木境大物忌神社の虫除け祭り

 
木境大物忌神杜は、建長6年(1254)の創建と伝えられ、大物忌神(稲魂神)、薬師神を祭る。鳥海山信仰とともに古くから五穀豊穣・家内安全などを祈願する祈祷所として多くの信者を集めている。
現在、春の大祭である7月8日の虫除け祭りに対して、秋には10月19日から6日間の山籠りががあり、秋祭りの祈願はたしの神事が行われる。
虫除け祭りは、まず前夜に社務所に夜籠をした神官が、神霊祭を執リ行ってお礼に祈祷を行う。
このお礼は翌日に参拝、そして虫退散札をヨシの棒にはさめて田の水口に、それぞれ立てると、稲に虫がつかないと言われている。7月8日の朝、参拝者が集った後、虫除けの神事が始まり、神前に安置されている舟(長さ60p、幅15p、杉材)のお室の中に「虫封じの札」をくぎで打ちつけ、これが悪虫を封じ込めるという。
これに特殊な御幣を立て、供物・大麻などを乗せ
 神酒をかけて清める。これを小板戸部落の当番が背負い、針ヶ岡部落の獅子頭が先祓いをして町境(旧藩境一の子吉川まで15kmの道を進む。川岸到済後、神前の祝詞があって、この地点を境として悪虫悪霊を追い出し五穀豊・家内安全を祈願する祭つである。
 本県における山岳信仰と稲作習俗を知るうえで、貴重な文化財である。

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