体制の構築に向けて、以下の(ア)に掲げるコーディネート機能を有する者を「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」とし、市町村区域(第1層)及び日常生活圏域(中学校区域等)(第2層)に配置する。ただし、指定都市における第1層は行政区単位とし、広域連合における第1層は構成市町村単位とする。

(ア) コーディネート機能

市が定める活動区域ごとに、以下のaからcまでの内容を踏まえ、多様な主体による多様な取組のコーディネート業務を実施することにより、地域における一体的な生活支援等サービスの提供体制の整備を推進する。

a 資源開発(地域に不足するサービスの創出、サービスの担い手の養成、高齢者等が担い手として活動する場の確保等)

b ネットワーク構築(関係者間の情報共有、サービス提供主体間の連携の体制づくり等)

c ニーズと取組のマッチング(地域の支援ニーズとサービス提供主体の活動のマッチング等)

(イ) 活動範囲

コーディネートを実施する範囲としては、第1層の市町村区域、第2層の日常生活圏域(中学校区域等)、サービス提供主体の活動圏域(第3層)があるが、本事業の対象となるのは、以下のa及びbとする。

a 第1層 市町村区域で、以下の①から⑤までを中心に行う機能

b 第2層 日常生活圏域(中学校区域等)で、第1層の機能の下、以下の①から⑥までを行う機能

① 地域のニーズと資源の状況の見える化、問題提起

② 地縁組織等多様な主体への協力依頼等の働きかけ

③ 関係者のネットワーク化

④ 目指す地域の姿・方針の共有、意識の統一

⑤ 生活支援の担い手の養成やサービスの開発(担い手を養成し、組織化し、担い手を支援活動につなげる機能)

⑥ ニーズとサービスのマッチング

注1 第3層では、個々の生活支援等サービスの事業主体において、利用者と具体的なサービスをマッチングする機能があるが、これはサービス提供主体が本来的に有している機能であるため、本事業の対象外である。

注2 基本的には第2層は、第1層の一部という関係にあるが、市町村内に日常生活圏域が1つである場合は、第1層と第2層を区別する必要はない。

(ウ) 配置

地域包括支援センターとの連携を前提とした上で、配置先や市町村ごとの配置人数等は限定せず、地域の実情に応じた多様な配置を可能とする。

(エ) 資格・要件

地域における助け合いや生活支援等サービスの提供実績のある者又は中間支援を行う団体等であって、地域でコーディネート機能を適切に担うことができる者とする。

特定の資格要件は定めるものでないが、市民活動への理解があり、多様な理念をもつ地域のサービス提供主体と連絡調整できる立場の者であって、国や都道府県が実施する研修を修了した者が望ましい。

なお、生活支援コーディネーターが属する組織の活動の枠組みを超えた視点、地域の公益的活動の視点、公平中立な視点を有することが必要である。

イ 協議体の設置

(ア) 目的

生活支援等サービスの体制整備に向けて、多様な主体の参画が効果的な取組につながることから、市が主体となって、生活支援コーディネーターと生活支援等サービスの多様な提供主体等が参画する定期的な情報の共有・連携強化の場を設置することにより、生活支援コーディネーターを補完し、多様な主体間の情報共有及び連携・協働による体制整備を推進することを目的とする。

(イ) 役割

・ 生活支援コーディネーターの組織的な補完

・ 地域ニーズ、既存の地域資源の把握、情報の見える化の推進(実態調査の実施や地域資源マップの作成等)

・ 企画、立案、方針策定を行う場(生活支援等サービスの担い手養成に係る企画等を含む。)

・ 地域づくりにおける意識の統一を図る場

・ 情報交換の場、働きかけの場等

(ウ) 設置主体

設置主体は市であり、地域の関係者のネットワーク化を図りながら設置することが重要である。

なお、地域の実情に応じた様々なネットワーク化の手法が考えられるため、既に類似の目的を持ったネットワーク会議等が開催されている場合は、その枠組みを活用することも可能である。例えば、既存の地域の住民会議を活用する等、市に事務局をおかないことも考えられ、地域の実情に応じた形で実施が可能である。

(エ) 構成団体

協議体は、市、地域包括支援センター等の行政機関、生活支援コーディネーターのほか、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、民間企業、ボランティア団体、介護サービス事業者、シルバー人材センター等の地域の関係者で構成され、この他にも地域の実情に応じて適宜参画者を募ることが望ましい。

また、本事業は、市の生活支援等サービスの体制整備を目的としており、介護保険制度でのサービスのみならず、市実施事業や民間市場、あるいは地域の支え合いで行われているサービスを含めて市内の資源を把握し、保険外のサービスの活用を促進しつつ、互助を基本とした生活支援等サービスが創出されるような取組を積極的に進める必要があることから、地域の実情、ニーズに応じて配食事業者、移動販売事業者、移動支援団体等、地域の高齢者の生活を支える上で必要不可欠な民間企業等も参画することが望ましい。

なお、協議体の早期設置を推進する観点から、まずは協議体の機能を有するような既存の会議等も積極的に活用しつつ、最低限必要な参画者で協議体を立ち上げ、徐々に参画者を増やしていく等といった方法も有効である。

ウ 就労的活動支援コーディネーター(就労的活動支援員)の配置

役割がある形での高齢者の社会参加等を促進するため、「就労的活動支援コーディネーター(就労的活動支援員)」を配置することができる。

(ア) 活動内容

就労的活動の場を提供できる民間企業・団体等と就労的活動の取組を実施したい事業者等とをマッチングし、高齢者個人の特性や希望に合った活動をコーディネートすることにより、役割がある形での高齢者の社会参加等を促進する。

(イ) 配置

配置先や市ごとの配置人数等は限定せず、地域の実情に応じた多様な配置を可能とする。

(ウ) 資格・要件

地域の産業に精通している者又は中間支援を行う団体等であって、地域でコーディネート機能を適切に担うことができる者とする。

このように、特定の資格要件は定めるものでないが、生涯現役社会の実現や市民活動への理解があり、多様な理念をもつ地域のサービス提供主体や民間企業と連絡調整できる立場の者が望ましい。

エ 留意事項

(ア) 本事業を、効果的に実施するため、企画段階や支援の担い手として、積極的に高齢者を含めた地域住民の参加を促していくことが重要である。

(イ) 本事業に関連して、以下のような取組を実施することも可能である。

a 協議体の設置に向けた生活支援等サービスの充実に関する研究会等の立ち上げや開催

b 研究会や協議体等が中心となって実施する地域資源の実態調査等の情報収集

c 生活支援等サービスに係るボランティア等の担い手を養成するための研修等実施

なお、当該研修は市が単独で実施する研修を対象としている。一定程度専門的な生活支援等サービスや市町村をまたぐ広域的な活動の場合、例えば、広域的な移動(輸送)サービス従事者養成研修や広域的な配食サービスの調理・配送に係る従事者養成研修等、単独の市町村だけでは養成が困難なものについて、広域的な観点から都道府県が実施する場合は、「地域医療介護総合確保基金」の活用が可能である。

