○由利本荘市子ども条例
平成23年3月25日
条例第7号
子どもは、社会の一員であるとともに次代を担う大切な存在であり、一人ひとりが将来への夢をもって、いきいきと健やかに育つことは、すべての市民の願いです。
今日、児童虐待やいじめ、引きこもりや不登校など、多様な問題が発生し、子どもの生きる権利や育つ権利が大きく脅かされています。
このため、子ども・子育てに関する社会の関心を高め、子どもの権利が大人と同じように尊重され、すべての子どもが安全な地域社会の中で安心して健やかに育つことができる環境づくりが求められています。
由利本荘市は、すべての子どもが等しく、自由にのびのびと個性を発揮し、心豊かに育つことを願い、「安心して子どもを産み、健やかに育つ、子育ての絆あるまちづくり」を目指し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、子どもが健やかに育つ環境づくりについて、基本理念を定め、子どもの権利を保障するため、市及び地域住民等の責務並びに子どもの役割を明らかにするとともに、子ども・子育てに関する施策の基本的な計画を定めることにより、子どもの健やかな成長を社会全体で支援するまちづくりを推進することを目的とする。
(1) 子ども 18歳未満の者をいう。
(2) 保護者 親及び親に代わって子どもを養育する者をいう。
(3) 地域住民等 地域に居住する住民及び団体をいう。
(4) 学校等関係者 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に定める児童福祉施設並びに学校教育法(昭和22年法律第26号)に定める幼稚園・小学校・中学校及び高等学校等並びに就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第66号)に定める幼保連携型認定こども園の施設の関係者をいう。
(5) 事業者 事業を営む法人及び個人をいう。
(基本理念)
第3条 子どもが健やかに育つ環境づくりは、次の基本理念により行われるものとする。
(1) 子ども一人ひとりが権利の主体として尊重されるとともに、子どもの最善の利益を主として考慮すること。
(2) 市、保護者及び家庭、地域住民等、学校等関係者並びに事業者がそれぞれの役割を担いながら、協働して子どもを守り、子育てを支援するよう努めること。
(子どもの権利)
第4条 子どもは、健やかに生きるため、命が大切にされ、かけがえのない存在として愛情をもって育まれ、暴力及び犯罪から守られ、どのような差別も受けることなく年齢又は発達段階にふさわしい健康的な生活が保障されなければならない。
2 子どもは、一人ひとりが尊重されるため、自由な考えをもって自由な表現ができること、他人を信頼するとともに自分が信頼されること、及び個人の秘密に関する干渉又は侵害を受けないことが保障されなければならない。
3 子どもは、豊かに育つため、学び又は遊びを通じて、人との関わりの中で社会の責任ある個人として自立していくことが保障されなければならない。
4 子どもは、自分たちの関わることに主体的に参画するため、必要な情報提供又は支援を受け、意見を表明する機会が保障されなければならない。
(市の責務)
第5条 市は、子どもの権利を保障するため、国、他の地方公共団体及び関係機関と連携並びに協働するとともに、子ども・子育てに関する施策を実施するものとする。
2 市は、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者がそれぞれの責務を果たすことができるよう、必要な支援を行うものとする。
(保護者及び家庭の責務)
第6条 保護者は、子どもの養育について家族及び家庭が果たす役割を理解するとともに、その第一義的な責任は保護者が有することを自覚し、愛情をもって養育しなければならない。
2 保護者及び家庭は、子どもが基本的な生活習慣及び社会のルールを身につけることができるよう努めなければならない。
3 保護者及び家庭は、子どもの健康の確保及び増進に努めるとともに、子どもが安心して暮らすことができる環境づくりに努めなければならない。
(地域住民等の責務)
第7条 地域住民等は、地域社会が子どもの豊かな人間性を育む重要な日常の場であることを認識し、地域活動等を通じて、健全な環境の整備及び安全で安心な地域づくりに主体的に取り組むよう努めなければならない。
2 地域住民等は、地域社会の中で培った子育てに関する知識及び情報を保護者へ提供するとともに、子どもの見守りなどを通じて、広く子育てを支援する意識を持つよう努めなければならない。
(学校等関係者の責務)
第8条 学校等関係者は、その設置目的及び運営理念に基づき、子どもの社会性及び学力の向上に努め、子ども一人ひとりの心身の発達を助長するよう深く関わるとともに、健全な育成環境の構築に資するため、保護者及びその家庭並びに地域住民等と相互に連携し協力するよう努めなければならない。
2 学校等関係者は、保護者に対して教育及び子育てに関する相談及び支援を行うとともに、子育てを行う家庭の環境づくりを支援するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第9条 事業者は、保護者が安心して就業しながら子どもの健全な育成に関わっていくことができるよう、職場の環境づくりに努めなければならない。
2 事業者は、行政が実施する子ども・子育て支援に関する施策又は地域住民等が行う子どもに関する活動に協力するよう努めなければならない。
(子どもの役割)
第10条 子どもは、発達段階に応じては社会の一員であることを自覚し、次に掲げる役割を担うものとする。
(1) 子どもの権利について学び、自分を大切にするとともに他の人が持つ権利を尊重すること。
(2) いじめ、暴力又は差別行為等他の人への迷惑行為を行ってはならない。また、自ら進んで、これらの行為を無くすよう努めること。
(基本計画の策定)
第11条 市長は、子ども・子育てに関する施策を推進するために、子ども・子育てに関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、基本計画の策定に当たっては、市民の意見を反映させるための適切な措置を講ずるものとする。
3 市長は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
(要保護児童等の保護)
第12条 市長は、児童相談所等の関係機関及び由利本荘市要保護児童対策地域協議会との連携を図りながら、子どもへの虐待、いじめ等の防止及び早期発見並びに保護に努めるものとする。
(啓発活動)
第13条 市長は、子どもの権利を守り、子どもが健やかに育つ環境をつくることに対する理解及び関心を深めるために、必要な啓発活動に努めるものとする。
(委任)
第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
3 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第61条第1項の規定により策定されている由利本荘市子ども・子育て支援事業計画は、第11条の規定により策定された基本計画とみなす。
附則(平成27年3月25日条例第15号)
この条例は、平成27年4月1日から施行する。