○由利本荘市議会基本条例
平成25年6月17日
条例第45号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第4条)
第3章 市民と議会との関係(第5条)
第4章 市長等と議会との関係(第6条―第8条)
第5章 議会運営(第9条―第11条)
第6章 会派(第12条)
第7章 政務活動費(第13条)
第8章 議員の身分及び待遇(第14条・第15条)
第9章 議会及び議会事務局の体制整備(第16条―第19条)
第10章 補足(第20条・第21条)
附則
地方分権、地域主権の進展に伴い、地方公共団体の役割と責任が拡大され、地方議会の重要性が一段と高まっている。
市議会は、地方公共団体の立法機能及び事務執行の監視機能を併せ持つ市民を代表する唯一の議事機関であり、二元代表制の下、市長等執行機関との健全な緊張関係を保持しながら、議会の持つ機能を十分に発揮し、真の地方自治の本旨を実現するという使命を持っている。
由利本荘市議会は、政治理念に基づき積極的な情報公開や説明責任を果たすとともに、自由闊達な討議を通じて論点を明確にしながら、政策立案や政策提言を行っていかなければならない。
また併せて、これまで積み上げてきた議会改革の成果を踏まえ、新しい時代のあるべき地方公共団体の姿や議会のあり方を追求し、その実現に向けて不断の努力を重ねることにより、市民からの信頼に応えようとするものである。
ここに由利本荘市議会は、議会及び議員の果たすべき役割と責務を明確にし、市民の負託に応えられる議会を目指し、「由利本荘市議会基本条例」を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、由利本荘市議会(以下「議会」という。)が市民に身近で信頼される機関として担うべき役割と責務を果たすための基本的事項を定めることにより、市民の負託に応え、もって市民福祉の向上及び市政の伸展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 公平性、公正性、透明性及び信頼性を重視し、市民に開かれた議会運営に努めること。
(2) 議決する責任を認識し、市民への積極的な情報公開及び説明責任を果たすように努めること。
(3) 市民の多様な意見を集約し、政策立案及び政策提言(以下「政策提言等」という。)の機能強化に努めること。
(4) 市長その他の執行機関及びその補助職員(以下「市長等」という。)の事務の執行について、市民本位の立場から適正な市政運営が行われているか、監視及び評価する責任を認識して活動すること。
(5) 議会内での申し合わせ事項は、不断に見直しを行うこと。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 議会が言論の場及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由で活発な討議を尊重すること。
(2) 日常の研修活動を通じて自らの資質向上に努めるとともに、市民の多様な意見を的確に把握し、市民の代表としてふさわしい活動をすること。
(3) 議会の構成員として、個別的又は地域的な事案の解決だけでなく、市民全体の福祉の向上に資する活動をすること。
(4) 積極的に政策提言等を行うための調査研究に努めること。
(議員の倫理)
第4条 議員は、市民の代表として、高い倫理性を課せられていることを常に自覚し、品位の保持及び識見の養成に努めなければならない。
2 議員の倫理の規範については、別に条例で定める。
第3章 市民と議会との関係
(市民の参画及び市民との連携)
第5条 議会は、市民の参画を積極的に推進するため、議会活動に関する情報公開に努めるものとする。
2 議会は、市民との意見交換に努め、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
3 議会は、請願及び陳情を市民からの政策提言と位置づけ、その審議において、必要に応じて提出者の意見を聴く機会を設けるものとする。
4 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)に規定する公聴会制度及び参考人制度を活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
第4章 市長等と議会との関係
(市長等との関係)
第6条 議会は、市長等との関係について、次に掲げるところにより、常に適切な緊張感のある対等な関係を保持し、事務執行の監視及び評価に努めるものとする。
(1) 本会議における議員と市長等に対する質疑及び質問は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行うものとする。
(2) 議長から本会議への出席を要請された市長等は、議員からの質疑及び質問に対し、その論点を整理し、質疑及び質問の趣旨確認をするため、議長の許可を得て、当該議員に対し、その考え方を問い返し、又は対案の提示を求めるための反問をすることができるものとする。
(3) 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して市長等に対し文書質問を行うことができるものとする。この場合において、議長は、市長等に文書により回答を求めるものとする。
(4) 前号の文書による質問及び回答は、原則として議会広報等で公開するものとする。
(議会における政策等の審議)
第7条 議会は、市長が提案する重要な政策、施策、計画又は事業(以下「政策等」という。)について、審議等における論点を明確にし、その政策等の水準を高めることに資するため、次に掲げる事項のうち必要と認める事項について明らかにするよう求めることができるものとする。
(1) 政策等を必要とする理由
(2) 検討した他の政策等の内容
(3) 総合計画との整合性
(4) 政策等に関係する法令