(ウ) 生活支援コーディネーターは、生活困窮者対策の相談支援員、主任相談支援員や、社会福祉協議会のコミュニティーソーシャルワーカー(地域福祉コーディネーター)等他の職種とも連携し、地域のネットワークを活かして、取り組むものであるが、経験や実績のある人材の確保・活用の観点や小規模な市町村等地域の状況に応じた取組の推進の観点から、必要に応じて他の職種と兼務することも可能である。

なお、この場合にその人件費にそれぞれの補助金・負担金を財源として充当することは差し支えないが、それぞれの補助目的にそった支出が求められることとなるため、業務量等により按分し、区分経理を行えるようにすることが必要である。

(エ) 協議体の設置については、生活支援コーディネーターと同様、市の実情に応じて様々な手法により設置することが可能であるが、協議体の運営手法については、あらかじめ要綱等で定められていることが必要である。

ただし、今後とも、地域の生活支援等サービスのニーズ等に臨機応変に対応していくため、協議体の構成参画者については、柔軟に変更できる仕組みとすることが望ましい。

(オ) 住民主体による支援などの多様な支援を推進するためには、高齢者施策にとどまらず、地域づくりの観点から、高齢者施策以外の市の担当部門、地域内の関係団体との連携を視野に入れ、様々な分野の多様な主体を巻き込んで取組を進めていくことが望ましい。

(カ) 本事業については、市が中心となって生活支援等サービスに係る体制整備の進捗状況を把握しながら計画的に取り組んでいく必要があることから、必要に応じて事業の評価や効果測定を実施すること。

3 認知症総合支援事業(法第115条の45第2項第6号)

(1) 認知症初期集中支援推進事業

ア 目的

認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる「認知症初期集中支援チーム」(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする。

イ 実施主体

市。ただし市は、ウの事業の全部又は一部について、省令第140条の67に基づき、市が適当と認める者(地域包括支援センター、認知症疾患医療センター、診療所等)に委託することができる。

ウ 事業内容

(ア) 実施体制

a 支援チームの配置と役割

支援チームは、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターを含む病院・診療所等に配置することとし、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人(以下「訪問支援対象者」という。)及びその家族を訪問、観察・評価、家族支援等の初期の支援を包括的、集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。また、地域包括支援センター職員や市保健師、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師、認知症疾患医療センター職員、介護事業者との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保すること。

b 認知症初期集中支援チーム員の構成

認知症初期集中支援チーム員(以下「チーム員」という。)は、以下の①を満たす専門職2人以上、②を満たす専門医((ウ)b④において単に「専門医」という。)1人の計3人以上の専門職にて編成する。

① 以下の要件をすべて満たす者2人以上とする。

・ 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士、介護支援専門員又はこれらに準ずる者であり、かつ、認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有すると市が認めたもの

・ 認知症ケアや在宅ケアの実務・相談業務等に3年以上携わった経験がある者

また、チーム員は国が別途定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識・技能を修得するものとする。

ただし、やむを得ない場合には、国が定める研修を受講したチーム員が受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員の事業参加も可能とする。

② 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医である医師1人とする。

ただし、上記医師の確保が困難な場合には、当分の間、以下の医師も認めることとする。

・ 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のあるもの

・ 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有するもの(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)

c チーム員の役割

bの①を満たす専門職は、目的を果たすために訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために訪問活動等を行う。

bの②を満たす専門医は、他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行う。また、必要に応じてチーム員とともに訪問し相談に応需する。

なお、訪問する場合のチーム員数は、初回の観察・評価の訪問は原則として医療系職員と介護系職員それぞれ1人以上の計2人以上で訪問することとする。また、観察・評価票の記入は、チーム員である保健師又は看護師の行うことが望ましいが、チーム員でない地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等の保健師又は看護師が訪問した上で行っても差し支えない。

d 認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置等

市は、実施主体として、以下の体制を講じること。

① 医療・保健・福祉に携わる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム検討委員会」(以下「検討委員会」という。)を設置するとともに、検討委員会が関係機関・団体と一体的に当該事業を推進していくための合意が得られる場となるよう努めること。

② 支援チームと医療関係者との連携を図るため、認知症疾患医療センターや地元医師会との事前協議や主治医(かかりつけ医)に対する連絡票等情報の共有化に向けたツールの作成やそれを用いた地域の連携システムの構築を図ること。

(イ) 訪問支援対象者

訪問支援対象者は、原則として、40歳以上で、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる人又は認知症の人で以下のa、bのいずれかの基準に該当する者とする。なお、訪問支援対象者の選定の際には、bに偏らないよう留意すること。

a 医療サービス、介護サービスを受けていない者、又は中断している者で以下のいずれかに該当する者

① 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

② 継続的な医療サービスを受けていない者

③ 適切な介護サービスに結び付いていない者

④ 介護サービスが中断している者

b 医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者

(ウ) 事業の実施内容

以下のaからcまでについていずれも実施するものとする。なお、cについては市が自ら実施すること。

a 支援チームに関する普及啓発

地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行う等、各地域の実情に応じた取り組みを行うものとする。

b 認知症初期集中支援の実施

① 訪問支援対象者の把握

訪問支援対象者の把握については、支援チームが必ず地域包括支援センター及び認知症疾患医療センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮すること。チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターと情報共有を図ること。

② 情報収集及び観察・評価

本人のほか家族等のあらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集すること。

また、信頼性・妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行うこと。

③ 初回訪問時の支援

初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言等を行う。(おおむね2時間以内)

④ 専門医を含めたチーム員会議の開催

初回訪問後、訪問支援対象者毎に、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行う。必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、市町村関係課職員等の参加も依頼する。

⑤ 初期集中支援の実施

医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付けや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行う。(訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6箇月)

⑥ 引き継ぎ後のモニタリング

初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行うこと。

また、チーム員会議において、引き継ぎの2箇月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。

なお、訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は5年間保管しておくこと。

⑦ 支援実施中の情報の共有について

訪問支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合には、認知症初期集中支援チーム及び認知症疾患医療センターに情報を提供する等して情報共有を図り、事業実施すること。

c 認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置

検討委員会において、支援チームの設置及び活動状況を検討する。

エ 留意事項

(ア) チーム員は、個人情報保護法の規定等を踏まえ、訪問支援対象者及び対象者世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(イ) 市は、(2)認知症地域支援・ケア向上事業を実施する場合においては、認知症地域支援推進員等と支援チームが効率的かつ有機的に連携できるように調整を行い、定期的な情報交換ができるような環境をつくるように努めること。

(ウ) 市は、地元医師会、認知症疾患医療センターその他の認知症に関する専門的な医療を提供する医療機関、認知症専門医、認知症サポート医等との連携に努めること。

(エ) 事業の実施区域外の情報提供を得た場合においても、当該訪問支援対象者の支援に関わる情報提供について同意を得た上で、当該訪問支援対象者が居住する日常生活圏域を担当する地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターに情報を提供する等の連携を図ること。

(オ) 市は、本事業に係る経理と他の事業に係る経理を明確に区分すること。

(カ) 市は、本事業の実施に当たって、「認知症初期集中支援チーム員研修テキスト」(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)を参考とすること。

(キ) 近隣市町村が連携又は共同して、ウの事業全て又はその一部を実施することも可能である。

(2) 認知症地域支援・ケア向上事業

ア 目的

認知症の人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、認知症の容態の変化に応じ、すべての期間を通じて、必要な医療、介護及び生活支援を行うサービスが有機的に連携したネットワークを形成し、認知症の人に対して効果的な支援が行われる体制を構築するとともに、地域の実情に応じて、認知症ケアの向上を図るための取組を推進することが重要である。

このため、市において認知症疾患医療センターを含む医療機関や介護サービス及び地域の支援機関の間の連携を図るための支援や認知症の人やその家族を支援する相談業務、地域において「生きがい」をもった生活が送れるよう社会参加活動のための体制整備等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し、当該推進員を中心として、医療・介護等の連携強化等による、地域における支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的とする。

イ 実施主体

市。ただし、市は、ウの事業の全部又は一部について省令第140条の67に基づき、市が適当と認める者に委託することができる。

ウ 事業内容

(ア) 実施体制

a 推進員の配置

推進員は、地域包括支援センター、市本庁、認知症疾患医療センター等に配置することとし、以下のいずれかの要件を満たす者を1人以上配置するものとする。

① 認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有する医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士又は介護支援専門員

② 上記①以外で認知症の介護や医療における専門的知識及び経験を有する者として市が認めた者(例:認知症介護指導者養成研修修了者等)

また、市は、必要に応じて都道府県と連携しながら、研修会や関係者によるネットワーク会議等の機会を通じて、推進員の活動を行う上で有すべき知識の確認と資質の向上に取り組むものとする。

b 嘱託医の配置

医療と介護の連携を図るため、認知症サポート医養成研修修了者(以下「認知症サポート医」という。)、認知症疾患医療センターの専門医等の医師を地域包括支援センター、市本庁等に配置し、以下の活動等を実施することが望まれる。

・ 推進員等からの相談に対する医療的見地からの助言

・ 認知症の人を専門医療機関につなぐための関係機関との調整

・ 地域において認知症の人への支援を行う関係者の会議への出席・助言

(イ) 推進員の業務内容

以下のa及びbを実施するとともに、地域の実情に応じて、cも実施するものとする。

a 認知症の人に対し、状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターを含む医療機関や、介護サービス事業者や認知症サポーター等地域において認知症の人を支援する関係者の連携を図るための取組

(具体例)

・ 認知症の人やその家族が状況に応じて必要な医療や介護等のサービスが受けられるような関係機関との連携体制を構築する。

・ 地元医師会や認知症サポート医、認知症疾患医療センターの専門医等とのネットワークを形成する。

・ 認知症ケアパス(状態に応じた適切な医療や介護サービス提供の流れ)の作成・普及における主導的役割を担う。

・ 推進員が配置されていない他の地域包括支援センターに対する認知症対応力向上のための支援を行う。

b 認知症地域支援推進員を中心に地域の実情に応じて、地域における認知症の人とその家族を支援する相談支援や支援体制を構築するための取組

(具体例)

・ 認知症の人やその家族等から相談があった際、その知識・経験を活かした相談支援を実施する。

・ 認知症の本人のニーズを地域で共有する取組の実施や、好事例の収集、方法論を研究する。

・ 「認知症初期集中支援推進事業」で設置する「認知症初期集中支援チーム」と連携を図る等により、状況に応じた必要なサービスが提供されるよう調整する。

c 以下の①から⑤までの事業実施に関する企画及び調整

① 病院・介護保険施設等で認知症対応力向上を図るための支援事業

病院や介護保険施設等の職員の認知症への理解を深め、対応力を高めるために、認知症疾患医療センター等の専門医等が処遇困難事例に対しては事例検討を行い、個別支援を実施する。

② 地域密着型サービス事業所・介護保険施設等での在宅生活継続のための相談・支援事業

認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくために、認知症対応型共同生活介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、特別養護老人ホーム等が、相談員を配置し、当該事業所等が有する知識・経験・人材を活用し、在宅で生活する認知症の人やその家族に対して効果的な介護方法等の専門的な相談支援等を行う。

③ 認知症の人の家族に対する支援事業

市若しくは市が適当と認める者が、認知症の人やその家族を支えるつながりを支援し、認知症の人の家族の介護負担の軽減等を図るため、「認知症カフェ」等の開催や、「認知症カフェ」等を通じて顔なじみになったボランティアが「認とも」として、認知症の人の居宅を訪問して一緒に過ごす取り組みの実施や、家族向けの介護教室の開催等行う。

④ 認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業

医療も介護も生活支援の一部であることを十分に意識し、医療と介護等が相互の役割・機能を理解しながら、統合的なケアにつなげていくため、認知症ケアにおける多職種協働の重要性等を修得する認知症多職種協働研修を実施する。

⑤ 認知症高齢者をはじめとする高齢者や若年性認知症の人の社会参加活動の体制整備事業

認知症高齢者をはじめとする高齢者や若年性認知症の人が、地域において役割を担い、「生きがい」を持った生活が送れるよう、高齢者等の希望に応じ、これまでの経験や残された能力を活かして、農作業や商品の製造・販売、食堂の運営、その他の軽作業、地域活動等、社会参加活動を行うための体制を整備する。

⑥ 認知症の人と家族への一体的支援事業

認知症の人とその家族が、より良い関係性を保ちつつ、希望する在宅生活を継続できるよう、公共スペースや既存施設等を活用して本人と家族が共に活動する時間と場所を設け、本人支援、家族支援及び一体的支援からなる一連のプログラムを実施することにより、本人の意欲向上及び家族の介護負担感の軽減と、家族関係の再構築等を図る。

エ 留意事項

(ア) 推進員及び嘱託医は、個人情報保護法の規定等を踏まえ、利用者及び利用者の世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(イ) 本事業の実施に当たって、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターを含む医療機関、介護サービス事業者等の関係機関での情報共有を図り、連携に努めること。