(5) 政策等の実施に要する財源措置
(6) 政策等の実施後の効果とコスト計算
2 議会は、前項に規定する政策等の審議等を行うに当たり、立案及び執行における論点を明らかにするとともに、執行後の政策等の評価に資する審議に努めるものとする。
3 議会は、予算編成の方針及び内容等について市長等から説明を受けるため、当初予算説明会を開催するものとする。
(地方自治法第96条第2項の議決事件)
第8条 地方自治法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件については、次の各号に掲げる市政全般にわたる重要な計画等について、積極的に追加を検討し、議会と市長等執行機関が共に市民に対する責任を担いながら、計画的かつ市民の視点に立った透明性の高い市政の運営に資するものとする。
(1) 基本構想及び基本計画に関すること。
(2) 市行政の各分野における政策及び施策の基本的な方向を定める計画、指針その他これらに類するものに関すること(行政内部の管理に係る計画、特定の地域を対象とする計画及び計画期間が5年未満の計画を除く。)で、次に掲げるもの
ア 都市計画、上下水道等に関する計画
イ 社会福祉、医療に関する計画
ウ 農林水産業、商工業その他の産業の振興に関する計画
エ 市民生活の安全、交通、環境に関する計画
オ 教育に関する計画
カ 次世代育成、男女共同参画に関する計画
(3) 市が他団体又は個人と結ぶ提携又は協定のうち、予算を伴うもの
2 前項の議決に付すべきものは、議会と市長等が協議のうえ、別に条例で定める。
第5章 議会運営
(議員間討議による合意形成)
第9条 議長は、議員間の自由な討議を重視した運営に努めなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会における議案の審議等に当たり結論を出す場合には、議員間の討議を尽くし、合意形成に努めなければならない。
(議会全員協議会)
第10条 議長は、議会全員協議会において、政策提言等を推進するため、政策討論を行う場を設けることができる。
(委員会の活動)
第11条 委員会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、その所管に係る市政の課題の調査研究活動を充実強化するものとする。
2 委員会での審査に当たっては、市民に対し積極的に情報公開を行うとともに、市民に分かりやすい議論を行うよう努めるものとする。
3 委員会は、市民からの要請に応じ、審査の経過の説明に努めるものとする。
4 委員会は、地域住民に関わりが深く、かつ、関心の高い事案については、必要に応じて当該地域において委員会の会議を開催することができるものとする。
5 委員会の審査に必要な説明のため出席を求められた者は、議員からの質疑及び質問に対し、その論点を整理し、質疑及び質問の趣旨確認をするため、委員長の許可を得て、当該議員に対して発言することができるものとする。
6 委員会の会議は、原則公開とする。
第6章 会派
(会派)
第12条 議員は、政策提言等に資するため、政策を中心とした理念を共有する議員の集団として会派を結成することができる。
2 会派及び会派に属しない議員(以下「会派等」という。)は、政策形成及び政策提言等に関し、必要に応じて会派の代表により調整を行い、合意形成に努めるものとする。
3 会派に関し必要な事項は、議長が別に定める。
第7章 政務活動費
(政務活動費)
第13条 会派等は、議員の調査研究に資するため、必要な経費の一部として政務活動費を充てることができる。
2 会派等は、効率的かつ効果的に政務活動費を活用するとともに、その使途の透明性を確保するため、必要な措置を講ずるものとする。
3 政務活動費の交付その他必要な事項は、別に条例で定める。
第8章 議員の身分及び待遇
(議員定数)
第14条 議員の定数は、法令及びこの条例で定める議会及び議員の活動の推進と、議会の備えるべき監視、調査及び政策提言等の機能の確保の観点を踏まえて、別に条例で定める。
(議員報酬)
第15条 議員報酬は、議員の活動並びに議会における調査及び審議の多様化、市の財政状況及び経済情勢、他市の状況等を踏まえて、別に条例で定める。
第9章 議会及び議会事務局の体制整備
(議会事務局)
第16条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の強化及び組織体制の整備を図るものとする。
(議会図書室)
第17条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室を適正に管理運営し、その機能の充実に努めるものとする。
(予算の確保)
第18条 議会は、議事機関としての機能の向上を図るとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。
(議会広報の強化)
第19条 議会は、広報紙、ホームページ等の充実を図り、議会活動を市民に分かりやすく伝えるとともに、議会や市政への関心が高まるよう、広報活動の強化に努めるものとする。
第10章 補足
(他の条例等との関係)
第20条 この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例の趣旨を尊重しなければならないものとする。
(見直し手続)
第21条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会で委員の任期ごとに検討し、その結果を議会全員協議会に報告の上、公表しなければならない。
2 議会は、その責務を確実に果たしていくため、そのあり方について検討し、必要があると認めるときは、議会運営委員会で検討し、この条例の改正を含めた所要の措置を講ずるものとする。
附則
この条例は、平成25年9月1日から施行する。
附則(令和5年3月24日条例第35号)
この条例は、令和5年4月1日から施行する。