(ウ) 実施主体は、(1)認知症初期集中支援推進事業を実施する場合においては、推進員等と認知症初期集中支援チームが効率的かつ有機的に連携できるように調整を行い、定期的な情報交換ができるような環境をつくるように努めること。

(エ) 実施主体は、本事業の実施に当たって、地元医師会や医療機関、認知症サポート医、認知症疾患医療センターの専門医等との連携に努めること。

(オ) 認知症疾患医療センターを含む医療機関等、地域包括支援センターを含む社会福祉協議会等から本事業の実施市町村の区域外に居住する者に関する情報提供を受けた場合においても、当該者の支援に関わる情報提供について同意を得た上で、当該者が居住する区域を担当する地域包括支援センターや認知症疾患医療センターに情報を提供する等の連携を図ること。

(カ) 市は、都道府県が「認知症総合戦略推進事業」等において、認知症施策の水準の向上を図るなどを目的とした会議を開催する際は、本事業の実施状況等の情報提供について協力すること。

(キ) 市は、本事業に係る経理と他の事業に係る経理を明確に区分すること。

(ク) 近隣市町村が連携又は共同して、ウの事業全て又はその一部を実施することも可能である。

(ケ) ウ(イ)c⑤認知症高齢者をはじめとする高齢者や若年性認知症の人の社会参加活動の体制整備事業を実施するにあたっては、

・ 市内3カ所を標準とし、財源の範囲内で最大5カ所までとする。

・ 以下の①から④については当該事業費の交付対象外とする。

① 維持管理費

② 市が独自に個人に金銭給付(これに準ずるものを含む。)を行う費用、又は個人負担を直接的に軽減する費用

③ 介護保険サービスの一環として行われる社会参加活動に当てられる費用

④ 国からの補助金、交付金等を使用して行われる社会参加活動に当てられる費用

・ 支援の対象となる社会参加活動は、営利を目的とするものではないこと。

(コ) ウ(イ)c⑥の認知症と家族に対する一体的支援事業を実施するにあたっては、

・ ファシリテーター(推進員や専門職等)を確保すること。

・ 認知症の人とその家族等(親族に限らない)を一組として、複数家族を対象とすること。

・ 開催は月に一、二回程度とし、開催の情報について運営主体がホームページ等で事前に周知を行うこと。

・ 推進員を通じて、運営主体から開催回数、参加者等の実績の報告を求めるとともに、利用者の家族を通じた満足度調査又はDBD13(認知症行動障害尺度:Dementia Behavior Scale)などを実施してもらったうえで、事業の効果についても併せて報告を求めること。

(3) 認知症サポーター活動促進・地域づくり推進事業

ア 目的

認知症の人ができる限り地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができるよう、認知症の人やその家族の支援ニーズと認知症サポーターを中心とした支援を繋ぐ仕組みを地域ごとに整備し、認知症施策推進大綱(令和元年6月18日認知症施策推進関係閣僚会議決定)に掲げた「共生」の地域づくりを推進することを目的とする。

イ 実施主体

市。ただし、市は、ウの事業の全部又は一部について省令第140条の67に基づき、市が適当と認める者に委託することができる。

ウ 事業内容

(ア) 実施体制

事業の実施に当たって、(イ)の役割を担う「チームオレンジコーディネーター」を地域包括支援センター、市本庁、認知症疾患医療センター等に1人以上配置するものとする。なお、認知症の人の数その他の状況により、認知症地域支援推進員がチームオレンジコーディネーターを兼務するなど、地域の実情に応じた柔軟な対応を行うことも可能とする。

(イ) チームオレンジコーディネーターの業務内容

地域の認知症の人やその家族の支援ニーズと認知症サポーター(認知症サポーター養成講座に加え、より実際の活動につなげるためのステップアップ講座(「認知症サポーター等養成事業の実施について」(平成18年7月12日老計発0712001号厚生労働省老健局計画課長通知)の別添「認知症サポーター等養成事業実施要綱」の3.(3)に定める講座をいう。以下同じ。)を受講した者)を中心とした支援を繋ぐ仕組み(以下「チームオレンジ」という。)を整備し、その運営を支援する。

チームオレンジを整備するためのプロセスやチームオレンジの活動内容など事業の詳細については、各地域で認知症の人やその家族の支援ニーズのほか、既存の社会資源等を勘案した上で設定すべきものであるので、以下の具体例も参考に地域の実情を考慮した上で柔軟に実施すること。

(具体例)

a チームオレンジの支援

・ 地域で暮らす認知症の人やその家族の支援ニーズを把握するため、本人ミーティングの場の活用や地域・職域における認知症サポーターその他の地域住民からの情報収集・分析

・ ステップアップ講座の企画や受講勧奨など実施支援

・ ステップアップ講座を受講した認知症サポーター等によるチームオレンジの編成支援

・ 企業・職域型の認知症サポーターや小・中・高校生認知症サポーターに対するチームオレンジへの参加の働きかけ

・ 地域の医療・介護の関係機関や小売業・金融機関・公共交通機関など生活関連の企業・団体等との連携体制の構築

b チームオレンジの運営に対する助言

チームオレンジの運営において中核的な役割を担うメンバー(チームリーダー等)が行う以下の取組について助言するとともに、必要に応じて役割分担を行いながら連携して実施。

・ 認知症の人やその家族の視点を反映したチームオレンジの活動方針の検討

・ チームオレンジのメンバーの管理

・ 認知症の人やその家族の支援ニーズとチームオレンジの支援とのマッチング

・ チームオレンジの活動を通じて得られた個人情報の適切な管理

・ チームオレンジの定例会の開催

・ その他運営に関する助言等

エ 留意事項

(ア) チームオレンジコーディネーターは、個人情報保護法の規定等を踏まえ、利用者及び利用者の世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(イ) 認知症の人本人の視点を反映したチームオレンジの活動を展開するため、チームオレンジの活動内容の設定に当たっては、本人ミーティングの場等も活用しながら、認知症の人本人の希望や必要としていること等をできる限りくみ取るよう努めること。

(ウ) チームオレンジによる支援は、外出支援、見守り・声かけ、話し相手及び認知症カフェの同行支援等の対人援助のみならず、例えば、単身高齢者が多く暮らす地域を定期的に巡回するなど、地域のニーズを踏まえた上で柔軟に設定すること。

(エ) チームオレンジには、原則として、認知症の人が地域で生活していく上で関わる機会が多いと想定される幅広い年齢層の認知症サポーターや、企業・職域型の認知症サポーターの参画を求めること。また、認知症の人や家族を単に支えられる側ととらえるのではなく、チームオレンジのメンバーの1人として社会参加できる環境の整備に配慮すること。

(オ) ステップアップ講座の企画に当たっては、オレンジ・チューター(「医療介護提供体制改革推進交付金、地域医療対策支援臨時特例交付金及び地域介護対策支援臨時特例交付金の運営について」(平成26年9月12日医政発0912第5号・老発0912第1号・保発0912第2号厚生労働省医政局長・厚生労働省老健局長・厚生労働省保険局長通知)の別紙「地域医療介護総合確保基金管理運営要領」の別記2「介護従事者の確保に関する事業」の(23)のロに定めるチームオレンジコーディネーター研修事業の講師等をいう。)のほか、認知症サポーターキャラバン市町村事務局とも緊密に連携すること。なお、ステップアップ講座の実施にかかる費用については、本事業ではなく別記4の任意事業の3(3)のウの認知症サポーター等養成事業に係る費用として計上し実施を行うこと。

(カ) 市は、本事業に係る経理と他の事業に係る経理を明確にすること。

(キ) 近隣市町村が連携又は共同して、ウの事業全て又はその一部を実施することも可能である。

(ク) チームオレンジによる支援はボランティアで行うことが望ましいこと。

4 地域ケア会議推進事業

地域ケア会議推進事業の内容については、別記2の2(2)に記載する内容のとおりとするが、当該地域ケア会議にかかる費用については、包括的支援事業(地域包括支援センター運営)ではなく、本事業において計上して実施することとする。

別記4 任意事業

1 目的

地域の高齢者が、住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるようにするため、介護保険事業の運営の安定化を図るとともに、被保険者及び要介護被保険者を現に介護する者等に対し、地域の実情に応じた必要な支援を行うことを目的とする。

2 対象者

被保険者、要介護被保険者を現に介護する者その他個々の事業の対象者として市が認める者とする。

ただし、住宅改修費の支給の申請に係る必要な理由がわかる書類を作成する事業又は必要な理由がわかる書類を作成した場合の経費を助成する事業については、住宅改修の活用を希望する要介護(支援)被保険者で居宅介護(介護予防)支援の提供を受けていない者に対して当該者の住宅改修費の支給の申請に係る必要な書類を作成した者に限る。

3 事業内容

(1) 介護給付等費用適正化事業

介護(予防)給付について真に必要な介護サービス以外の不要なサービスが提供されていないかの検証、本事業の趣旨の徹底や良質な事業転換のために必要な情報の提供、介護サービス事業者間による連絡協議会の開催等により、利用者に適切なサービスを提供できる環境の整備を図るとともに、介護給付等(指定事業者による介護予防・生活支援サービス事業も含む。)に要する費用の適正化のための事業を実施する。なお、介護給付等(指定事業者による介護予防・生活支援サービス事業も含む。)に要する費用の適正化のための事業のうち、主要な適正化事業は次のとおり。

・主要介護給付等費用適正化事業(厚生労働大臣が定める主要介護給付等費用適正化事業を定める件(平成20年厚生労働省告示第31号))

① 認定調査状況チェック

② ケアプランの点検

③ 住宅改修の点検

④ 医療情報との突合・縦覧点検

⑤ 介護給付費等通知

・上記の主要5事業の他、以下の事業を実施することができる。

⑥ 給付実績を活用した分析・検証事業

国保連合会で実施する審査支払いの結果から得られる給付実績を活用して、不適切な給付や事業者を発見し、適正なサービス提供と介護費用の効率化、事業者の指導育成を図るもの

⑦ 介護サービス事業者等への適正化支援事業

介護給付費の適正な執行は、受給者に対して真に必要とする過不足のないサービスを実施することを通じて、受給者や地域からの事業者の信頼を高め、事業者自身の健全な発展を推進することが重要である。このことから、研修や説明会等を通じて事業者と適正化事業の目的を共有し、その実現に向けて協働して取り組むよう事業者や事業者団体に対して働きかけるもの

(2) 家族介護支援事業

介護方法の指導その他の要介護被保険者を現に介護する者の支援のための事業を実施する。

ア 家族介護教室事業

要介護被保険者の状態の維持・改善を目的とした、適切な介護知識・技術の習得や、外部サービスの適切な利用方法の習得等を内容とした教室を開催する。

① 実施方法

利用対象者に対し、介護方法や介護に関する効果的な記録方法、介護予防、介護者の健康づくり等についての知識・技術を習得させるための教室を開催する。

② 利用対象者

市に居住地を有する要介護被保険者を現に介護している家族や近隣の援助者等とする。

③ 事業実施にあたっての留意点

a 家族介護者交流事業と一体的に実施することも可とする。

b 利用者は、教材費等の実費を負担するものとする。

イ 認知症高齢者見守り事業

地域における認知症高齢者の見守り体制の構築を目的とした、認知症に関する広報・啓発活動、徘徊高齢者を早期発見できる仕組みの構築・運用、認知症高齢者に関する知識のあるボランティア等による見守りのための訪問などを行う。

ウ 家族介護継続支援事業

家族の身体的・精神的・経済的負担の軽減を目的とした以下の事業とする。

(ア) 家族介護用品支給事業

① 実施方法

支給対象者に対して、介護用品(紙おむつ、尿取りパット、使い捨て手袋、清拭剤、ドライシャンプーなど)を支給する。

② 支給対象者

在宅の要介護被保険者を現に介護している家族(以下「家族介護者」という。)であって、次のいずれにも該当する者とする。

a 要介護被保険者は、市に居住地を有する第1号被保険者であって、法第19条に基づく要介護認定4又は5の判定を受けた者、或いは要介護認定を受けていない者であっても同程度の状態であると認められる者であること。

b 家族介護者は、市の住民基本台帳に記録されている者であること。

c 要介護被保険者及び家族介護者が属する世帯が市民税非課税世帯であること。

d 要介護被保険者が申請日現在、在宅しており、かつ申請日以前30日の間に介護保険施設・医療機関等(ショートステイ含む)に15日以上入院・入所していないこと。

③ 支給申請手続き等

この事業を利用しようとする者は、市長に別に定める支給申請書を提出しなければならない。

市長は、申請を受理したときは所要の調査をし、支給の可否を決定し、別に定める支給決定(却下)通知書により申請者に通知する。

④ 事業実施にあたっての留意点

a 要介護被保険者の認定区分及び世帯の市民税課税状況については、申請時の要介護状態区分、当該年度の市民税課税状況に基づく。ただし、4月から6月までの申請は前年度の市民税課税状況に基づく。

b 支給する介護用品の金額は、1回の申請につき5,000円を上限とする。この場合の金額は、要介護被保険者1人あたりとする。

c 介護用品は、現物又は介護用品の引き換えのためのクーポン券で支給する。

(イ) 家族介護者交流事業

① 実施方法

利用対象者に対して、介護から一時的に解放し、日帰り旅行、施設見学などを活用し、心身の元気回復(リフレッシュ)を図るための、介護者相互の交流会を開催する。

② 利用対象者

在宅の要介護被保険者を現に介護している家族介護者であって、次のいずれにも該当する者とする。

a 要介護被保険者は、市に居住地を有する第1号被保険者であること。

b 家族介護者は、市の住民基本台帳に記録されている者であること。

③ 事業実施にあたっての留意点

a 助成額は、1人1回当たり上限4,000円とする。

b 家族介護教室事業と一体的に実施することも可とする。

なお、上記アからウのほか、平成26年度に、任意事業において介護用品の支給に係る事業を実施している市町村であって、第7期介護保険事業計画期間中に当該事業を実施している市町村に限り、第8期介護保険事業計画期間においては、次に掲げる内容を支給要件として実施して差し支えないこととする。ただし、実施市町村においては、本取扱いが第8期介護保険事業計画期間における例外的な激変緩和措置であることを踏まえ、地域包括支援センターの運営等、他の事業との優先順位を勘案した上で、市町村特別給付等への移行等、任意事業としての介護用品の支給に係る事業の廃止・縮小に向けた具体的方策について、引き続き十分な検討を進めること。

① 本人課税(第6~9段階)の新規・既存利用者については、対象外とする。本人非課税・世帯員課税(第4~5段階)の新規・既存利用者については、年間6万円の支給上限を設ける。

② 新規利用者については、高齢者の個別の状態を踏まえて必要な者に支給することとする。

具体的には、以下の方法により必要性を個別判断することとする。ただし、要介護4以上の者については、以下の方法によらず、必要な者に該当することとしても差し支えない。

a 市町村職員は、要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ。)における認定調査票を確認し、「排尿」又は「排便」の項目において「介助」又は「見守り等」に該当する者を対象とする(※)。

※ 例外的な取扱いとして、認定調査票の「ズボン等の着脱」等の項目の「特記事項」を踏まえ、別途必要性が認められる者についても対象とする。

b 要介護認定を受けていない者からの申請や、介護用品の支給申請時点において要介護認定時の状態から変化しており認定調査票では必要性が確認できない場合(状態が改善し必要性に疑義が生じる者や、認定調査票の項目には該当していなかったがその後状態が変化し必要性があると考えられる者など)については、市町村職員は、認定調査と同様の方法で必要性を確認する。

確認に際しては、ケアマネジャーや地域包括支援センター職員に依頼することも可能とする。

(3) その他の事業

次のアからエまでに掲げる介護保険事業の運営の安定化及び被保険者の地域における自立した日常生活の支援のため必要な事業を実施する。

ア 成年後見制度利用支援事業

低所得の法による第1号被保険者に係る成年後見等開始の審判の市長申立てに要する経費及び成年後見人等の報酬について助成等を行う。

イ 住宅改修支援事業

① 実施方法

法による住宅改修費の支給の申請に係る必要な理由がわかる書類を作成した場合の経費を助成する。

② 対象経費

介護支援専門員又は作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験二級以上その他これに準ずる資格等を有する等、十分な専門性があると認められる作成者が、居宅介護支援又は介護予防支援の提供を受けていない要介護者又は要支援者についての居宅介護住宅改修費又は介護予防住宅改修費支給の申請に係る理由書等を作成した場合に当該経費を助成する。

なお、その場合の単価は、1件当たり2,200円とする。

ウ 認知症サポーター等養成事業

認知症サポーター養成講座の企画・立案及び実施を行うキャラバン・メイトを養成するとともに、地域や職域において認知症の人と家族を支える認知症サポーターを養成する。具体的には、「認知症サポーター等養成事業の実施について」(平成18年7月12日老計発0712001号厚生労働省老健局計画課長通知)に基づき事業を実施する。

エ 地域自立生活支援事業

次に掲げる高齢者の地域における自立した生活を継続させるための事業を実施する。

(1) 地域資源を活用したネットワーク形成に資する事業

栄養改善が必要な高齢者(介護予防・日常生活支援総合事業において、配食の支援を受けている者を除く。)に対し、地域の社会福祉法人等が実施している配食の支援を活用し、高齢者の状況を定期的に把握するとともに、必要に応じ、地域包括支援センター等に報告する、地域資源を活用したネットワーク形成等に資する事業を実施する。

① 事業内容

a 食関連サービスの利用調整

対象者の心身の状況(栄養状態を含む。)、その置かれている環境、対象者及びその家族等の希望等の情報を収集、分析するとともに、地域の実情に応じ、配食サービス等のほか、地域住民が主体となった活動などのインフォーマルサービスも含めた社会資源の状況を勘案して、「食」の自立の観点から、食関連サービスの利用調整を行う。また、定期的にサービスの実施状況、利用者の状態等を確認し、必要に応じ、サービスの再調整を行う。

b 配食サービスの実施

aの利用調整後の週間プランに基づき、配食サービスを実施する。

(a) 実施方法

利用対象者に対して、定期的に居宅を訪問して栄養バランスのとれた食事を提供するとともに、安否の確認を行う。

(b) 利用対象者

単身高齢者世帯、高齢者のみの世帯又はこれに準ずる世帯に属する法による第1号被保険者であって、栄養改善又は食生活における能力の不足等の理由により自立支援の観点からサービスを利用することが適切であると認められる者(介護予防事業において、配食の支援を受けている者を除く。)とする。

② 利用申請手続き等

この事業を利用しようとする者は、市長に別に定める事業利用申請書等を提出しなければならない。

市長は、申請を受理したときは所要の審査をし、利用の可否を決定し、別に定める利用決定(却下)通知書により申請者に通知する。

市長は、申請者からの利用を決定した時には、速やかに委託事業者に別に定めるサービス提供依頼書を通知する。

③ 利用変更等

利用者が事業の利用を変更する時は、市長に別に定める利用変更届を提出しなければならない。

市長は、届書を受理したときは所要の審査をし、利用の可否を決定し、別に定める利用変更決定通知書により申請者に通知する。

市長は、申請者からの変更利用を決定した時には、速やかに委託事業者に別に定めるサービス提供変更依頼書を通知する。

④ 事業実施にあたっての留意点

a 常にインフォーマルサービスを含めた地域の社会資源を把握し、サービスの利用調整等に適切に反映できるよう努めるものとする。

b 配食の実施にあたっては、食材料費及び調理費相当分は利用者の負担とする。

c 地域住民やボランティア等が高齢者を地域で見守り、支援するネットワーク活動に対する支援を実施する。

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別添4

総合事業の事業評価

総合事業の実施に当たっては、ボランティア活動と有機的な連携を図る等、地域の人材を活用していくことが重要である。60歳代、70歳代を始めとした高齢者の多くは、要介護状態や要支援状態に至っていないことから、こうした高齢者が地域で社会参加できる機会を増やしていくことが、高齢者の介護予防にもつながることとなる。併せて、できる限り多くの高齢者が、地域で支援を必要とする高齢者の支え手となっていくことで、より良い地域づくりにつながることとなる。

このため、地域づくりの視点から、事業全体を評価した上で、要支援者等に対する介護予防・生活支援サービス事業及び一般介護予防事業について事業評価を行うこととする。事業評価をする際には、以下の3段階の評価指標を活用することとする。

① ストラクチャー指標:事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制等に関する指標

② プロセス指標:事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等に関する指標

③ アウトカム指標:事業成果の目標に関する指標

なお、評価の実施に当たっては、関係者間での議論が重要であることから、各市町村で開催している介護保険運営協議会や地域包括支援センター運営協議会等において議論することが重要である。また、地域の特性を活かしながら事業を運営することが重要であることから、以下の評価指標の視点を活かしながら、それぞれの地域の実情を踏まえたふさわしい評価指標へと内容を修正した上で、事業評価を実施することが重要である。

1 総合事業

〈ストラクチャー指標〉

以下の4項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制を整備できているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1 できている、2 ある程度できている、3 あまりできていない、4 できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的について、分かりやすく説明することのできる職員の養成や、説明資料の整備ができているか。

② 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、総合事業を実施する上で、介護保険、高齢者福祉、地域福祉、健康増進、企画、市民活動推進、自治会支援、社会教育等の担当部署と広く連携する体制を構築できているか。

③ 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、総合事業を実施する上で、組合と連携する体制を構築できているか。

④ 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、総合事業を実施する上で、協議体を設置し、住民主体の活動、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、民間企業、シルバー人材などの多様な主体による多様なサービスの提供体制を構築できているか。

〈プロセス指標〉

以下の7項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等のプロセスについて、適切にできているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1 できている、2 ある程度できている、3 あまりできていない、4 できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)できるよう、総合事業の企画・実施・評価のプロセスの中で、地域住民の意見収集や協議への住民参画が行われているか。

② 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)できるよう、介護サービス事業者、医療機関、民間企業、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、住民等のあらゆる関係者に働きかけを行っているか。

③ 自治会、社会福祉協議会、民生委員、老人クラブ、ボランティア、NPO法人、社会教育関係者の活動状況等について地域資源として適切に把握できているか。

④ 介護予防の推進、生活支援の充実に関する行政課題を整理できているか。

⑤ 介護予防の推進、生活支援の充実を図っていく上で、長期的な視点をもって具体的な戦略を立てられているか。

⑥ 総合事業に関する苦情や事故を把握しているか。

⑦ 関係機関(地域包括支援センター、医療機関、民生委員等)において情報を共有するため、共有する情報の範囲、管理方法及び活用方法に関する取り決めをしているか。

〈アウトカム指標〉

以下の定量的指標を用いて総合事業による効果の評価を行う。

指標

評価方法

① 65歳以上新規認定申請者数及び割合

※介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の新規認定申請者の状況を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の推進状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(新規認定申請者割合=新規認定申請者数÷高齢者数)

② 65歳以上新規認定者数及び割合(要支援・要介護度別)

※介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の新規認定者の状況(要支援・要介護度別)を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(新規認定者割合=新規認定者数÷高齢者数)

③ 65歳以上要支援・要介護認定率(要支援・要介護度別)

※介護保険事業状況報告を活用

年度ごとに任意の時点の要支援・要介護認定率(要支援・要介護度別)を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(認定率=認定者数÷高齢者数)

④ 日常生活圏域ニーズ調査等による健康に関連する指標の状況

複数年度ごとに任意の時点における地域の健康に関連する指標を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

健康関連指標の例:主観的健康感、社会参加の状況、運動機能、口腔機能、栄養状態、認知機能、閉じこもり、うつ、健康寿命等

⑤ 健康寿命延伸の実現状況

介護予防を含む介護保険事業全体を運営する上での目標である、健康寿命延伸の実現状況の評価に活要する。(毎年の評価に加え、中期的な変化の表価も望ましい)

指標の例:

・ 要介護2以上の年齢調整後認定率、その変化率

※ 客観的評価のため、健康寿命の補完的指標を参考

※ 要介護度の分布や新規で要介護認定を受けた要因の確認も併せて必要

⑥ 住民の幸福感の向上

住民が生きがいのある自分らしい人生を送るという介護予防の目的の達成状況を評価する観点から、住民の幸福感の評価に活用する。

(日常生活圏域ニーズ調査は対象者が限られていることから評価に当たっては留意)

指標の例:

・住民の幸福感の変化率(日常生活圏域ニーズ調査に調査項目あり)

⑦ 介護予防・日常生活支援総合事業の費用額

年度ごとに年間の介護予防・日常生活支援総合事業の費用総額の伸び率と、後期高齢者の伸び率との関係等について、時系列評価や他市町村等と比較することで、事業の効率性の評価に活用する。

⑧ 予防給付と介護予防・日常生活支援総合事業の費用総額

年度ごとに年間の予防給付と介護予防・日常生活支援総合事業の費用総額の伸び率と、後期高齢者の伸び率との関係等について、時系列評価や他市町村等と比較することで、事業の効率性の評価に活用する。

2 総合事業(介護予防・生活支援サービス事業)

〈ストラクチャー指標〉

以下の1項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制を整備できているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1 できている、2 ある程度できている、3 あまりできていない、4 できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

介護予防ケアマネジメントの実施に当たり、市町村、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所及びサービス事業提供者が、総合事業の趣旨や自立支援の重要性を共有し、連携する体制を構築できているか。

〈プロセス指標〉

以下の6項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等のプロセスについて、適切にできているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1 できている、2 ある程度できている、3 あまりできていない、4 できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 窓口に相談にきた高齢者に対し、総合事業の目的、内容、サービスメニュー及び手続方法について十分な説明を行っているか。

② 介護予防ケアマネジメントに関する様式が統一されているか。

③ 介護予防・生活支援サービス事業の実施状況を把握しているか。

④ 介護予防・生活支援サービス事業の実施量と需要量の関係を的確に把握しているか。

⑤ 介護予防・生活支援サービス事業の実施状況の検証に基づき、次年度以降の実施計画の見直しを行っているか。

⑥ 要支援者、介護予防・生活支援サービス事業対象者及び継続利用要介護者の個人情報が共有されることについて、十分な説明を行い、同意を得ているか。

以上の定性評価に加えて、以下の定量的指標を用いて介護予防・生活支援サービス事業の実施状況の評価を行う。

指標

評価方法

① 介護予防ケアマネジメント依頼書受理件数

※介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の介護予防ケアマネジメント依頼書受理件数を集計し、実施状況を評価する。

② 介護予防・生活支援サービス事業の実施状況

年度ごとに年間の各種事業の実施状況を集計し、実施回数及び利用者数により実施状況を評価する。

訪問型サービス、通所型サービス、生活支援サービス別に実施回数及び利用者数(要支援1、要支援2、介護予防・生活支援サービス事業対象者、継続利用要介護者別)を集計することが望ましい。

〈アウトカム指標〉

以下の定量的指標を用いて総合事業による効果の評価を行う。

指標

評価方法

① 主観的健康感

年度ごとに年間の介護予防・生活支援サービス事業の利用者について、利用前後の主観的健康感の変化を集計し、維持・改善割合(事業利用者のうち利用後に主観的健康感が維持・改善された者の割合)により介護予防・生活支援サービス事業の効果を評価する。

3 総合事業(一般介護予防事業)

<ストラクチャー指標>

以下の1項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制を整備できているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1 できている、2 ある程度できている、3 あまりできていない、4 できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

一般介護予防事業の実施に当たり、行政内の他の部門と一般介護予防事業の重要性を共有し、効果的・効率的な事業実施のために、連携する体制を構築できているか。

<プロセス指標>

事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等のプロセスについて、適切にできているかどうかを年度ごとに評価する。

指標

評価方法

① 行政内部での連携

介護予防の取組の効果的な推進の観点から、福祉や健康増進、市民協働、教育、産業振興、都市計画等の様々な分野の担当部局との連携が重要であるため、その連携体制と連携した取組の実施状況を評価する。

指標の例:

・行政内の他部門と連携して介護予防の取組を進める体制の整備状況(会議等)

・行政内の他部門と連携した取組の実施状況(イベントの実施等)

・他部門が行う通いの場や、その参加状況の把握

② 地域の多様な主体との連携

介護予防の取組の効果的な推進の観点から、自治会や医療・介護等関係機関、NPO法人、さらに民間企業、大学等も含めた多様な主体との連携が重要であるため、その連携状況を評価する。

指標の例:

・多様な主体と連携して介護予防の取組を進める体制の整備状況(会議・イベントの実施等)

・多様な主体が行う通いの場や、その参加状況の把握

③ 保健事業との一体的な実施

介護予防の取組の効果的な推進の観点から、医療保険制度における保健事業との一体的な実施が重要であるため、その実施状況を評価する。

指標の例:

・介護予防と保健事業の一体的な実施の実施状況

④ 関係団体との連携による専門職の関与

介護予防の取り組みの効果的な推進の観点から、多様な専門職(運動・航空・栄養分野など)の関与が重要であるため、各分野の関係団体との連携状況を評価する。

指標の例:

・関係団体との連携状況(会議の実施等)

・専門職の介護予防への関与状況

⑤ 通いの場への参加促進(ポイント等)

高齢者の通いの場への参加を促す観点から、参加促進に向けた取組(ポイント等)を評価する。

指標の例:

・参加促進に向けたポイント等の取組の実施状況

⑥ 参加促進のためのアウトリーチの実施

通いの場に参加していない者の参加を促すことの重要性に鑑み、参加促進のためのアウトリーチ対象者把握の取組とアウトリーチの取組を評価する。

指標の例:

・対象者把握の取組の実施状況

・参加促進に向けたアウトリーチの取組の実施状況

⑦ 担い手としての参加促進

通いの場への担い手としての参加など、役割のある形での取組が重要であるため、担い手としての参加を促進するための取組を評価する。

指標の例:

・通いの場等の担い手を育成するための研修の実施状況

・有償・無償ボランティア等の推進に向けた取組の実施状況

⑧ 介護予防の企画・検証等を行う体制の整備

PDCAサイクルに沿った取組を推進するためには、企画・検証等を行う体制が重要であるため、その体制整備や検証等の実施状況を評価する。

指標の例:

・介護予防の企画や検証等を行う協議体の設置状況

・協議会における検証や改善の実施状況

⑨ データの活用に係る取組の推進

人口や認定率、通いの場の設置状況、介護レセ等のデータを分析した上で、それに基づく対策を実施することが重要であることから、それらの取組状況を評価する。

指標の例:

・分析等の実施状況を評価

⑩ 通いの場に参加する高齢者の状態の把握の実施

通いの場の成果を評価するに当たって、高齢者の状態を把握することが望ましいが、現時点ではデータ収集等の体制が整っていないので、その取組を評価する。

指標の例:

・通いの場に参加する高齢者の状態の把握

<アウトカム指標>

以下の定量的指標を用いて総合事業による効果の評価を行う。なお、評価対象として、高齢者全体を指標①②(再掲)、一般介護予防事業の利用者及び未利用者を指標③、一般介護予防事業の未利用者については指標④を想定している。

指標

評価方法

① 健康寿命延伸の実現状況

介護予防を含む介護保険事業全体を運営する上での目標である、健康寿命延伸の実現状況の評価に活用する。(毎年の評価に加え、中期的な変化の評価も望ましい)

指標の例:

・要介護2以上の年齢調整後認定率、その変化率

※ 客観的評価のため、健康寿命の補完的指標を参考

※ 要介護度の分布や新規で要介護認定を受けた要因の確認も併せて必要

② 住民の幸福感の向上

住民が生きがいのある自分らしい人生を送るという介護予防の目的の達成状況を評価する観点から、住民の幸福感の評価に活用する。

(日常生活圏域ニーズ調査は対象者が限られていることから評価に当たっては留意)

指標の例:

・住民の幸福感の変化率(日常生活圏域ニーズ調査に調査項目あり)

③ 通いの場を始めとする社会参加の拡大

経年比較が可能な方法により通いの場の参加率を測定。参加頻度も評価する観点から、延べ数についても評価することが望ましい。加えて、従来の通いの場に限らず、就労等を含めた多様な社会参加状況についても評価する。

指標の例:

・通いの場(全体・週1回以上)の参加率(実数・延べ数)、その変化率、週1回以上開催の通いの場の有無・社会参加(就労、ボランティア、通いの場等)の状況

④ 通いの場に参加する高齢者の状態の変化

<中長期的な課題>

通いの場の効果等を評価する観点から、今後、通いの場に参加する高齢者の状態(IADL等)の維持・改善状況を評価することを検討する。

由利本荘市地域支援事業実施要綱

平成29年4月1日 告示第58号

(令和4年5月27日施行)